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2020.10.01
職人の手仕事が紡ぐ、瀬戸内生まれの台所道具4選
日々の暮らしに欠かせない台所道具だからこそ、手仕事の逸品を選んでみませんか。瀬戸内エリアには、穏やかな風土と作り手が育んだ、魅力的な台所道具がたくさんあります。ほっこりとかわいくて、丈夫で使い勝手もよい、そんな台所の名脇役をご紹介。
【岡山】気鋭の職人が作る、「須浪亨商店」の「い草の鍋敷き」

工房の青い壁に、自らが収集した民藝品が映える。全国各地の民藝店やショップに商品を卸しているため、工房での購入や見学は不可
かつて、日本有数の「い草」の生産量を誇った岡山県倉敷市の茶屋町。穏やかな風土の町に工房を構える「須浪亨商店」は、地域に根差した技術を受け継ぎ、5代目・須浪隆貴さんがい草で編んだ手仕事の逸品を作っています。そのひとつが「い草の鍋敷き」です。

い草の鍋敷き。直径16cm×高さ3.3cmで1760円
い草は吸湿性があり丈夫な素材。い草を縄状にしめた太めの「いなわ」で力強く編んだ鍋敷きは、どんな鍋もどっしりと受け止めてくれます。作りたては青々として、どこか懐かしさを覚える香りも魅力的。使わないときは壁にかけておけるよう、ゆったり取られたフックも便利です。
須浪亨商店
スナミトオルショウテン
【広島】使いやすさを追求した「宮島工芸製作所」の「宮島杓子」

写真下段の左から3番目が、丸柄ナナメ杓子(長さ20cm。写真の商品はヒノキ材)1210円。バターヘラ、ナナメターナーなど、商品の多くが1000円前後と良心的な価格
嚴島神社で有名な広島県宮島では、杓文字のことを「杓子(しゃくし)」と呼び、「幸せを召し取る縁起物」として古くから親しまれる島の工芸品です。宮島で約100年続く「宮島工芸製作所」も、宮島杓子を手がける木工所のひとつ。堅さと耐久性にすぐれた国産のサクラ材を主に用いて、職人が一本一本手作業で成形。木の風合いを生かすため無塗装で仕上げていきます。驚くのは、木肌のなめらかさと持ちやすさ。握りやすい丸みのある柄、ご飯をよそいやすい傾斜を付けた先端など、細部にまで使いやすさを追求したデザインは秀逸。最近ではその技術を生かし、ターナーやお玉など約30種類の木ベラも展開しています。
宮島工芸製作所
ミヤジマコウゲイセイサクショ
【岡山】備前の土と炎が育む「一陽窯」の「備前焼すり鉢」

写真中央のすり鉢は、直径15cm(高さ約4.5cm)7150円。すりこぎ棒は1320円
日本六古窯のひとつ備前焼。約10日間かけてゆっくりと1200℃まで温度を上げて焼き固められることから、古くから「投げても割れぬ備前のすり鉢」と謳われるほど丈夫です。備前に窯を構える「一陽窯」が作陶するすり鉢は、すりやすさを追求したやわらかなカーブと広い底面のフォルムが特色。重みと厚みもあるから、安定感もしっかりしています。釉薬も絵付けも施さない自然な焼き色や、ぽってりとした丸みのある形は、和テイストなのにまるで洋風の雰囲気を併せ持ちます。器としても使えるので、そのまま食卓を彩ってくれますよ。
一陽窯
イチヨウガマ
【香川】職人の手仕事が育む「谷川木工芸」の「飯櫃」

直径17cmの飯櫃は1個7700円
香川県の工芸品・讃岐桶樽。その伝統と技術を守る「谷川木工芸」が作るのは、吉野白杉の柾目(木目が平行なもの)を使った「おひつ」です。水分をほどよく吸い&発散してくれるから、いつでもごはんはつやつやで、冷めても柔らかくおいしい。製材から仕上げまでを職人の手作業で行なうため、細やかな美しさと心配りが随所に感じられる仕上がりも魅力のひとつです。大きさは2人暮らしでも使いやすい2合サイズで、おひつのほかに、そうめん鉢として使うのもいいですよ。
谷川木工芸
タニカワモッコウゲイ
「ことりっぷマガジン秋号 VOL.26」では、今回紹介している商品のほかに、広島生まれのアルミ製の無水鍋、香川で親しまれる保多織のふきんなど、素敵なキッチンアイテムも紹介。メイドイン瀬戸内の台所道具で、日々の暮らしを彩ってみてくださいね。
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井手口陽子 写真:森昌史
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