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2020.12.06
愛され続ける京都・岡崎の美術館「京都市京セラ美術館」
京都・岡崎の地に、昭和8(1933)年のオープン以来、京都の人たちに愛され続ける美術館があります。「京都市美術館」は90年ほど続く美術館で、その本館は日本の公立美術館の中でもっとも古い建築。約3年におよぶ工事のための休館を経て、2020年春「京都市京セラ美術館」としてリニューアルオープンしました。
ノスタルジックな気分を味わえる、レトロで「新しい」美術館
庭園には2021年1月31日までガラスのお茶室が展示される。杉本博司《硝子の茶室 聞鳥庵(モンドリアン)》2014年 ©Hiroshi Sugimoto Architects: New Material Research Laboratory / Hiroshi Sugimoto + Tomoyuki Sakakida. Originally commissioned for LE STANZE DEL VETRO, Venice / Courtesy of Pentagram Stiftung & LE STANZE DEL VETRO.
「京都市京セラ美術館」は、市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」から徒歩すぐ。平安神宮の大鳥居のすぐそばに位置します。そのはじまりは、昭和8(1933)年に「大礼記念京都美術館」として開館したことに由来します。第二次世界大戦中も閉館することなく活動を継続。戦後に「京都市美術館」に改めました。
細部に残る歴史を感じさせる装飾の数々
本館は和洋が融合した帝冠様式と呼ばれる建築の代表格で、リニューアルに際しては、創建当時の意匠を最大限に保存しながら現代的なデザインをプラス。新しい美術館へと生まれ変わりました。
吹き抜けが印象的な真っ白な中央ホール
本館の中心に位置する中央ホールはかつての大陳列室だった場所。高い天井と大きならせん階段が印象的な空間で、それぞれの展示室や日本庭園へとつながるハブのような役割を担っています。
光の加減で表情を変えるレトロなステンドグラス
らせん階段をのぼり2階へ向かうと、天井にはノスタルジックなステンドグラスが広がります。館内にはいたるところに開館当時の意匠が残るので、細部までチェックしてみるのがおすすめ。
東山を借景にした庭園を望めるテラスと、シンメトリーな2つの「中庭」が仲間入り
広々としたテラス。東山の山並みを眺めながらほっとひと息ついてみて
中央ホールの2階からは、屋上庭園「東山キューブテラス」へと向かうことができます。テラスからは、日本庭園や目の前に広がる東山の山並みを眺めることができ、特に夕暮れ時の美しさは必見。テラスに座って、夕日が沈むのをゆったりと眺めてみるものよいですね。
ガラスの天井からきらきらと光が差し込む「光の広間」
ほかにも、これまで使われていなかった本館内にある北回廊と南回廊の中庭をそれぞれ大幅にリニューアル。北回廊の中庭「光の広間」にはガラスの屋根を設置し、光が差し込む室内の空間に。
青空と風を感じることのできる「天の中庭」
一方、南回廊の中庭「天の中庭」は、美術館の中にありながら外の空気にふれられる野外スペースとして生まれ変わりました。シンメトリーで同じ意匠ながらも、異なる雰囲気を楽しめる空間となっています。
何度でも足を運びたくなる、充実のミュージアムショップ
「コーディアル」各1980円。取材時は「すだち・山椒」と「青みかん・レモンバーベナ」の2種
ミュージアムショップ「ART RECTANGLE KYOTO」では、展覧会グッズや美術書籍、京都の伝統文化を楽しめる限定商品がそろいます。なかでも人気なのが「BEAMS創造研究所」が監修したオリジナルグッズ。 「京都の森を飲む・森の香りに癒される」がコンセプトの北山杉を使った「コーディアル」は、お湯やお酒を注いでオリジナルのシロップを作ることができるキット。季節によってフレーバーが変わるので、お好みを探してみて。
ブリキの「茶筒」小1320円、大1980円
また、ブリキの茶筒は、ブリキの裁断から整形までの全工程を職人の手作業で仕上げたここでしか手にすることのできないオリジナルのひと品。気密性がよいので、茶葉はもちろん、コーヒー豆や調味料類を入れるのもおすすめです。 新旧の意匠の魅力がたっぷりと詰まった「京都市京セラ美術館」にぜひ足を運んでみてください。
京都市京セラ美術館
キョウトシキョウセラビジュツカン
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田中 麗 写真:小川康貴
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