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2021.08.01
角館のレトロな蔵造りの商家が並ぶ外町エリアをそぞろ歩き♪
藩政時代にタイムスリップしたかのような、武家屋敷の町並みが有名な城下町・角館。一方で、江戸時代後期から大正時代には数多くの蔵も建造されました。町の南側に広がる外町エリアには、今も歴史ある蔵造りの商家が点在。武家町とはまた違った風情のレトロな町をさんぽしてみませんか?
外町でひと際素敵な煉瓦蔵の「安藤醸造本店」
1891(明治24)年に建造された煉瓦蔵
重厚な武家屋敷が並ぶ町並みとその町並みを包みこむような深い木立、特に春のシダレザクラが美しい秋田県・角館。街の中心部にある「火除け」と呼ばれる広場の南側に広がるのが商人町「外町(とまち)」です。 JR角館駅から徒歩15分ほど。蔵が点在する外町エリアのなかでも煉瓦造りの素敵な商家が見えてきます。1853(嘉永6)年創業の味噌・醤油の老舗「安藤醸造本店」です。 往時、外町には木造の家屋が密集し、たびたび大火に見舞われました。安藤醸造本店も4回ほど火災に見舞われ、明治期には耐火性に優れた蔵造りの母屋、味噌醤油蔵、文庫蔵を再建。また、煉瓦造りの蔵座敷も建造したそうです。
煉瓦蔵内部の蔵座敷。市の文化財に指定されている
蔵座敷は、煉瓦造りとして東北最古のもの。内部にめぐらされた角館出身の画家・西宮礼和(にしのみやれいわ)による襖絵も見事です。蔵座敷は無料で鑑賞することができ、春はお雛様や五月人形の展示も行われます。 店奥には黒漆喰の重厚な文庫蔵があります。無料で利用できる休憩スペースとして開放されています。
蔵が醸す別世界のなかで発酵食品をおみやげに
昔ながらのノスタルジックな店内
蔵ならではの静謐な雰囲気のなかでの買い物をも楽しみです。安藤醸造の味噌や醤油、漬け物は、無添加・天然醸造でていねいに手づくりされたもの。あれこれ迷うほど、ラインナップが豊富です。
野菜をおいしく食べるために作られた「みそマルシェ」300g360円
「みそマルシェ」は、秋田県産の丸大豆とあきたこまちの米麹を使い天然醸造。3年も寝かせているのでまろやかで、ほどよく酸味もあり、野菜をディップして食べるのにおすすめです。
日々の料理の味方になってくれそうな「寒こうじ」350円
地元の人たちに親しまれているロングセラーが「寒こうじ」。少し甘めで、鶏のから揚げの下味にしたり、きゅうりや大葉など夏野菜と軽く漬け込んだり、気軽に使える万能調味料です。 また、だしや味噌汁の試食もあるので、味見しながら選べるのもうれしいところ。 文化財としての蔵や、昔ながらの商家の雰囲気のなかで買い物を楽しんでみてくださいね。
安藤醸造本店
アンドウジョウゾウホンテン
蔵めぐりができる「あきた角館西宮家」
米蔵。内部には秋田の手仕事の品が並び、角館草履の実演も見られる
「あきた角館西宮家」の西宮家は、1620(慶長7)年に秋田へ移ってきた佐竹氏の直臣で、明治後期から大正時代には地主として繁栄した家柄。敷地内には今も、明治後期から大正時代に建てられた5棟の蔵と母屋が現存します。 5棟の蔵のうち、米蔵はクラフトを扱う雑貨店、北蔵はレストラン&カフェ、文庫蔵は西宮家に伝わる文化遺産を展示する資料館、残りの2棟は「和のゐ 角館」の宿泊施設として利用されています。
「レストラン北蔵」で洋風郷土料理を
大正ロマン漂うレトロな雰囲気
1919(大正8)年に建造された北蔵をリノベーションしたのが「レストラン北蔵」。蔵内のテーブル席と庭を眺める明るいテラス席で、ランチタイムやカフェタイムを過ごせます。
「御狩場焼」1200円。野菜はその日のおいしい旬のものを使用
料理は、地元産の低農薬米と新鮮野菜を生かした洋風郷土料理。角館の名物「御狩場焼(おかりばやき)」も味わえます。鶏肉とたっぷりの地元野菜をローストし、オリジナルの山椒味噌で仕上げた人気メニューで、表面をパリッと焼き上げるので香ばしく、山椒味噌の甘辛さも後を引きます。 古い時代の雰囲気が漂う広い敷地内で食事をしたり、クラフトを購入したり、蔵めぐりを楽しみましょう。
あきた角館西宮家
アキタカクノダテニシノミヤケ
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本間景子 写真:板元義和
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