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2022.02.17
岡山・倉敷美観地区の町家の宿で、手仕事の逸品に出会う癒しのステイ
白壁と柳並木が織りなす風情あふれる倉敷美観地区には、町並みに溶け込むように素敵な宿があちらこちらに点在しています。今回は倉敷美観地区に建つ古き良き町家をリノベーションした倉敷のニュースタンダードな宿泊施設へご案内。落ち着きのある空間にはさまざまな手仕事の逸品が配され、実際に利用できるのも民藝にゆかりの深い倉敷ならではのお楽しみです。さらにアクセスに便利な駅前ホテルの情報もプラスしてご紹介。旅のプロが迎えてくれるアットホームな宿をチェックしてくださいね。
古きと新しきを感じられる一棟貸しの「滔々 toutou」で手仕事のアイテムにふれる
土間を吹き抜けにした「御崎 町家の宿」のリビング
倉敷美観地区のシンボル、大原美術館横の路地に建つ「御崎(おんざき) 町家の宿」と、ワンルームタイプの「御崎 二階の宿」の2棟が並ぶ宿泊施設「滔々 toutou」。どちらの棟も1日1組限定、1棟貸しなので広々としたプライベートな空間としんとした静けさがくつろぎのステイを叶えてくれます。
趣きのある空間に全国の作家が作った家具を配す
築約100年の町家を改装した「御崎 町家の宿」は、「建物の歴史を感じてもらいたい」と、製材されていない曲がった柱や改修された跡などはあえて残しているそう。また古きよき空間のなかでも快適に過ごせるように、家具は全国各地の作家によるオーダーメイド。岡山生まれのアイテムも多く、リビングには備前焼のスツール、床の間には備中和紙の壁紙、器やカトラリーにも県内で活動する作家の作品を使い、土地に息づくものづくりの魅力を伝えています。
洗練された「御崎 二階の宿」の客室
もうひとつの棟「御崎 二階の宿」はアパートメントの部屋にいるようなシンプルなしつらえ。旅先で刺激を受けた心と体を整えられるようにと、白を基調とした落ち着きのある空間に統一されています。3階にはルーフバルコニーもあり、大原美術館の分館や倉敷の町並みを眺めながら特別なひと時が過ごせます。
路地の角に位置するギャラリー
「御崎 町家の宿」の北側に隣接する建物の1階にはギャラリーが入り、スタイリッシュな空間に日本全国から集められた手仕事の作品が展示されています。陶器やガラス、布製品などジャンルはさまざまで、作り手の作風や思いに触れて本当にいいと思ったものだけを取り扱っているそう。さらに2022年の秋までに新たに5つの宿泊施設とショップがオープン予定。こだわりが詰まった空間に期待が高まります。
滔々
トウトウ
岡山生まれのアイテムがそろう「暮らしの宿 てまり」
民藝運動が栄えた倉敷で、手仕事の品に囲まれて過ごす
こちらは「ゆきかい」と「おいとま」の2棟で構成される「暮らしの宿 てまり」。倉敷美観地区にある「ゆきかい」にはさまざまな手仕事の逸品が備わり、実際に手にとって使うことで心地よさが体感できます。
(左上)格子窓から光が差しこむ6畳の和室(右上)1階の美観堂で販売する倉敷ガラス(左下)格子窓から望む町並み(右下)「テオリ」が手がける竹製のスツール
「ゆきかい」が入るのはライフスタイルショップ「美観堂」の2階です。格子窓からは町並みや行き交う人々のようすが眺められ、日が落ちていく夕暮れの景色は日中とは異なる風情が漂います。 和を基調とした客室に配されるのは、倉敷で竹の家具を作り続ける「テオリ」の職人が手がけた竹製スツール、港町・玉野市で創作をする十河隆史さんの器、県北部の西粟倉村で作られたちゃぶ台など。どれも上質な手仕事の逸品で、暮らしに取り入れたくなるものばがり。気になったものは1階の美観堂で購入ができますよ。
ほっとできる和の空間。スタッフが選書した本は自由に読むことができる
「ゆきかい」から徒歩7分、倉敷アイビースクエアの向かいに建つのがもうひとつの棟「おいとま」です。こちらは2階建ての古民家を改装した空間に9名まで宿泊できる、広々とした1棟貸しの宿。梁や柱、引き戸のあしらいはそのままで、和の雰囲気を漂わせます。2階の板張りの部屋には4台のシングルベッドや子ども用のスペースも用意。台所もあるので、まるで暮らすように宿泊ができます。
暮らしの宿 てまり「ゆきかい」
クラシノヤドテマリユキカイ
暮らしの宿 てまり「おいとま」
クラシノヤドテマリオイトマ
倉敷駅前に建つアットホームなホテル「NAGI Kurashiki Hotel & Lounge」
JR倉敷駅の南口からすぐ
JR倉敷駅から徒歩すぐの場所にある「NAGI Kurashiki Hotel & Lounge」は、ホテルの快適さとゲストハウスのようなフレンドリーさをあわせもつ宿泊施設です。迎えてくれるのは、世界各国を旅行してきた旅のプロ。旅行の楽しみ方を熟知しているスタッフが、宿泊前からサポートをしてくれるのが魅力のひとつです。例えば地元の人しか知らないディープな情報や倉敷の歴史を教えてくれたり、ゲストの要望に応えてプランニングの提案もしてくれたりと、一緒に旅を盛り上げてくれます。初めて倉敷に訪れる人も、もっと倉敷を深堀りしたい人にもぴったりな宿です。
藍色を基調とした館内
こちらの魅力は、倉敷に精通したスタッフだけではありません。ロビーや客室のあちらこちらにもこだわりが隠されています。例えばロビーには岡山出身の画家・竹久夢二の作品や瀬戸内をテーマにしたアートをディスプレイ。瀬戸内海を思わせるブルーを基調とした客室には、畳や畳縁、備後絣(びんごかすり)といった、瀬戸内生まれのアイテムがいたるところに配されています。ひとつひとつに想いが込められているので、そのストーリーも一緒に楽しんでくださいね。
NAGI Kurashiki Hotel & Lounge
ナギクラシキホテルアンドラウンジ
ライトアップは日没から22時まで(10~3月は21時まで)
倉敷美観地区に宿泊するときには、ぜひ「町家×手仕事」をテーマにした倉敷らしさを感じられる宿へ。毎夜、白壁の町並みがライトアップされているので、1泊して情緒あふれる夜の景観を眺めながら、ゆっくりと散策するのもおすすめです。
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橘春花(フォレスト) 撮影:森昌史(フォレスト)
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