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2022.07.13
アルゼンチンタンゴを聴きながら過ごすひととき。神保町のタンゴ喫茶「ミロンガ・ヌオーバ」
思わず絵にかきたくなるような神保町の路地裏に佇む「ミロンガ・ヌオーバ」は、いつもアルゼンチンタンゴの音楽が流れる“タンゴ喫茶”です。ゆったりした空間で、レコードから流れる音楽にときどき耳を傾けながら、自分だけの時間を過ごすことができますよ。
アルゼンチンタンゴのレコードが流れる喫茶店
レンガ造りが絵になる外観。小路を挟んでお隣は姉妹店の「ラドリオ」
世界一の本屋街、神保町。東京メトロ神保町駅を出て靖国通りから1本入った路地裏にある「ミロンガ・ヌオーバ」。はす向かいの喫茶店「ラドリオ」の姉妹店として1953年から営業を続けるタンゴ喫茶です。
壁にはアルゼンチンタンゴの楽団が来日した際に撮ったという写真や店の外観を描いた絵画がかかる
靴越しにボコボコした質感を感じる床の石畳は、69年前の創業当時からのもの。店舗改装の際にオーダーしたという無垢材の大きなテーブルが使い込まれた飴色になって馴染んでいます。柔らかな照明や時を経た家具に囲まれると、まるで外国の飲食店を訪れたような不思議な気分です。
創業時からBGMにかかっているアルゼンチンタンゴ。レコードに針を落として流す昔ながらの方式です。 店長の浅見さんにお話を伺うと、レジの奥にぎっしりあるレコードのコレクションは、購入したりお客さんから寄贈されたりして増え、いまでは500枚ほどもあるのだそう。オーディオ好きから人気の高いアルテックのスピーカーから流れる曲が、店内にしっとりしたムードを漂わせています。
「ミロンガ」という店名もアルゼンチンタンゴのなかのジャンルに由来
店内には、アコーディオンに似た見た目で独特の音色を持つ、アルゼンチンタンゴに欠かせない楽器「バンドネオン」が飾られている
曲は、スタッフがその日の気分で選んでかけているのだそう。ひとくちにアルゼンチンタンゴといっても、古典やモダン、落ち着いたものから明るいものまで、メロディもさまざま。ふだんタンゴに馴染みがなくても、聞いているうちに心地よい気分に誘われます。公式インスタグラムでバンドやアルバム名も知ることができるので、ぜひチェックしてみて。
看板メニューは焙煎コーヒーと世界各地のビール
「本日のケーキ」(450円)、「ミロンガブレンド」(650円)
1995(平成7)年の改装後から、お店の看板メニューとなっているのが、焙煎コーヒーと世界各地のビール。
種類豊富なビール(650円~)は、軽く一杯だけ飲みたい気分のときの利用にもおすすめ
コーヒーは、深入りのコーヒーをハンドドリップで丁寧に淹れています。酸味は控えめで、豊かな香りコクを味わえるオリジナルのブレンドです。 常時2~4種類ある「本日のケーキ」は日替わりのメニュー。取材時にオーダーしたアールグレイのパウンドケーキは、しっとりした生地に茶葉の香りがふわっと広がるさわやかな後味で、コーヒーとも高相性でした。
「ピザ・ミロンガ」(850円)
ランチやバータイムの利用には軽食をどうぞ。 手作りのオリジナルピザ「ピザ・ミロンガ」は、トマトソースに旨味たっぷりのサラミやゆで卵、味わい深いオリーブをトッピング。ふかふか、もちもちした食感の生地とマッチして、満足感のあるひと品です。
「ミルクセーキ」(850円)
暑い季節のひと休みなら、あっさりした甘さのミルクセーキはいかがでしょう。冷たいドリンクにはオリジナルのコースターが付き。よく見ると、バンドネオン、コーヒー、ビール缶がデザインされている「ミロンガ・ヌオーバ」らしい素敵な一枚です。
店内でタンゴの生演奏を行うこともあるのだそう
穏やかな照明が照らす温かみのある空間と、レコードならではのアルゼンチンタンゴの調べに、ノスタルジックな気分に誘われます。アナログならではの良さを感じる空間に身を浸して、少しだけ非日常の気分を楽しんでみませんか。
ミロンガ・ヌオーバ
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朝光洋理 写真:小林利穂
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