2/14-5/27|国立新美術館で開催中の「マティス 自由なフォルム」をレポート!
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2/14-5/27|国立新美術館で開催中の「マティス 自由なフォルム」をレポート!

東京・六本木にある国立新美術館では2月14日(水)より「マティス 自由なフォルム」がスタート。今回はその気になる展示会の模様をレポートします。 メイン画像:《花と果実》1952-1953年 ©︎ Succession H. Matisse

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マティスの「切り紙絵」にフォーカスした日本初の展示会

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会場風景《ジャズ》1947年刊行 ©︎ Succession H. Matisse

アンリ・マティス(1869-1954年)は、自然をこよなく愛し、色彩豊かな作品を制作した「色彩の魔術師」として知られるフランスの画家。20世紀を代表する芸術家の一人として広く知られています。晩年は南フランスのニースで過ごし、さまざまな色に塗られた紙をハサミで切る「切り紙絵」という、新たな技法で精力的に作品に取り組み続けました。 2023年にも東京都美術館で「マティス展」が開催されましたが、本展は、その「切り紙絵」に焦点を当てた日本初の展示会。フランスの「ニース市マティス美術館」のコレクションを中心に161件に及ぶ作品や資料を展示。マティスの60年以上におよぶ制作の歩みが楽しめる展示会になっています。

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マティス初期の絵画や彫刻、版画、リトグラフなどの作品・資料も勢ぞろい

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「Section1 色彩の道」、「Section2 アトリエ」 展示風景 ©︎ Succession H. Matisse

「Section1 色彩の道」から「Section2 アトリエ」では、マティスの故郷であるフランス北部からニースのアトリエに移った頃までの初期作品を中心に、絵画や彫刻、版画、リトグラフなど約70点を紹介。マティスが試行錯誤繰り返し制作した、多彩な創造作品が展示されています。 1917年にニースに滞在したことをきっかけに、この街でアトリエを転々としながら制作に励んだといわれるマティス。実際のアトリエでは花瓶やテキスタイル、家具調度品などさまざまな文化的起源をもつ個性豊かなオブジェなども収集していたのだそう。

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左:《赤いムシャラビエ(アラブ格子出窓)》19世紀-20世紀初頭 綿、右:《小さなピアニスト、青い服》1924年 油絵/カンヴァス ©︎ Succession H. Matisse

中には作品の中でモチーフとなっているテキスタイルや調度品が作品と一緒に展示されているものも。実際に並べて展示されていることで、作品を制作するマティスの想いをあれこれと想像しながら鑑賞できる貴重な体験もできます。時間が許す限り、何度も見比べてみるのも楽しいかもしれませんね。

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舞台装置から大型装飾まで。広がりをみせるマティスの制作の歩みを紹介

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会場風景 ©︎ Succession H. Matisse

東洋のオブジェを大量に収集し、装飾や芸術に関心を寄せていたマティスは、その装飾的な関心をベースに舞台装置や壁画、タペストリーなどの大型作品も制作。1919年にはバレエ「ナイチンゲールの歌」の舞台装置や衣装デザインも手掛けます。(展示衣装は1999年制作のもの)

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Section3 「舞台装置から大型装飾へ」展示風景 ©︎ Succession H. Matisse

1930年からは33年かけて、実業家でコレクターのアルバート・C・バーンズから注文を受けた壁画の制作に没頭。マティスは15mを超える壁画にダンスをテーマにした人物をダイナミックに描くことに挑戦します。会場では構想をした小さな習作や構図を拡大して長い竹竿を用いてカンヴァスに描くマティスの姿など、大型装飾へ取り組んでいく姿勢も垣間見ることができます。

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左:《森の中のニンフ(木々の緑)》1935-1943年 油絵/カンヴァス、右:《パペーテ―タヒチ》 1935年 油絵/カンヴァス ©︎ Succession H. Matisse

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ずらりと並んだ切り紙絵が圧巻!個々のフォルムを自由に変容させたマティスの世界を堪能

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Section4 「自由なフォルム」展示風景 ©︎ Succession H. Matisse

展示も中盤を迎えた4つめのセクションでは、今回メインテーマとなる1940年代にマティスが生み出した新たな技法「切り紙絵」にスポットを当てて紹介。腸の病気で思うように体が動かなくなったマティスは、油絵から「切り紙絵」へと制作の手法を変化させていきました。 会場では切り紙絵をベースとしたステンシルによる図版とテキストで構成された書物「ジャズ(1947年刊行)」の全20点も展示。ずらりと並んだ切り紙絵は圧巻の光景!色の組み合わせの妙は眺めているだけでとても楽しい気分に。ぜひ、時間をかけてひとつひとつ細かいところまで鑑賞してみてくださいね。

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左:《ポリネシア、海》1946年の切り紙絵に基づく 羊毛のタペストリー、右:《クレオールの踊り子》1950年 切り紙絵 ©︎ Succession H. Matisse

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手前:《葦の中の浴女》1952年、奥:《波》1952頃 ©︎ Succession H. Matisse

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《ブルー・ヌード Ⅳ》 1952年 ©︎ Succession H. Matisse

そして白い背景に青い女性が表現された《ブルー・ヌード IV》が公開されているのも、この展示会の大きな魅力のひとつ。こちらの絵は一見、油絵のように見えますが、実は青く塗った紙をハサミで切り抜いてキャンバスに貼り付けた、切り紙絵。近くで見てみると木炭による線も数多く残されています。ブルーも数種類がつかわれていることからシンプルな中に精魂込めた制作がされたことがわかります。青い切り紙絵は今回、4点が展示されていますのでお楽しみに。
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本展のために修復された8mの大作《花と果実》とヴァンス礼拝堂を体感できる展示も

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《花と果実》1952-1953年 ©︎ Succession H. Matisse

ブルー・ヌードを鑑賞しながら後ろを向くと、ひと際目をひく大作が。ニース市美術館にあるこの切り紙絵の大作《花と果実》は、2021年に大規模な修繕が行われ本展へと出品されました。大きさはなんと縦4.1m、横8.7m。マティスの切り紙絵の中で最も大きなこちらの作品は、近づいて観てみると5枚のカンヴァスで構成されています。 色鮮やかな花びらや葉、果実のモチーフは1枚で構成されているものもあれば、複数枚で形成しているものも。 この構造は、おそらく「アトリエ」のセクションにあったマティスのコレクション《赤いムシャラビエ(アラブ格子出窓)》からも着想を得たと考えられているとか。頭の中で初期の作品を思い出しながら、マティスの歩みに想いを馳せてみるのも楽しいですね。

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会場風景©︎ Succession H. Matisse

最後のセクションではマティス晩年の集大成ともいうべき最高傑作の一つ、南仏・ヴァンスにある「ロザリオ礼拝堂」にまつわる作品や資料を展示。ステンドグラスや祭壇のキリスト磔刑(たっけい)像、上祭服のためのマケットなど……。マティスが室内装飾から調度品、祭服に至るまでデザインを指揮した様子が紹介されています。 並べられたデザインや習作をみているだけで、思わずうっとりしてしまいます。

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礼拝堂南側のステンドグラスの図案《蜜蜂》 1948年 切り紙絵 ©︎ Succession H. Matisse

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《白色のカズラ(上祭服)のためのマケット》1950-1952年 切り紙絵 ©︎ Succession H. Matisse

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会場風景

本展ではこの礼拝堂の内部も再現。太陽が昇ってから日が暮れるまで、礼拝堂に入る1日の光と影の動きを体感することができます。生命の木をモチーフにしたステンドグラスへと差し込む青と黄の光の表情に注目してみてくださいね。 今回展示会の音声ガイドのナビゲーターを務めるのは、女優の安藤サクラさん。2023年にカンヌ国際映画祭への参加のため滞在されたニース。ヴァンス礼拝堂の唯一無二の美しさが生涯忘れられない場所になったのだとか。会場を訪れた際には、安藤さんのガイドで作品を楽しんでみるのもオススメです。 「マティス 自由なフォルム」は今まで観れなかった日本初の試みも満載。今回ご紹介した作品はそのほんの一部。ぜひ会場に足を運び、ご自身の目で体感してみてくださいね。

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カズラ(上祭服)のためのマケットが並ぶ光景も圧巻©︎ Succession H. Matisse

マティス 自由なフォルム

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港区六本木7-22-2 国立新美術館 企画展示室 2E

clock-icon2024年2月14日~2024年5月27日/10:00~18:00※毎週金・土曜日は20:00まで開館※入場は閉館の30分前まで
pin-icon毎週火曜日 ※ただし4月30日(火)は開館
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物撮り写真家 モリサワ ジュンコ

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魅力あふれるモノゴトをインスピレーションとともにお伝えします。デザインやアート、建築が好き

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