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2025.03.07
【招待券プレゼント】東京都美術館で開催中!ジョアン・ミロすべてが詰まった大回顧展「ミロ展」をレポート
東京・上野にある東京都美術館では3月1日(土)より「ミロ展」が開催中。今回は、その展覧会のみどころをレポートします。 展覧会の開催を記念して、ことりっぷweb読者のみなさまの中から抽選で3組6名様をご招待します。

約100点の作品が集結!ミロの軌跡をたどる大回顧展

「ミロ展」展示風景、東京都美術館 2025
ジョアン・ミロ(1893-1983 以下:ミロ)は、ピカソやダリと並ぶ20世紀を代表する芸術家。スペイン、カタルーニャ州に生まれ、90歳までの生涯に渡り形式にとらわれない独自のスタイルを確立。太陽や星、月、鳥、人物など自然の中にある象徴的な形と色彩でユーモラスな世界を描きました。 本展覧会では、ミロの初期から晩年までの油彩、陶芸、彫刻、ポスターなど約100点を紹介。今年創立50周年を迎えるミロ財団をはじめ、世界中の主要な美術館や個人の収蔵品などが一堂に会する大規模回顧展となっています。 音声ガイドナビゲーターは3月6日(ミロの日)に36歳を迎える、アーティストの岩田 剛典(いわた たかのり)さん。ミロの芸術について詳しく解説していただけます。音声ガイドは、会場レンタル版とアプリ配信版(iOS/Android)が楽しめます。

ミロの芸術への決意ーカタルーニャからパリへ

ジョアン・ミロ《自画像》1919年 ピカソ美術館、パリ
全5章で構成される本展。最初の章となる「若きミロ 芸術への決意」では、画家として歩み始めたミロの原点に迫ります。 バルセロナで会計係として働いていた10代のミロは、仕事に馴染めず体調を崩してしまいます。この出来事をきっかけに美術の道に進む決意を固め、1912年、本格的に絵画の勉強を再開しました。

「ミロ展」展示風景、東京都美術館 2025
カタルーニャの地で、風景画や人物画、静物画などさまざまな画風を取り入れながら、自己表現を模索していったミロ。特にこの時期の作品には、モンロッチの風景をモチーフにしたものが多く見られます。植物などの細やかな描写と、単純化されたシンプルな形が1つの作品の中で共存しており、この作風はのちのシュルレアリスムへとつながる基盤を感じさせます。 ミロの作風がどのように変化していったのか、その過程を意識しながら鑑賞すると、より楽しめます!

詩と絵画の融合ーパリで育まれた新たな表現
第2章「モンロッチーパリ 田園地帯から前衛の都へ」では、1920年代の活動に焦点を当てます。1920年、ミロは初めてパリを訪れ前衛芸術に魅了されていきました。1921年にはパリで初の個展を開催し、シュルレアリストたちと交流を深めます。 そして1925〜1927年にかけて「夢の絵画」と呼ばれる100点以上の作品を制作。パリとカタルーニャ南部のモンロッチを行き来する生活をしながら名声を高めていきました。

ジョアン・ミロ《絵画=詩(栗毛の彼女を愛する幸せ)》1925年 ジョアン・ミロ財団、バルセロナ(寄託)
この頃には<絵画=詩>の連作も誕生。作品には単語や記号、抽象的な文字が加わり、「詩」と「絵画」が融合した、遊び心のある作風へと変化しています。

「ミロ展」展示風景 東京都美術館 2025
また、1928年のオランダ旅行では、マウリッツハイス美術館やアムステルダム美術館を訪問。17世紀のオランダ絵画にインスピレーションを受けたミロは、購入したポストカードをもとに、3点の<オランダ室内>シリーズを制作しました。

「ミロ展」展示風景 《オランダの室内Ⅰ》の解説パネル 東京都美術館 2025
会場では、<オランダの室内 Iのための準備素描>もパネルで展示。弦楽器のリュートを持った奏者のモチーフが、完成に至るまでどのように変容していったのか、ミロの創造のプロセスをじっくりと観ることもできますよ。

逃避と詩情 <星座>シリーズから3点を展示
第3章「戦禍を逃れて」では、1930年代から1946年までの戦争時代が背景となっています。 スペインで勃発した内乱や第二次世界大戦の戦禍を逃れ欧州を転々としながら、創作を続けました。現実からの逃避だけではなく、内面の世界を探求。詩的で神秘的な表現が多くみられるようになっていきます。

ジョアン・ミロ《絵画=オブジェ》1936-1953年 国立ソフィア王妃芸術センター、マドリード

ジョアン・ミロ《絵画(カタツムリ、女、花、星)》1934年 国立ソフィア王妃芸術センター、マドリード

ジョアン・ミロ《絵画》1936年 ナーマド・コレクション
並べられた5点の<絵画>シリーズは、木質繊維板のメゾナイトという素材の上に描かれた作品。暗めのトーンでありながら不思議な安心感が印象的。大きく歪んだモチーフやタールを使った技法は、圧倒的な激しさも感じとれます。

「ミロ展」展示風景 <星座>シリーズ 東京都美術館 2025
このエリアで特に注目していただきたいのは、1940年1月に制作をスタートさせた<星座>シリーズ。本展ではその貴重なシリーズの中から3点が集結します。 夜に着想を得て制作された作品には、詩や音楽に触発された幻想的な世界が広がります。夜空に浮かぶ星々のように、女性や鳥、梯子(はしご)といった象徴的なモチーフがちりばめられ、のちの作品にも繰り返し登場する重要な要素となりました。

ジョアン・ミロ《明けの明星》1940年 ジョアン・ミロ財団、バルセロナ
3点の中にある《明けの明星》 は、ミロが最愛の妻に贈ったもので<星座>シリーズが初公開された展覧会でも公開することはなかったという、特別な作品なのだそう。 このシリーズに描かれた幻想的な世界は、戦争という暗闇の中で生まれた希望の光だったのかもしれませんね。

バルセロナ以外の展示は40年ぶりとなる《太陽の前の人物》にも注目
続く第4章「夢のアトリエ 内省を重ねて新たな創造へ」では、1947年のミロの初渡米から1960年代までの創作活動に焦点を当てます。 1947年、ミロは初めてアメリカを訪れ欧州とは異なる刺激を受けました。1959年には、ニューヨーク近代美術館(MoMA)で2度目の回顧展も開催され、アメリカでの評価がますます高まっていきます。

「ミロ展」展示風景、東京都美術館 2025
版画やエッチング、リトグラフなどの新たな表現技法に挑戦し、職人たちとの共同制作にも関心を深めていったミロ。さらに陶芸や彫刻にも情熱を注いでいきます。 1956年には、マジョルカ島にアトリエを構え、ますます多彩な創作活動を展開していきます。この頃の作品には、赤・青・黄の力強い色彩が際立ち、シンプルでありながらも生命力あふれる表現が特徴的です。

「ミロ展」展示風景、東京都美術館 2025

「ミロ展」展示風景、東京都美術館 2025
また、活動初期から日本の詩に影響を受けていたミロは、1966年と1969年に来日。日本美術や禅の精神に触れることで、その創作はさらに深化します。シンプルな線や余白の活かし方など、書道にも通じる表現を探求し、やがて自身の芸術にも取り入れていきました。

ジョアン・ミロ《太陽の前の人物》1968年 ジョアン・ミロ財団、バルセロナ
こちらのエリアでは、バルセロナ以外では40年ぶりの展示となる《太陽の前の人物》も。ぜひ注目してみてくださいね。

感じるアートをぜひ会場で!生涯探求し続けた、ミロの世界
最後の章は、1970年代の「新たなる挑戦」。ミロは90歳でこの世を去るまで、ますます大規模な作品に取り組みました。 時にはバケツや瓶に入れた絵の具を激しくぶちまけ、絵の具を塗ったボールを投げつけるなど、ダイナミックな手法を次々と取り入れます。さらに、ほうきや塗料用のブラシを使うだけでなく、カンバスを燃やしたり、ナイフで切り抜いたりすることも。

ジョアン・ミロ《花火 Ⅰ Ⅱ Ⅲ》1974年 ジョアン・ミロ財団、バルセロナ
三連画の《花火 I・II・III》では、重力でしたたり落ちる絵の具の流れに筆を加えるなど、新たな表現を模索。アメリカの若い抽象主義アーティストからの影響も受けながらも、独自のスタイルを進化させました。 このエリアでは、晩年に至るまでミロが常に新しいものを取り入れ、自身の内面から湧き出るものを探求し続けたことが伝わってきます。

ジョアン・ミロ《涙の微笑》1973年 ジョアン・ミロ財団、バルセロナ(寄託)
ミロの作品は、知識がなくても“感じる”ことができるアート。世界中から集めた約100点の作品を、一堂に鑑賞できるこの機会をお見逃しなく。 色と形に込められたエネルギーを、ぜひ「ミロ展」の会場で体感してください!

ミロの世界観を持ち帰ろう! カラフルなグッズも見逃せない
展覧会を堪能したあとは、ギフトショップにも立ち寄りたいところ。鑑賞の記念となる図録やさまざまなグッズが多数揃っています。カラフルなアイテムが並び、気分も高まります!

(左上)展覧会図録、(右上)手ぬぐい・コースター・キーリング、(左下)アクセサリー、(右下)マグカップ
展覧会図録には、本展で紹介された約100点の全作品をフルカラーで収録。表紙には、《絵画=詩(栗毛の彼女を愛する幸せ)》《明けの明星》《涙の微笑》をあしらい、ミロを象徴する赤・青・黄の色彩が印象的です。どの色の図録にするか迷ってしまいそうです。 さらにグッズも充実のラインナップ。手拭いやコースター、キーリング、アクセサリー、マグカップ、Tシャツなど、ミロの世界観を表現したデザインが心躍ります。 展覧会の余韻を日常の中で楽しめるアイテムが揃っているので、お帰り前にぜひチェックしてみてくださいね。 ※こちらの記事は2025年2月28日に、許可を得て撮影したものです

「ミロ展」の招待券を3組6名様にプレゼント!

東京都美術館にて開催中の「ミロ展」の招待券を3組6名様にプレゼントします。ことりっぷWEB・アプリ会員の方は当選確率が2倍になるので、ぜひ会員登録を行った上で応募してくださいね。 ○「ミロ展」 会期:2025年3月1日(土)~7月6日(日) 会場:東京都台東区上野公園8-36 ○応募締切:2025年3月25日(火) ※当選者の発表は、招待券の発送をもって代えさせていただきます。
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モリサワ ジュンコ
Writer
物撮り写真家 モリサワ ジュンコ

魅力あふれるモノゴトをインスピレーションとともにお伝えします。デザインやアート、建築が好き
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