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2025.03.20
高知県であこがれの清流「仁淀ブルー」に癒やされる1泊2日の週末旅へ
高知駅から車で約40分、高知県のほぼ中央を流れる全長124㎞の一級河川「仁淀川」。神秘的な青の美しさをネイチャーカメラマンの高橋宣之氏が「仁淀ブルー」と呼び、その名が広まったと言われています。そんな美しい青の景色を存分に楽しむなら、ぜひ訪れたいスポットが3か所あります。街から離れた上流域に点在するその場所は、まさに秘境のオアシス。周辺にはリバービューのカフェや体験スポットもあり、楽しみは尽きません。 今回は仁淀ブルーを満喫する1泊2日のモデルコースをご紹介。6市町村をまたぎながら流れる仁淀川とその支流には見どころが点在するため、移動は車がおすすめです。

川底が見えるほどに透きとおった仁淀川
国土交通省が発表する「水質が最も良好な河川」にこれまで何度も選ばれている「奇跡の清流 仁淀川」。急峻な地形で流れが速く、不純物がとどまりにくいうえに、藻が繁殖しにくい水温であることから、高い透明度を維持しています。澄んだ清流に太陽の光や空の青が注がれることで、ターコイズブルーにもエメラルドグリーンにも輝きが変化。その神秘的な色彩は、一年を通して見ることができます。
「仁淀ブルートリップガイド」特設サイトはこちら

【仁淀川三景①】秘境にある神秘の滝壺「にこ淵」で美しい青色に出会う

歩きやすい靴で行くのがおすすめ
まずは仁淀ブルーを象徴する景色に会いに、仁淀川支流の源流近くにある滝壺「にこ淵」へ。光の量や角度により緑や青に変化する滝壺の色は、高橋宣之氏に「この青こそ仁淀ブルー」と称賛された神秘の色合い。太陽が差し込む正午前後が最も美しく、刻一刻と印象が変わる幻想的な風景を楽しめます。
にこ淵
ニコブチ

仁淀川を望む全席リバービューの「高知アイス売店 仁淀川カフェ」でカフェタイム

アートのように美しい景色を眺めながら小休憩
「にこ淵」から高知市方面へ車で約25分。地元で愛されるアイス製造メーカー「高知アイス」が営むカフェへ。大きな窓が配された全席リバービューの空間が出迎え、まるで絵画のように美しい光景とともにカフェタイムが過ごせます。高知を代表する果物・ゆずや文旦のシャーベットなど、地元の特産品を使用した約30種類のカップアイスも購入できますよ。

(左)土佐ジローのタマゴを使った濃厚なバニラソフトクリーム440円 (右)生姜シフォンケーキ550円、ドリンクセットはプラス250円
こちらでぜひ味わいたいのが、土佐ジローの卵で作ったソフトクリーム。濃厚でコクのある味わいが人気です。このほかにも、県産のしょうがやゆずを使ったケーキやドリンクもそろいます。周囲の山々と仁淀川が織り成す絶景と一緒に、高知の恵みを味わいましょう。
高知アイス売店 仁淀川カフェ
コウチアイスバイテンニヨドガワカフェ

清流の恵み・土佐和紙にふれる、道の駅「土佐和紙工芸村」

紙漉き体験「はがきづくり(草花入り)」800円(はがき8枚)。予約不要
「高知アイス売店 仁淀川カフェ」から車で約10分の道の駅「土佐和紙工芸村」へ。こちらは直売所に加え、レストランやホテルも併設する複合施設。土佐和紙の紙漉きなど、工芸体験も楽しめます。土佐和紙とは日本三大和紙のひとつで、原料に仁淀川の澄んだ水と楮(こうぞ)を使い、土佐の地で作られる和紙の総称。927(延長5)年にはすでに製造されていたといわれるほど長い歴史があります。

紙漉き体験の所要時間は1時間程度
紙漉き体験では「ため漉(すき)」という方法で、オリジナルの和紙ハガキを作成することができます。体験は桁(けた)で紙を漉いて水を切るところからスタート。桁から和紙をはずした後は、季節の生花や野草の中からお気に入りを選び、ハガキを彩ります。機械で圧縮し、20分ほど乾燥させれば出来上がり。そのほか同施設では、はた織り体験(要予約)やリバーアクティビティ(要予約)などさまざまな体験があるので、仁淀川の恵みを体感してくださいね。
土佐和紙工芸村
トサワシコウゲイムラ

川と集落と橋が織り成す素朴な風景を眺める「浅尾沈下橋」
土佐和紙工芸村から浅尾沈下橋へ向かう県道18号の一部には、車1台程度と道幅が狭い箇所があるので、運転には注意が必要(迂回路あり)(画像提供:一般社団法人仁淀ブルー観光協議会)
『竜とそばかすの姫』をはじめ数々の映画やドラマのロケ地にもなった「浅尾沈下橋」にも立ち寄り。沈下橋とは、増水時に水の抵抗を受けにくくするため、欄干を設けていない橋のこと。仁淀川にはそれぞれに風情が異なる全6本が架かり、川とともに生きる人々の暮らしを感じます。浅尾沈下橋の対岸には日本の原風景・鎌井田集落が広がり、川と里山が生み出すのどかな風景を楽しむことができますよ。
浅尾沈下橋
アソオチンカバシ

渓谷のせせらぎと木の香りに癒やされて「中津渓谷 ゆの森」にステイ

中津渓谷の入口までは徒歩すぐ。仁淀川観光の拠点に便利な宿
宿泊は中津渓谷の入口に建つ温泉宿「中津渓谷 ゆの森」へ。和室4部屋の本館と3棟の洋室コテージがあり、どちらにも仁淀川町産の木材を使用。本館客室からは渓谷が眺められます。木の香りに心が和むコテージは、大自然との一体感が味わえるバルコニーも魅力。春には本館の桜が景色に彩りを添え、夜は桜のライトアップも。

(上)渓谷の自然を感じながら入浴が楽しめる露天風呂と大浴場 (左下)コテージは広々としたツインルーム (右下)日帰り利用もできる1階レストランのテラス席。仁淀川の景観もごちそう
中津渓谷のせせらぎをBGMに過ごせるのは、浴槽に仁淀ブルーを思わせる青色タイルが敷かれた露天風呂。アルカリ性単純硫黄冷鉱泉の泉質が美肌を叶えます。大浴場の大きな窓から緑が広がる開放的な空間も魅力的。2階の宿泊者専用のレストランでは、和食膳で仁淀川の幸を味わうことができます。目の前の清流を感じながら、五感で大自然を味わう時間を過ごしてくださいね。
中津渓谷 ゆの森
ナカツケイコクユノモリ
https://www.yunomori.jp/
日帰り入浴料800円(小人400円、繁忙期はそれぞれプラス100円)

【仁淀川三景②】「中津渓谷」で仁淀ブルーと奇岩、滝が織り成す絶景を眺める

渓谷をぬうように遊歩道が整備されている
2日目はホテルからすぐの景勝地「中津渓谷」からスタート。雨と渓谷の流れが造り出した数々の奇岩と仁淀ブルーが織り成す景観を、約1.3㎞の遊歩道から楽しむことができます。遊歩道沿いには「七福神」の石像が点在するので、探しながら散策するのも楽しみのひとつ。

巨大な石の間をすり抜けるようにして水が流れる「雨竜の滝」
クライマックスは入口から歩いて20分ほどの場所にある「雨竜の滝」。爆音とともに、落差20mの高さから大量の水が奇岩に打ち付けながら流れ落ちる様子は圧巻。水しぶきがかかるほど目の前まで近づいて眺めることができるため、迫力が感じられます。紅色がかった岩でできた滝壺もまた見ものです。
中津渓谷
ナカツケイコク

「茶農家の店 あすなろ」で仁淀川を眺めながら茶葉ランチ

仁淀川と周囲の山々を見渡す開放的な眺めが魅力
絶景ウォークを楽しんだ後は、車で15分の場所にある「茶農家の店 あすなろ」でランチをいただきましょう。仁淀川の上流域は四国有数の茶処としてとして知られる場所。豊かな水に恵まれ、栽培に適した環境で育つ茶葉は、ひときわ力強いテイストと豊かな香り、濃いうまみに富んでいます。そんな場所でお茶の栽培を行う農家が営むこちらのカフェでは、一面ガラス張りの店内席やテラス席から、仁淀川と山々が生み出す美しいコントラストが楽しめます。

(左)あすなろ御膳1780円 (右上)左から沢渡茶のスムージー、沢渡茶のクリームラテ各750円 (右下)沢渡茶の茶葉は煎茶とほうじ茶がある
おすすめは沢渡茶の茶葉や山菜など、仁淀川の恵みを用いた茶農家のごちそうランチ「あすなろ御膳」。ランチの御膳にはすべて、本日のおすすめ茶も付いてきます。食後には沢渡茶のソフトクリームやクリームラテなどの自家製スイーツやドリンクも。店内では持ち帰り用の沢渡茶やスイーツなども販売しています。
茶農家の店 あすなろ
チャノウカノミセアスナロ

【仁淀川三景③】「安居渓谷 水晶淵」で仁淀川随一の透明度に感動

最大の見どころは「水晶淵」。安居渓谷の散策では石段や岩場などを進むので、歩きやすい靴で訪れて
旅のクライマックスには全長約10㎞にもおよぶ「安居渓谷」へ。見どころは各地に点在していますが、なかでもぜひ見たいのが、青く輝く水晶淵。仁淀川屈指の透明度を誇り、季節や時間帯によって緑や青へと水の色が変わる姿に、思わずため息がこぼれます。

隠れた名所「砂防ダム」
水晶淵の少し上流にある、砂防ダムもまた美しいフォトスポット。ダムから流れる水のカーテンと透明度の高い水のたまり場が見どころです。青の世界が次から次へと現れる渓谷ウォークが楽しめる安居渓谷。散策の所要目安は1~2時間ほど。それぞれのビュースポット近くに駐車場があるので、目的の場所まで車で移動しながら散策できます。
安居渓谷 水晶淵
ヤスイケイコクスイショウブチ

【ひと足のばして】仁淀川の下流域にある3市町村にも立ち寄ってみませんか

(左)日高村オムライス街道にある「カフェレスト マンマ亭」の昔ながらのオムライス (右)日高村で運航する屋形船仁淀川(画像提供:一般社団法人仁淀ブルー観光協議会)
高知市の西に位置する仁淀川エリアは6つの市町村で構成されていて、これまで紹介した「いの町」「仁淀川町」「越知町」のほか、「日高村」「佐川町」「土佐市」にも魅力がたくさんあります。 日高村は特産品であるトマトを使った「日高村オムライス街道」が有名で、仁淀川の最下流にかかる「名越屋沈下橋」やその付近を運航する「屋形船仁淀川」で仁淀川を楽しむことができます。

(左上)佐川町の司牡丹酒造でおみやげを (左下)桜の名所としても知られる佐川町の牧野公園 (右)土佐市の仁淀川河口海岸
佐川町は、造り酒屋の酒蔵や商家を中心とした歴史情緒あふれる街並みが今なお残る町。植物分類学者・牧野富太郎博士の出身地でもあり、桜やバイカオウレンなどの草花を楽しむことができる「牧野公園」も魅力的です。 土佐市は西日本最高峰の石鎚山から流れる「仁淀川」と「太平洋」が合流する街で、土佐文旦や改良土佐節(かつお節)の発祥の地です。とうとうと流れる仁淀川は場所によって異なる表情を見せてくれます。
観光スポット一覧はこちら

便利な観光タクシーもありますよ
仁淀ブルーを眺めながら爽快なドライブへ(画像提供:一般社団法人仁淀ブルー観光協議会)
今回ご紹介した仁淀川エリアは見どころが広範囲に点在するため、観光には車移動がおすすめ。一部道路が狭い場所があるため、運転が苦手な人には観光タクシーという選択もありますよ。予約はネットからでき、いくつか用意されたコースから選択するか、オーダーメイドで設定することもできます。
詳細&予約はこちら
仁淀ブルー観光協議会 観光タクシー
ニヨドブルーカンコウキョウギカイカンコウタクシー
今回ご紹介した <仁淀ブルーを満喫する1泊2日モデルコース>
[1日目]
にこ淵
↓車で25分
高知アイス売店 仁淀川カフェ
↓車で10分
土佐和紙工芸村
↓車で25分
浅尾沈下橋
↓車で30分
中津渓谷 ゆの森
[2日目]
中津渓谷
↓車で15分
茶農家の店 あすなろ
↓車で45分
安居渓谷 水晶淵
清流の恵みを感じる風光明媚な景色やグルメなど、魅力的なスポットがいっぱいの仁淀川エリア。神秘の仁淀ブルーにふれて、癒やしの時間を過ごしてくださいね。
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西村恵美(forest) 写真:森昌史(forest)
一般社団法人仁淀ブルー観光協議会

仁淀ブルー観光協議会は仁淀川流域の6市町村を一体とした観光地域として、 マーケティングやプロモーション、旅行商品の造成・販売、観光人材の育成等の機能を担い、広域での観光地域づくりを行っています。
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