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2025.07.20
100年の時が磨く、世界的デザイナーが手がけた老舗宿へ。伊豆「玉峰館」でのんびり贅沢なひとときを
伊豆急行「河津駅」から車で約5分。奈良時代から湧き続ける峰温泉を引く「玉峰館」は、大正15年創業の老舗宿。世界的インテリアデザイナー・内田繁さんが手がけた空間は、100年前の趣とモダンな建築美が融合した、格調高いくつろぎが満ちています。 夕食のメインはプリフィックススタイルで、魚料理・肉料理をそれぞれ選べる楽しみも。湯に癒され、美食に酔う、至福のおこもりステイをしてみませんか?
世界に認められた美意識が息づく、大正時代の湯宿

約1600坪の日本庭園に静かに佇む玉峰館
「玉峰館」は、2025年に創業100年を迎えた、伊豆市河津町の老舗温泉宿。2013年のリニューアルにより、レトロモダンな、唯一無二の宿として生まれ変わりました。 デザインを手がけたのは、紫綬褒章を受章し、国内外で高く評価されたインテリアデザイナー・内田繁さん。そんな内田さんが生み出す空間には、細部に至るまで繊細な美しさが宿っています。

内田さんがデザインした庭園は、どんな天気でも自然のうつろいが心を穏やかにしてくれる
入り口の暖簾をくぐると、緑たっぷりの日本庭園がお出迎え。陽射しにきらめく青紅葉や、しっとりと濡れた苔の緑……。一歩一歩、足を進めるうちに、日常から非日常モードへ気持ちが切り替わっていくよう。

大迫力の「源泉櫓」が旅気分を盛り上げてくれる

ワインセラーには、世界各国のワインや地酒などが並ぶ
フロント横には、選び抜かれたワインがずらりと並ぶワインセラーを完備。「なぜ、温泉宿に?」と思われるかもしれませんが、これは毎月変わるディナーの献立に合わせて、料理とのペアリングを追求するためのもの。 セラーには、珍しい“隠れ銘柄”もあり、まるで宝箱をのぞくような楽しみも。

シックで大人の雰囲気漂うロビーラウンジ
ラウンジは、黒を基調とした落ち着いた設え。朱色の壁が映える、クラシカルとモダンが融合した、すてきな空間です。

ウエルカムサービスの自家製わらび餅&伊豆名産ぐり茶
こだわりが詰まった客室

中庭の回遊式庭園を一望できる広縁がついた「広縁付き和室」
部屋数は、本館12室、離れ4室の16室のみ。少ない部屋数だからこそ、一人ひとりに寄り添う、丁寧なおもてなしが叶います。 お庭を眺めてのんびり過ごしたいなら、客室は「広縁付き和室」がおすすめ。お部屋の広さは約41〜51平米。ベッドタイプも選べるので、和のぬくもりと洋の快適さがあります。

種類豊富なお茶菓子

好きなタイミングで楽しめる源泉パック
さらに、女性ゲストには源泉パックの嬉しいサービスも。1000年以上の歴史を受け継ぐ「峰温泉」の源泉をたっぷり含ませたローションマスクで、肌をしっとりと潤すことができます。湯に浸かるだけでなく、顔にも“湯の恵み”を届けられるのは「玉峰館」ならでは。

約39平米、2名まで利用可能な「大正モダンツインルーム」
また、女子旅にぴったりなのが、大正モダンの雰囲気あふれる「大正モダンツインルーム」。このお部屋は、赤い壁や市松模様の天井が印象的な和洋折衷のテイスト。どこを切り取っても絵になる空間で、思わずカメラを構えたくなるかも。

最大4名利用可能な「離れ(露天風呂付き)」
記念日や誕生日など、特別な日には、ぜひ離れの客室を。ヴィラタイプになっているため、“おこもり滞在”にぴったりです。 お部屋は、リビングとベッドルームに分かれたゆったりとした間取り。別荘のような静けさの中で、誰にも邪魔されないプライベートな時間を過ごせます。

趣の異なる“湯めぐり”も楽しみのひとつ

ダイナミックが湯浴みができる「大岩露天 吹花」
玉峰館には、男女入替制の大浴場と3つの貸切風呂があります。泉質はすべてナトリウム-塩化物温泉ですが、成分やpH値が微妙に異なるため、その違いを比べてみるのもツウな楽しみ方。 なかでも外せないのが、大浴場「大岩露天 吹花(すいか)」。こちらは、創業時の浴室跡に設えられた、岩造りの大きな露天風呂。湯船には、大正15年に掘り当てた「峰1号」を含む混合泉が惜しみなくかけ流されています。 「吹花」のすぐ隣には、「峰温泉大噴湯公園」の温泉櫓が。タイミングが合えば、ゴォォォ……という轟音ともに、地上30メートルまで吹き上がる自噴泉も楽しめますよ。

「湯処 風花」は自然とひとつになれるような、癒やしの湯浴みができる

竹林の小道を抜けて、貸切風呂へ向かう
貸切風呂は、それぞれ趣の異なる3つの湯処を用意。1回40分間の利用で、空いていれば何度でも無料で利用できます。 幻想的な美しい小道を抜けた先に佇むのは、2つの貸切風呂「薫風(くんぷう)」と「光風(こうふう)」。

浴槽・壁・床すべてが黒で設えられた「光風」

人気が高い貸切風呂「夕凪」
3つある貸切風呂の中で、最も人気なのが、本館2階の「夕凪(ゆうなぎ)」。人気の理由は、塀の向こうにあります。

湯船に浸かりながら、源泉櫓の湯けむりを間近に眺められる
新日本料理の美食に酔いしれる

初夏の風景のような前菜の盛り合わせ
いよいよ、お楽しみの夕食タイム。ダイニングでは、「新日本料理」と称する、創作和風料理を楽しめます。 この日の前菜の盛り合わせは、青紅葉にのせて。昆布じめにした鯛を塩味のきいたカラスミのオイルで和えたものや、甘辛い真蛸とジューシーな翡翠など、季節の恵みが少しずつ丁寧に盛り込まれています。


黒毛和牛のヒレ肉網焼き
メイン料理は、プリフィックススタイル。魚料理・肉料理、それぞれ好みの一皿を選べます。 この日セレクトした肉料理は、黒毛和牛のヒレ肉網焼き。しっとり柔らかなお肉に付けるのは、カンボジア産の生胡椒「カンポートペッパー」と、フランス・ゲランドの塩のみ。シンプルだからこそ、お肉本来のおいしさがぐっと際立ちます。

山形県産つや姫で炊き上げる

明かりが灯ると雰囲気も一変
夕食のあとは、ライトアップされた庭を眺めながらテラスでひと息。口福な余韻と夜の静けさが、一日の疲れを癒やしてくれます。
バーで大正モダンに酔いしれる

ガラス作家・林久美子さんによるペンダントライトが灯る
大人の夜を過ごすなら、バー「ToteSYAN(トテシャン)」へ足を運んでみて。ここは、大正時代の蔵をリノベーションしたレトロモダンな空間。「トテシャン」という名前も、大正時代に流行した、“綺麗な女性”を意味する言葉から名付けられているのだとか。

一品一品に心を込めた、品数豊富な朝ごはん

釜炊きのごはんに合うお供がたくさん
朝ごはんも、夕食に負けないほど豪華。釜炊きの「つや姫」ご飯を中心に、出汁巻き玉子、干物、煮物、小鉢、香の物、湯豆腐、デザートまで。一日の始まりを丁寧に迎えることにこだわった、朝のごちそうです。
玉峰館
ギョクホウカン
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安藤美紀
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