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2025.08.02
箱根旧街道で朝7時からオープン。江戸時代にタイムトリップしたような茅葺屋根の「甘酒茶屋」で癒やしのひとときを
江戸時代、東海道最大の難所だった箱根越え。その箱根旧街道の峠道に佇む「甘酒茶屋」は、400年以上前から旅人に愛されてきた甘味処です。名物の甘酒は、麹のやさしい甘みが際立つ、すっきりとした味わい。さらに夏は、冷やし甘酒や自家製シロップのかき氷も登場。江戸時代にタイムトリップしたような空間で、ほっこりおいしい涼味を楽しめます。
現存する箱根最古の甘味処

日本昔ばなしに出てきそうな佇まい
かつて参勤交代や伊勢参りなど、さまざまな目的で多くの旅人が上り下りしていた「箱根旧街道」。標高差が大きく、ヘアピンカーブが続くこの峠道は、“箱根八里”と呼ばれ、東海道随一の難所として知られていました。 そんな歴史ある街道沿いにひっそり佇むのが「甘酒茶屋」。お店の創業は古く、江戸初期までさかのぼります。

「不便」がコンセプトのノスタルジックな店内

ほの暗い店内は、しんと静まり返り、聞こえてくるのは、鳥の声や沢のせせらぎだけ。にぎやかな「箱根湯本駅」から車でわずか20分ほどの距離ながら、ここだけ時間が止まったような静寂が広がります。


この建物は、昭和48年の火災で全焼しましたが、後に再建された材を再利用して、平成21年に建て替えられました。茅葺屋根や古材をふんだんに使用した、昔ながらの造りになっています。 パチパチと薪が燃える囲炉裏や、奥には和室も。どこにいても、心がほどけていくような、品のある落ち着きを感じられます。


店内に飾られた絵にも、ぜひ目を留めてみて。甘酒茶屋は、あの「忠臣蔵」の舞台のひとつとされる場所。神崎与五郎が詫証文をしたためたという逸話も、語り継がれています。
時代を超えて受け継がれてきた甘酒

「甘酒」(500円)には、ふきのとうの醤油漬けが付く
江戸時代から受け継がれてきた甘酒は、材料も製法もシンプル。地元産のお米と米麹、塩を混ぜ、室(むろ)で一昼夜、じっくり保温すれば完成です。 甘酒と聞くと甘いイメージがありますが、ここの甘酒は砂糖を一切使っておらず、さっぱりとした味わい。麹のやさしい甘さと素朴な香りが、じんわり体に染みわたります。

力餅はそれぞれ2個入りで提供、寄木細工の箸をそえて
甘酒と一緒に味わいたいのが、備長炭でふっくら焼かれた「力餅」です。種類は、うぐいす・黒ごま・いそべの3種類。どれにしようか迷ったら、一番人気の「うぐいす」(600円)を。国産・青大豆のきな粉をまぶした、ほんのり甘い味わいが口いっぱいに広がります。 ちなみに甘酒茶屋は、毎朝仕込んで、その日のうちに提供するスタイル。そのため、店主の山本さんは毎朝3時台に起きて、力餅の仕込みや甘酒づくりに取りかかっているのだとか。

数量限定「黒ごまの力餅」(600円)
また、「黒ごま」もファンが多い逸品。もちもちのお餅には、すりたての黒ごま入りきな粉をたっぷりトッピング。香ばしく、ごまの風味豊かな力餅です。ただし、数に限りがあるため、早めの注文がおすすめ。

「つぶつぶいちごのかき氷」(1000円)、「冷やし甘酒」(500円)
そんな力餅と並ぶ、夏の人気メニューが、冷やし甘酒と自家製シロップのかき氷。甘酒といえば冬のイメージが強いですが、俳句の世界では、甘酒は「夏の季語」。江戸時代には、暑気払いの栄養源として親しまれていました。 ひと口飲めば、すっきりとした甘みが、喉をすべります。暑さに疲れた体を内側からリフレッシュしてくれますよ。 また、かき氷にかけるシロップは、手作りにこだわった自家製。「つぶつぶ苺のかき氷」は、旬の苺を使い、5月から仕込みを始めて約2ヶ月かけて作り上げるこだわりの一品です。

「甘酒の素」(750円)は、お湯や水で割って温めるだけ
店内では、お土産用の甘酒も販売。自宅でも、江戸から続く老舗の味を気軽に楽しめますよ。


甘酒茶屋
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安藤美紀
Writer
安藤美紀

湘南を拠点に全国を旅するフリーライター。執筆した記事は1000以上。温泉の資格も複数保持。
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