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2025.11.08
もみじが色づく北鎌倉の紅葉さんぽ♪名刹の円窓が映す秋色の静寂
自然豊かな北鎌倉では、秋の深まりとともに赤や黄金色に木々が染まり、華やかな季節を迎えます。今回は「あじさい寺」として名高い明月院から、禅の空気が漂う円覚寺まで、紅葉の美しいスポットを巡るおさんぽコースをご紹介します。秋色の景色を堪能したあとは、築100年の古民家カフェでのランチや、趣のある茶屋での甘味でほっと一息。寺社の静けさとカフェの温もりで心も体も満たされる、秋の北鎌倉さんぽへ出かけましょう。
秋こそ訪れたい「明月院」の幻想的な紅葉景色
日本らしさに異国の情緒を取り入れた茶屋「月笑軒」
古民家で味わう温かい看板メニュー「狸穴カフェ」
禅の空気が漂う「円覚寺」の雄大な紅葉
境内の「弁天茶屋 航」で優しい甘さにほっこり
秋こそ訪れたい「明月院」の幻想的な紅葉景色
明月院へと続く川沿いの小道
アジサイの季節には、その美しさから「あじさい寺」として多くの人が訪れる明月院。山あいに冷たい空気が満ち始め頃、境内は静寂に包まれ、紅葉の色づきが一層鮮やかに映えます。この時期こそ見逃せない幻想的な美しさがあります。
紅葉の帳が降りる境内
山門から本堂へと続く参道は、足もとには苔の緑、頭上には紅葉の天蓋(てんがい)。自然の色が織りなすグラデーションが、歩みを進めるごとに変化していきます。
円窓に映る息をのむほど美しい照紅葉
秋色につつまれる円窓
本堂にある円窓は「悟りの窓」とも呼ばれていて、人生の無常や円満を象徴するとも言われているのだそう。本堂裏に広がる庭園の紅葉を映し、赤く染まったモミジや黄金色の葉っぱが光を浴びて輝きを放つ様子は、まるで一枚の絵画のよう。光の差し込み方によって、刻一刻と表情を変えてゆきます。
本堂の円窓
「本堂裏庭園」は通常は非公開となっているものの、紅葉シーズンに合わせて特別に公開されます。池の周りのもみじも見事で、鮮やかな赤や黄色の葉が池の水面に映り込み訪れる人々を魅了します。
期間限定で公開される「本堂裏庭園」※別途500円が必要
古都ならではの奥ゆかしく、静かな秋の気配に包まれる明月院。深まりゆく季節の魅力を存分に感じることができますよ。
明月院
メイゲツイン
日本らしさに異国の情緒を取り入れた茶屋「月笑軒」

総門に近いエリアに佇む「月笑軒」
紅葉の美しさに心を奪われた後は、明月院の境内にある茶屋「月笑軒(げっしょうけん)」でほっとひと息。境内に溶け込むような趣があり、散策で少し疲れた体を優しく迎えてくれます。

倉敷塩屋製の「甘酒」(600円)
古民家の外観とは裏腹に、店内はヨーロッパのアンティーク家具で統一され、和の空間に異国情緒が加わります。時間を忘れてしまうほど居心地がよく、抹茶やコーヒーのほか、少し肌寒く感じる秋の午後には、じんわりと体が温まる甘酒もおすすめです。

どこか懐かしい雰囲気
「月笑軒」の記事はこちら
月笑軒
ゲッショウケン
古民家で味わう温かい看板メニュー「狸穴カフェ」

古民家に白色の暖簾がかかる
ランチタイムは、古民家をリノベーションした「狸穴(まみあな)カフェ」へ。築100年以上の歴史を持つ古民家は、温かみのあるレトロな雰囲気が漂い、入るだけでほっと安心感を覚えます。アンティークの家具や調度品が大切に磨き上げられ、ツヤツヤと光を放つ様子がまた素敵。

「ブルゴーニュ風ビーフシチュー」(1980円)パンとサラダつき
名物は時間をかけてコトコト煮込んだ「ブルゴーニュ風ビーフシチュー」。口の中でとろけるようなお肉の旨みが凝縮され、とてもまろやか。ゆったりとした時間が流れるなか、のんびり味わって。

天井が高く開放感のある2階席
「狸穴カフェ」の記事はこちら
狸穴カフェ
マミアナカフェ
禅の空気が漂う「円覚寺」の雄大な紅葉
総門へと続く石段
カフェを出たら、鎌倉五山の一つに数えられる古刹「円覚寺」へと向かいます。北鎌倉駅からすぐの場所にありながら、その広い境内は喧騒とは無縁。禅の精神が息づく静寂な空間が広がります。
山門付近の紅葉
円覚寺の紅葉は、その雄大さが魅力です。常緑樹の濃い緑と、モミジの鮮やかな赤や黄色のコントラストが印象的で、とくに、総門前の真っ赤に染まったモミジは、息をのむほどの美しさ。広い境内は、日本の秋の美しさと禅寺の静けさを同時に感じられます。
JR線路沿いの見事な紅葉
常緑樹の緑に映えるコントラストが美しい禅寺の秋
松嶺院前のもみじ
三門をくぐり、参道をゆっくり進むと、仏殿、大方丈、妙香池と続いて見どころが満載。歴史を感じながら美しく色づく紅葉を眺めると、心も洗われていくようです。
紅葉と緑の見事なコントラスト
坐禅会が開かれる居士林(こじりん)も紅葉に囲まれます。都内にあった柳生流の剣道場を昭和初期に移築したもので、初心者も参加できる土曜坐禅会が定期的に開催されています。この時期に体験するのもおすすめです。
ひっそり佇む居士林
円覚寺
エンガクジ
境内の「弁天茶屋 航」で優しい甘さにほっこり

高台の休み処
円覚寺の散策では境内の甘味処「弁天茶屋 航」に立ち寄るのがおすすめです。国宝である大鐘のそばにひっそりと佇む茶屋は、石段を上った先の高台にあり、ここから、北鎌倉の自然を見渡す絶景が広がります。

あんこと磯部の「串団子2本」(600円)「緑茶」(500円)
素朴ながらも優しい味わいのお団子やなめらかな食感のプリンを、温かい日本茶や抹茶とぜひ一緒に。美しい景色と歴史の重みで、より豊かなひとときを過ごせます。

「抹茶ラテ」(700円)「黒糖プリン」(600円)
「弁天茶屋 航」の記事はこちら
弁天茶屋 航
ベンテンチャヤ コウ
老舗「御菓子司こまき」の繊細な季節の和菓子

茶室を思わせるようなシンプルな店内
北鎌倉の紅葉めぐりの締めくくりは、地元の老舗和菓子店「御菓子司こまき」で、上生菓子と心温まる抹茶をいただきましょう。

「お菓子 抹茶」(1001円)和菓子はきんとん製の「錦秋」
職人が一つずつ丁寧に作る上生菓子は、季節の移ろいを繊細に表し、毎日種類が異なります。まさしく一期一会で、秋ならではの風情や色合いを表現し、美しい色と形に心がときめきます。古都の秋の余韻に浸る静かな時間を過ごしてくださいね。

秋の上生菓子(左上から時計回りに)「初雁」「唐錦」「清秋」「乱菊」
「御菓子司こまき」の記事はこちら
御菓子司こまき
自然豊かで素朴な情緒にあふれる秋の北鎌倉
北鎌倉は古き良き日本の風景が色濃く残り、静かで奥深い美しさを届けてくれます。深まりゆく秋のひとときを過ごしてはいかがでしょうか。
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文:高橋茉弓、写真:高橋茉弓、新井智子
Writer
高橋茉弓

おやつの時間を何よりも大切にするライター&カメラマン。波の音とカフェがあればそれで幸せ。
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