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2026.04.10
リニューアルした大和ミュージアムへ。海と歴史にふれる広島県・呉の街さんぽ
瀬戸内のおだやかな海に抱かれた港町・呉。造船の街として栄え、今も昔の海軍さんゆかりの建物や、現役の海上自衛隊の艦船などを市内のあちこちで間近に感じることができます。なかでも、2026年4月23日にリニューアル開館する「大和ミュージアム」は見逃せません。そんな海とともに歩んできた街の空気にふれながら、スイーツを片手に呉の市街地をおさんぽ気分でめぐってみませんか。
明治の洋館にタイムスリップ。レトロかわいい「入船山記念館」へ

(左)洋館部の客室には、重厚な調度を配されている (右上)エリアの中央にある「旧呉鎮守府司令長官官舎」(右下)金唐紙で彩られた食堂。当時の優雅な食事の様子を想像してみて
まずはじめに、明治時代の面影を色濃く残すスポットへ行ってみましょう。ゆるやかな坂を上った先にある「入船山記念館」は、かつて海軍さんの町として栄えた呉の歴史を今に伝えるエリア。敷地内には、赤レンガ調の「郷土館」や東郷平八郎が一時期住んでいた「旧東郷家住宅離れ」など歴史を物語る建物が点在しています。なかでもぜひ訪れてほしいのが、1905(明治38)年の姿に復原された「旧呉鎮守府司令長官官舎」。居住空間であった和館部と、賓客をもてなした華やかな洋館部からなり、当時の鎮守府司令長官の暮らしぶりを間近に感じることができます。

(左上・左下)間近で見ればその精細さに息をのむ金唐紙 (右上・右下)玄関のステンドグラスや照明にも当時の趣を感じさせる意匠が
ステンドグラスを通してやわらかな光が差し込む玄関から洋館部に足を踏み入れると、重厚な雰囲気の食堂と客室が。特に目を向けてほしいのは、壁を彩る国内でも数か所しか現存しない高級壁紙「金唐紙」。立体的な模様に彩色がほどこされた美しい装飾は、思わず近づいて見入ってしまうほど。客室の「草花と昆虫」や食堂の「入船の森」など、部屋ごとに異なる文様が再現されています。和と洋が調和した優雅な空間に身を置くと、海軍さんの街が育んだ気品ある時間が立ち上ってくるよう。レトロな洋館で当時の空気を、ゆっくり味わってみてください。
入船山記念館
イリフネヤマキネンカン
2026年4月のリニューアルでさらに魅力アップ。体感する「大和ミュージアム」

10分の1スケールの戦艦「大和」。当時世界最大級を誇った45口径46cm主砲も再現
呉を訪れたら、必ず立ち寄りたいのが「大和ミュージアム」。戦艦「大和」を建造した造船の街・呉の歩みを伝える、まちのシンボル的ミュージアムです。館内でひときわ目を引くのが、10分の1スケールで再現された戦艦「大和」。全長26.3mという迫力あるサイズで、主砲やスクリュープロペラまで細やかに再現されています。思わず見上げてしまう大きさに、自然と写真を撮りたくなってしまうはず。大型資料展示室には、ゼロ戦の実機や魚雷などの展示もあります。

(左上)旧日本海軍の主力艦上戦闘機、通称・ゼロ戦 (左下)特殊潜航艇「海龍」 (右上)戦艦「金剛」のヤーロー式ボイラーの実物 (右下)戦艦「大和」で使われたものと同サイズの砲弾など
リニューアル後は3階「科学技術展示室」がパワーアップ

3階には、スケール感を実感できる大型実物資料が並ぶ
2026年4月23日、大和ミュージアムはリニューアルオープン。展示内容がさらに充実し、より立体的に呉の歴史と技術を体感できる展示空間となります。なかでも3階の「科学技術展示室」は展示を一新し、技術の原理や仕組みを学び、誰もが気づきや発見のできる体験型の展示室へ。

(左上・左下)3階に展示されている航空機エンジンとプロペラ、三段膨張蒸気機関。どれも実物 (右上・右下)呉の港としての歴史が分かるパネル展示や呉港のジオラマなど、1階の展示もお見逃しなく
船舶や航空機のエンジン実機展示や、呉海軍工廠・広海軍工廠の紹介など、当時の呉の技術力を知ることができるコンテンツが充実しています。ウォールケースやデジタルコンテンツを展示に取り入れ、木製の戦艦「大和」を組み立てる体験型コーナーも。

リニューアルする「大和ミュージアム」はさらに見どころ満載に
そして今回のリニューアルでは、ミュージアムショップ棟も新設。限定グッズや呉らしいアイテムが並び、見学後の楽しみもさらに広がります。歴史を知り、技術にふれ、最後はおみやげ選びまで。リニューアルした「大和ミュージアム」で、呉の歴史の奥深さをたっぷり味わってみてください。
大和ミュージアム
ヤマトミュージアム
日本唯一の潜水艦ミュージアム「てつのくじら館」に潜入

昭和61(1986)年から平成16(2004)年まで実際に活動していた潜水艦「あきしお」
次は、「大和ミュージアム」のすぐそばにある「海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)」へ。建物に近づくと、どーんと現れる大きな黒い船体。その正体は、実際に海を守ってきた潜水艦「あきしお」です。日本で唯一、実際に活躍していた潜水艦の内部に入ることができるミュージアム。全長76.2mの巨体は、見上げるだけでも迫力満点。でも本当の見どころは、その内部にあります。

(左上)発令所では、操舵席や潜望鏡などに触れることもできる(操舵席には座れない日があります。) (左下)乗員さんが使っていた3段ベッド (右上)掃海艇の活躍を学べるフロア (右下)館内のカフェでは軽食も。「呉氏のぷかぷかフロート」650円、「呉総監☆ドッグ」600円
艦内に入ると、ぎゅっと詰まった空間に機器や計器が並び、士官室や発令所、実際に使われていた3段ベッドなど、潜水艦での暮らしや任務の様子を間近に体感。イベント時には昼と夜で照明が変わる演出もあり、任務中の雰囲気をリアルに感じられます。潜望鏡をのぞけば、港の景色がぐっと近くに。ふだんは想像もつかない海の中の時間に触れられる瞬間です。潜水艦の中は、迫力ある見た目とは裏腹に、実際に歩いてみると「人が暮らしていた空間」であることにも気づかされます。 また、館内1階では海上自衛隊の歴史を、2階では掃海艇の活躍を紹介。魚雷や装備の展示もありながら、解説はわかりやすく、初めてでも安心して見学できます。呉の地とともに歩んできた歴史を、少し違った角度から感じられるスポットです。
海上自衛隊呉史料館(てつのくじら館)
カイジョウジエイタイクレシリョウカンテツノクジラカン
名物でひと休み。「呉海自カレー」を「呉ハイカラ食堂」でいただきます

潜水艦「そうりゅう」テッパンカレー1650円(数量限定)
「てつのくじら館」で潜水艦の世界を体感したあとは、少しお腹も空いてくる頃。ランチで訪れたいのが、すぐ近くにある「呉ハイカラ食堂」です。ここで味わえるのが、毎週金曜日に艦艇・部隊で食べられている海上自衛隊伝統の味を再現した「呉海自カレー」。艦艇ごとに受け継がれてきたレシピをもとに作られ、牛乳を添えるのが定番スタイルです。人気の「潜水艦「そうりゅう」テッパンカレー」は、フルーティーなコクとほどよいスパイス感が特徴。揚げ物や副菜が並ぶトレイスタイルで、どこか懐かしさも感じる一皿です。 制服姿のスタッフが迎えてくれることもあり、呉らしい世界観に浸れます。カレーのほかにも、肉じゃがやオムライスといった旧海軍ゆかりのメニューも充実。呉の歴史に触れたあとのランチタイムにぴったりの一軒です。

店内は、潜水艦を思わせるパイプ装飾や戦艦「大和」のオブジェなどが並び、ちょっとしたミュージアム気分
呉ハイカラ食堂
クレハイカラショクドウ
「呉湾艦船めぐり」で迫力の戦艦をクルーズ船から眺めましょう

ガイドさんが艦の役割や呉の歴史について、やわらかな語り口で生解説
呉の街歩きに特別感を添えてくれるのが、「呉湾艦船めぐり」。海上自衛隊の呉基地に停泊する護衛艦や潜水艦を、海の上から間近に眺められる全国的にもめずらしいクルーズ体験です。約35分の船旅では、現役の艦船がゆっくりと視界に現れます。海面に映る大きな船体、空へと伸びるマストやレーダー。陸から見るのとは違い、海上から見上げる艦船は想像以上のスケールで、静かな迫力に思わず見入ってしまいます。案内は、艦船を知り尽くしたガイドによる生解説。丁寧に案内してくれるので、艦船のことを知らなくても楽しむことができます。

(左上)巨大コンテナ船が間近で見られるのは呉ならでは (左下)命名・潜水式を行ったドック跡も見られる (右上)この日、港には潜水艦の姿も! (右下)ガイドさんへは気軽に質問を

タイミングが合えば、艦船で自衛隊旗が降ろされ、ラッパ吹奏による君が代が聞けることも
「呉湾艦船めぐり」では、夕方出航の「夕呉クルーズ」もおすすめです。日の入り15分前に出航し、夕焼け色に染まる海と艦船のシルエットを楽しむ特別便。やわらかな光に包まれた港の風景は、昼間とはまた違う表情を見せてくれます。街歩きの途中で、少し視点を変えて海へ。呉という街の奥行きを、海から静かに感じてみてください。
呉湾艦船めぐり
クレワンカンセンメグリ
082-251-4354
バンカーサプライ
https://bunker-supply.com/service/sightseeing_cruise/
乗船料:大人2200円、小学生800円(2日前までに要予約)
さんぽ途中のお楽しみ。呉の愛されスイーツをぱくり

食べ歩きにもってこいの「フライケーキ」1個100円
呉の街なかをのんびり歩きながら、名物おやつをほおばるのも旅の楽しみ。まずは、創業から約80年の歴史を誇る「福住フライケーキ」へ。注文を受けてから菜種油で揚げる「フライケーキ」は、外はサクっと香ばしく、中はしっとり。北海道産のこしあんがぎゅっと詰まり、甘さはほどよく上品です。ほんのり温かい揚げたてを紙袋のままぱくり。素朴でやさしい味わいが、どこか懐かしい気持ちにさせてくれます。
福住フライケーキ
フクズミフライケーキ

メロン(当時のマクワウリ)が高価だった時代に気軽に食べられるようにと初代が考案したラグビーボール型の「メロンパン」1個265円
続いて立ち寄りたいのが、1936(昭和11)年創業の老舗ベーカリー「メロンパン本店」です。看板商品は、ラグビーボール型が印象的な「メロンパン」で、呉生まれのおやつパンとして親しまれています。ビスケット生地とやわらかなパン生地の中には、自家製のカスタードクリームがたっぷり詰まっています。手に取るとずっしりとした重みがあり、甘いごほうびのひとときを運んでくれます。昔ながらの味を今に引き継ぎ、多くの人に愛され続けています。

ミントブルーの鮮やかな外観が目を引く。「メロンパン」以外にも「呉氏のコッペパン」「クルミパン」などの愛されパンを販売
メロンパン本店
メロンパンホンテン
旅の締めくくりには、「海軍さんの珈琲」をおみやげに

1959(昭和34)年 創業の自家焙煎コーヒー豆専門店。スイート、マイルド、ビターまで好みの味わいを伝えれば、おすすめの豆を教えてくれる
さんぽの最後は、港町らしいおみやげを探しに「昴珈琲店 呉本店」へ。世界中から厳選したコーヒー豆を扱う専門店で、豆の個性を生かしたブレンドが評判です。おみやげに選びたいのは、その名も「海軍さんの珈琲」。旧帝国海軍の士官たちが、戦艦「大和」の中で密かに飲んでいたという幻のコーヒーを、関係者の話を頼りに再現したブレンドです。手に取りやすいフレッシュバッグは約40種類もあるので、「海軍さんの珈琲」をはじめ、あれこれ選んでおみやげに。呉の海と歴史を感じた一日を、コーヒーの香りとともに持ち帰ってみてはいかがでしょう。

(左)「海軍さんの珈琲」フレッシュバッグ1袋200円、豆300g2,000円前後~ (右上)呉はもちろん、広島にちなんだフレッシュバッグが多数そろう (右下)「生カフェオレ」はじめ、テイクアウトドリンクも
昴珈琲店 呉本店
スバルコーヒーテン クレホンテン
海とともに歩んできた呉のまち。海軍さんゆかりの建物や艦船にふれ、港を渡る風を感じ、おやつや珈琲でひと息。そんな港町ならではの時間を過ごすことができたのではないでしょうか? 次の旅先に、海と歴史のまち・呉を。おだやかで歴史ある港町さんぽを、ぜひ楽しんでみてください。
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ライター:河野 愛、写真:森 昌史(forest)
呉観光情報公式Instagram

瀬戸内の海とともに歩んできた港町、「呉市」の魅力を発信する観光ブランド「Blue Land Kure」。 グルメ・観光スポットなど、呉の“今”と“多彩な表情”を届ける公式Instagramアカウントです。
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