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2026.08.23
旬の鎌倉野菜を月替わりの御膳で。段葛沿いの和食処「寸草」の丁寧な手仕事
鶴岡八幡宮へと続く段葛の風情を感じながら、四季折々の恵みを静かに噛みしめるひととき。鎌倉彫会館の中に佇む「鎌倉 寸草」は、地元の新鮮な野菜を中心とした和食がいただけるお店です。素材そのものが持つ滋味をていねいに引き出した旬の野菜料理は、心と体をじんわりと満たしてくれます。季節の移ろいとともに訪れたくなる和食処をご紹介します。
鎌倉の風情と澄んだ光が包み込む和食のお店

鎌倉彫会館1階のお店
歴史を感じさせる鎌倉彫会館の中に暖簾を掲げる「鎌倉 寸草」。余計な装飾を省いたすっきりとしたお店で、洗練された静けさが漂います。京都の日本料理店で研鑽を積んだ店主のイチカワヨウスケさんの料理は、地元の鎌倉野菜を中心とした食材が持つ旨みが、しっかりと引き出されていると地元でも評判です。

段葛の景色を楽しむ窓際
窓辺の席からは、四季によって表情を変える参道である段葛が見えます。古都の空気感とモダンな情緒が心地よく重なり合い、落ち着いた気分ですごせます。鎌倉さんぽで立ち寄るお昼ごはんや、少し早めの夕食に訪れたい一軒です。
野菜の旨みを引き出す料理の哲学

居心地のいい店内
野菜は、信頼のおける地元の八百屋さんから届くほか、通称“レンバイ”で知られる鎌倉市農協連即売所でイチカワさん自らが早朝に出かけて選びます。

毎年つける梅のシロップや梅酒
煮物の仕込みには、かつおだしに乾物の昆布を合わせることが多いのだそう。鍋の中で昆布がゆっくりと広がり、落とし蓋のような役割を果たしながら、野菜本来の旨みを引き出していくのだとか。そこに塩と野菜の出汁が重なり合い、驚くほど深みのある味わいになります。

段葛沿いの鎌倉彫会館
イチカワさんが提案する家庭向けのレシピ本も数多く出版されていて、料理教室はいつも大盛況。料理に対するひたむきな姿勢が、多くの人の心を惹きつけています。
季節の移ろいを彩り豊かに表現する鎌倉野菜

「7月のごはん」(2400円)
提供する料理は、季節の野菜をふんだんに取り入れた3種類。なかでも人気を集めているのが、月ごとに野菜の献立が変わる「月のごはん」です。お膳には、先付と汁物、鉢物、小鉢、ごはん、お漬物といった6つの品々がバランスよく並び、色合いも豊か。野菜の風味や食感の重なりに、和食ならではの奥深さを感じられます。 取材時はナスやトウガンといった夏野菜、カボチャの汁物は青ゆずでさっぱりと仕上げていました。おもしろいことに、同じ野菜でも月の初めと終わりでは味わいが少しずつ変わります。そんな味わいの変化まで楽しめるのも、旬の野菜ならではの魅力です。
旨味たっぷりのうどんとこだわりの定番

うどんにつゆをたっぷり絡めて
「うどん+惣菜3品」もおすすめです。つゆはとろみのある葛がうどんによく絡み、昆布の風味が豊かに広がります。きりっと利いた生姜が、夏には爽やかな涼を、冬には体の芯から温まる優しさを届けます。

「うどん+惣菜3品」(2400円)
また、このメニューと「月のごはん」の両方で味わえる胡麻豆腐も、創業時からの名物。驚くほどモチモチとした食感は、毎朝その日に必要な分だけをていねいに手作りしているからこそ生まれる本物の証。時間をかけて練り上げた胡麻の香ばしさが口の中で広がります。
伝統工芸の新たな魅力とおうちで味わう鎌倉の味

鎌倉彫の湯呑み
料理を引き立てるお盆やお箸は、伝統的な鎌倉彫で、職人の手仕事のぬくもりが伝わってきます。温かいほうじ茶の湯呑みは作家の手によるもので、スタイリッシュな佇まいが印象的。

ショップ&ギャラリー「guri」
食事を終えたあとは、お店の向かいにあるショップ&ギャラリー「guri」へ立ち寄ってみましょう。洗練された鎌倉彫の作品を鑑賞したり、お気に入りを購入することもできます。
古都の日常に寄り添うやさしい時間

「鎌倉ぽりぽりおかき」(600円)
ショップでは、料理に使われていた自家製の味噌やお菓子の販売もあり、中でもスパイシーな黒胡椒が効いた「鎌倉ぽりぽりおかき」は香ばしさが後を引く美味しさ。お土産にするのもおすすめです。歴史ある街並みに溶け込むお店で、鎌倉らしさを堪能してくださいね。
鎌倉 寸草
カマクラ スンソウ
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文:高橋茉弓、写真:依田佳子
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