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2014.08.27
古代エジプト「女王と女神」の世界へ
現在、上野にある東京都美術館で開催されている「メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神」。アメリカ・ニューヨークにあるメトロポリタン美術館の膨大な所蔵品の中の、エジプト・コレクションから“女性”をテーマに構成されている展覧会です。 エジプト関連の展示は数あれど、“女性”をテーマにした展示に興味が湧きます。さっそく女王や女神に会いに出かけてみました。
出産を司る呪術用のカバの壺
こちらの小さなカバの置物は、一見するとユニークで、思わずクスっと笑ってしまうような表情をしていますが、実はオブジェではなく壺となっています。母子のための呪文が書かれた紙「パピルス」入れとして、呪術のために使われていたそうです。 カバの姿で表されるのは、出産を司り、母と子を守る女神。 古代エジプトには子どもや出産を守る女神たちも多く存在し、女性を守るための儀式なども行われていました。 いつの時代も女性にとって出産は大変で、そして危険であったからこそ、女神たちに多くの祈りが捧げられたのですね。
きらびやかなアクセサリーは女性の美をより一層引き立てます
今も昔も変わらず女性をときめかせるものといえばアクセサリー。古代エジプトの装飾品は今見ても驚くほど精巧で、見惚れてしまいます。 小さな魚がたくさんついているこちらの装飾品はネックレスのようにも見えますが、実は腰帯です。 腰帯は女性の妖艶さ・美しさを演出するものとして、階級を問わず愛用されていました。 また何匹もの猫がついたこちらの装飾品は、ブレスレットです。その高いデザイン性とかわいらしさには思わず目を見張ります。 この猫はヤマネコで、太陽神ラーを守る女神たちと結びつきがある動物でした。 ちなみにブレスレットは死者の手首に飾られることが多かったそう。死後の世界のための装飾品だったんですね。
半獣半身の女神のたたずまい
ひときわ目を引くのが「セクメト女神像」。 頭が雌ライオン、体が人間の姿のセクメトは、病や暴力、戦争を司る女神で、恐れられる一方、なだめられれば平和と癒やしをもたらす、とされていました。 古代エジプトではこういった半獣半身の像が多く見られますが、昔の人は神がこのような姿をしている、と思っていたわけではなく、こういう特性をもっているイメージ、というのを表しているそうです。
王であり神でもあったハトシェプスト女王
この展覧会の目玉となっているのが、ポスターにも使われている「ハトシェプスト女王像の頭部」。 ハトシェプストは夫である王の死後、みずからファラオ(王)となった女性で、古代エジプト史上最も重要な女性ファラオとして知られています。 もともとは全身像で、女王としてではなく、“オシリス神”として祭殿を飾っていました。 古代エジプトでは、地上の存在である女王と、天上の存在である女神は、それほど差のない存在だったそうで、女王が女神のような立ち振る舞いをとっていたり、死後に神そのものになる女王もいたようです。 多くの作品群を眺めていると、ハトシェプスト女王もそんな存在であったのだと、女神となった女王に思いを馳せます。
展覧会限定のグッズもお見逃しなく
展覧会の最後の楽しみといえば、グッズの数々。今回もさまざまなグッズを見つけました。 こちらはオリジナルクッキー缶。1枚1枚に作品のプリントがされており、缶もキレイなので、おみやげとしても喜ばれそうです。 そのほか「ハトシェプスト女王像の頭部」や「呪術のための壺」のストラップなどもあり、ちょっと変わったグッズも揃っているので、チェックしてみてくださいね。 残暑厳しい折、美術館でゆっくり過ごしてみませんか? 現実世界から離れて、神々しい女王の装飾品や、美しい女神を眺めていると、古代エジプトへタイムトリップした気分に浸れますよ。
東京都美術館
トウキョウトビジュツカン
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もりことり
メトロポリタン美術館 古代エジプト展 女王と女神
2014年7月19日(土)~9月23日(火・祝)
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