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2014.10.15
大分・国東(くにさき)半島の大自然を旅して巡る「国東半島芸術祭」
神と仏が共存する“神仏習合文化”発祥の地といわれる大分県の国東半島。この地を舞台に、11月30日(日)まで「国東半島芸術祭」が行われています。 半島全体にまたがって10カ所のエリアから構成されるこの芸術祭は、すべてを巡るには何日もかかってしまいます。なかなか行けない奥地へは、公式ツアーを利用するのが便利。国東半島の奥地を巡る「国東半島の奥へコース」をベースに、国東半島芸術祭の見どころをご紹介します。
ツアーは巨大石仏のある「熊野磨崖仏(くまのまがいぶつ)」からスタート。鬼が一夜で築いたといういわれがある険しい石段を登ると、巨岩壁に刻まれた不動明王8mと大日如来6mが現れます。迫力満点ながら、どこか愛嬌のある親しみやすい表情の像は、国の重要文化財に指定されています。 午前中に中世の農村風景を残す田染荘を巡り、午後はいよいよ芸術祭の目玉となる「サイトスペシフィックプロジェクト」を巡ります。
国東の風景とアート作品がコラボレート
チームラボ 「花と人、コントロールできないけれども、共に生きる- Kunisaki Peninsula」 作品イメージ
このプロジェクトは国東半島の歴史性や文化を体感できる6つのエリアに、アーティストの作品を展示。アート作品が場所の力を引き出し、地域の意味や物語を深く感じるための入口となっています。このツアーでは、6つのうちの3つを巡ります。 一つ目は、真玉海岸沿いの元縫製工場で、チームラボの幻想的なデジタルインスタレーション作品が出会う「真玉プロジェクト」。 道端や山中に咲く花は、どこまでが自生でどこまでが人の手によるものなのか。こんなふとした疑問をきっかけに作られた、自然とデジタルのコラボレーションを体感してみましょう。
真玉海岸からの夕景 photo by Naoki Ishikawa/(C)KUNISAKI ART FESTIVAL Committee
二つ目は、山間の谷合で行き来が難しかったことから、今もなお集落ごとの祭りや風習、キリシタン特有の模様が掘られた石彫が残る岐部。この地に、岐部プロジェクトを通じてアーティストの川俣正さんが建設した新たな“道”とは……。過去と未来をつなぐ壮大な物語を紡いでいます。
かつては隣り合った集落へも行き来すること難しかった岐部エリア photo by Naoki Ishikawa/(C)KUNISAKI ART FESTIVAL Committee
ラストは、国東半島の中心に位置するダムのほとりにある「並石プロジェクト」。勅使川原三郎の作品「ガラスの塔」が時間と光の加減によってさまざまな表情を見せ、ガラスに反射した光が幻想的な光景を生み出します。2014年11月8日(土)・9日(日)には、この作品を舞台にパフォーマンス公演「何処から誰が」が行われます。
「光の水滴」 勅使川原 三郎 2013年(C)KUNISAKI ART FESTIVAL Committee
ツアーで巡るこの3つのほかに、オノ・ヨーコさんによって13基のベンチ型の作品を展示した「香々地プロジェクト」、仏教に造詣が深いアントニー・ゴームリーの鉄の彫刻作品を設置した「千燈プロジェクト」、アーティストの宮島達男さんが地域の方とともに、巨大な岩壁に『現代の磨崖仏』をテーマにアートを施した「成仏プロジェクト」も見ごたえ充分。時間があればぜひ足を運びたい作品ばかりです。 “この場所でしか鑑賞・体験することのできない”アートと自然の融合を、体感してみませんか?
もともとは耕作放棄地だったこの場所に、2006年から花を植える活動を続け、「花の岬」となった「長崎鼻」(香々地プロジェクト)/「見えないベンチ」 オノ・ヨーコ 2013年Photo: Takashi Kubo(C)KUNISAKI ART FESTIVAL Committee
無垢の鉄の塊である人体像がいつかは錆びてなくなり、山に還っていく、というストーリからは無常観が漂います(千燈プロジェクト)/(「ANOTHER TIME XX」 Antony Gormley 2013年 Photo: Takashi Kubo(C)KUNISAKI ART FESTIVAL Committee
国東半島は火砕流の影響で多くの岩場が形成されています。古くから人々が磨崖仏や石像を残してきた地に、宮島達男さんらが一体どんなアートを施したのかは、実際に足を運んで見てみて(成仏プロジェクト)/photo by Naoki Ishikawa/(C)KUNISAKI ART FESTIVAL Committee
国東半島芸術祭
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たままい。+ノオト 写真提供:国東半島芸術祭実行委員会
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