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2016.11.16
鮮やかな紅葉が彩る 秋のしっとり鞍馬口通さんぽ
※こちらの記事は、2016年11月に公開されたものです。 木の葉がほんのり紅や黄に色づき、待ち焦がれた秋の到来です。 紅葉の寺社で静かに過ごしたり、町家を改装したお店を覗いたり……ちょっぴり昔にタイムトリップしたような気持ちになれる、落ち着いたたたずまいの鞍馬口通界隈は秋がお似合い。ゆるやかな時間を過ごしに出かけませんか。
西陣の絹織物のように鮮やかに色づく「今宮神社」へ
「今宮神社前」のバス停を降りると、朱色の壮麗な楼門に迎えられます。 この紫野の地には、平安京ができる前から疫病を鎮める神さまとして篤く信仰されてきたお社がありました。その後、新たなお社が建てられたのを機に「今宮神社」と呼ばれるようになりました。今宮神社は「玉の輿(こし)」祈願でも知られ、良縁を願う多くの人びとが訪れます。
「玉の輿お守」(各800円)。八百屋のお玉さんにちなみ、模様は京野菜
一文字和輔の「あぶり餅」(一皿500円)
秋の境内は、まるで西陣の絹織物のように美しく輝き、南参道を染める黄金色のイチョウ並木もすてきですよ。 お参りの後には、千年以上の歴史をもつという門前名物「あぶり餅」もお忘れなく。
今宮神社
イマミヤジンジャ
大徳寺の境内に現れる赤いじゅうたんが美しい高桐院
参道の散紅葉。孟宗竹の柵も趣深い
今宮神社の南は、大徳寺の境内。塔頭のひとつ、「高桐院」の山門をくぐると、美しい来訪者をいざなうように真っすぐな石畳の参道が表れ、降りかかる朱の紅葉に思わずため息がこぼれます。天を覆うような紅葉も、晩秋、石畳に積もった紅葉も、味わいながらゆっくり進みたくなる小径です。
石灯籠が一基のみ配された南庭
カエデや竹、苔で構成される庭園は、四季折々に美しい彩りを見せてくれます。 客殿に座り、庭園の苔に降り積もる紅葉を眺めていると、時間がたつのも忘れそう。境内では、利休から譲られたという石灯籠なども見ることができますよ。
高桐院
コウトウイン
新感覚の‟かざり羹”にときめく、甘味処「うめぞの茶房」
上から、「抹茶」(350円)、「ブルーベリー」(350円)、「レモン」(300円)
鞍馬口通を東へ進むと、銭湯を改装したカフェや唐紙専門店など、すてきなお店が軒を連ねています。 そんな一角に佇む「うめぞの茶房」は、老舗甘味処「梅園」の姉妹店。繊細で愛らしい飾りつけを見ているだけで心ときめく、新感覚スイーツ‟かざり羹”が味わえます。 さらりとした口あたりのなかにもかすかに弾力を感じるのは、餡や寒天といった水羊羹の素材に加え、わらび粉を用いているからなのだそう。こしあんやカカオなどの定番をはじめ、マンゴーやキャラメルなど季節の味も登場しますよ。
2階の茶房では飲み物と一緒に楽しんで。「和紅茶」(550円)、かざり羹「カカオ」と「こしあん」(各320円)
うめぞの茶房
ウメゾノサボウ
旅人と地元の人が一緒に和める「八雲食堂」
「日替わり玄米定食」(580円)。玄米ご飯、自家製味噌の味噌汁と日替わりのおかずが2種
鞍馬口通はグルメも充実しています。なかでも、「八雲食堂」は、ゲストハウスの月光荘1階にあり、開け放たれた入り口は女性ひとりでも入りやすい雰囲気。地元の人たちや、月光荘に宿泊する国内外のゲストたちで賑わいます。 大正時代に建てられて傘屋だったという古い町家の奥の部屋で、看板メニューの日替わり定食を。圧力鍋で炊いた玄米ご飯はもちもちで、スタッフが育てた野菜を使ったおかずもお目見え。じんわりと体にしみていくような、滋味深い味わいです。すぐ近くの銭湯・船岡温泉で温まってから、地元の人と旅人が一緒に和めるこのゆるい空間でひと時過ごすのもおすすめです。
食堂奥の部屋。昔懐かしいちゃぶ台が置かれ、壁際には自家製の梅酒やショウガを漬けたビンが並ぶ
八雲食堂
ヤクモショクドウ
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田中昭美 写真:吉村規子、吉村晋弥
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