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2017.04.28
フィルム選びから楽しんで。自由が丘・カメラ専門店「ポパイカメラ」で体験する現像・プリントの魅力
前回は、フィルムカメラを持って横浜をぐるりと散歩。スターユーザーのmaa!さんとともに、カメラ撮影を楽しみました。第4回となる今回は、前回の横浜カメラさんぽで撮影した写真を自由が丘にあるカメラ専門店「ポパイカメラ」で、現像・プリントしてみることに。さて、どんな写真に仕上がったのでしょうか。 撮影ではカメラごとに異なる4種類のフィルムを使用。出来上がったプリント写真を眺めながら、ポパイカメラの店長・猪野又さんに現像とプリントのおもしろさについて解説していただきました。
フィルムによって全く異なる風合いを楽しめる
--今回使ったフィルムについて簡単に説明していただけますか? プロからも評価の高い「PORTRA400」「PRO400H」と、一般撮影向けの「SUPER GOLD400」「UltraMAX400」の4本です。いずれも人気のフィルムですが、特に「PORTRA400」は表現力があり、スタンダードかつ優秀なフィルムとして知られています。暖色系の柔らかい表現を大切にしたい方におすすめです。
左上「PORTRA400」、左下「SUPER GOLD400」、右上「PRO400H」、右下「UltraMAX400」
--この4つの中で一番特徴のあるフィルムは何でしょうか? プリント写真を見ると一目瞭然かと思いますが、同じ被写体を撮っていても、「PRO400H」で撮ったものは水色っぽさが際立っています。柔らかいブルーを好む方には「PRO400H」をおすすめしています。
青みが美しいフィルム「PRO400H」(カメラ:Nikon FE/撮影:maa!さん)
--一般撮影向けのフィルム「SUPER GOLD400」「UltraMAX400」の特徴を教えてください。 先に挙げたプロフィルムの方が粒子が綺麗ですが、このフィルムでも十分美しい表現を出すことができます。2つとも、手ごろな価格で人気です。
レンズによって現像・プリントは変わる
カメラ:PEXTAX MX、フィルム:UltraMAX400/撮影:maa!さん
--今回、3種類のカメラを使ったのですが、カメラのレンズによっても現像やプリントの違いは出てくるのでしょうか。 レンズによって写真の写りは変わりますね。たとえば、PENTAXとNikon、前者は全体的にふわっとゆるいイメージ、後者はピントの合っている部分はしっかり合い、ボケているところはすっきりやわらかい。PEXTAX は表現により遊びが加わり、かわいくなりやすい。 PENTAXのレンズはNikonよりもややざらっとした表現になるのが特徴で「UltrtaMAX400」の粒子がきれいすぎない点とあいまって、少しレトロな雰囲気が出て相性がいいですね。 フィルムとレンズにも相性があります。それを見つけるのもフィルムカメラの楽しみの一つです。
カメラ:OLYMPUS TRIP 35、フィルム:SUPER GOLD400
--目測でピントをあわせるタイプのフィルムカメラ「OLYMPUS TRIP 35」は、想像していた写真とは若干ズレがあったので驚きました。 そうかもしれません(笑)。ピントがラフなので、カメラに慣れるまでは、予想外のところにピントがあっていたり、ぼやけてしまう確率は高いです。ファインダーから見える画像と実際にプリントされるものに若干ズレがあります。ただ、こういうリラックスした写真は一眼レフでは撮れません。撮影時とプリント時のギャップも含めて、曖昧な写真だからこそのおもしろさがあります。
カメラのプロがいるお店なら、フィルムの個性を楽しむ現像・プリントができる
カメラ:PENTAX MX、フィルム:PORTRA400
--現像・プリントするときの注意点はありますか。 実は、現像・プリントするときのお店選びってとても重要なんです。量販店やほとんどの写真屋さんではプリントの際に機械を「自動補正」の設定にされているところがほとんど。自動補正にすることで、どのフィルムでも、どんな露出の条件でも誰が現像しても平均点の取れる写真ができあがります。 言い換えると、ボケ感や柔らかさ、カメラやレンズ、フィルムの違いがすべてフラットになってしまう。「PRO400H」は、青みが綺麗に出るフィルムと言いましたが、自動補正することで青くなくなる。せっかくフィルムを選んでも、これではフィルムの個性を楽しめません。
「フィルムの違いを楽しんで」と猪野又さん
自動補正を外すことで、フィルムの特長を生かした現像ができます。さらに、プロのスタッフの手が加わることで平均以上の90点、100点の写真ができあがります。私たち「ポパイカメラ」もそうですが、都内にはプリントにこだわって、自動補正を外しているお店がいくつかあります。 現像する際は、現像・プリントにこだわっているお店に行って、「自動補正をかけないでください」「フィルムの特長を生かしてください」と言えば、きっと想像以上のすばらしい写真が仕上がってきます。
フィルムの特徴を生かしてもらうことで、全く違った仕上がりに(左からPORTRA400、PRO400H)
また、ポパイカメラでは、「よりレトロ感を出して」「明るさを強調して」などのリクエストにも対応しますので、どんどん伝えてみてください。リクエストに応じて、いかようにも違う写真がプリントできます。フィルムで撮る楽しさがもっと広がっていくと思いますよ。
プリント写真の楽しみ方
--プリントといっても、ペーパーの種類や形、サイズなどさまざまありますが、中でも人気のものは何ですか? 私たちのところでは「マットフチあり」タイプを希望される方が多いですね。「フチあり」プリントはレトロでかわいらしい雰囲気になるのが人気の理由の一つです。 より表現の豊かなプロ級の写真を目指すなら、「マット」よりも「プロ光沢」や「ラスター」というプロペーパーを使ったプリントがおすすめです。特に「ラスター」は指紋が付きにくく、粒子が細かく、鮮やかで奥行き感が出る。大きいサイズのプリントにも適していて、写真展などに向いています。 また、スクエア型だったり、メッセージが書き込めるようにフチを大きくとっているものもあって、一概にプリントと言ってもさまざま。プリントもフィルムカメラの楽しみの一つ。いろいろ試してみて、アナログのおもしろさを感じてみてください。
ポパイカメラ 自由が丘本店
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田賀井リエ
Writer
田賀井リエ
東京都在住。フリーエディター&ライター。趣味は街歩きと食べること。
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