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2017.08.12
【澄】人と街をつなぐ、硝子工房「GLASS LAB」の澄みきったグラス
隅田川の東側に位置する、清澄白河。コーヒーとアートの街として、知名度が上がっていくとともに、新しいお店が生まれ、訪れる方も増えています。 川と運河に囲まれた静かな寺町。最近、住みたい街にも挙げられるようになった、清澄白河の居心地のよさはどこから生まれるのでしょうか。 涼しげな「清」「澄」「白」「河」という漢字をキーに、小さな街に点在する4つのスポットをめぐります。
【清】「和酒 鴇鼠」のお話はこちら
どこかノスタルジックな、下町の硝子工房
「ここは『椎名硝子』という私の祖父の代から続くガラス加工工場なんです。例えば、この『北斎グラス』は、もともと透明のグラスに、セロハンテープくらいの薄さの青いガラスを『被(き)せて』二重に仕立てた、主に江戸切子などに使われる「被せ硝子」を使用したもの。
表面に研磨材を吹き付け、すりガラス状にする「サンドブラスト加工」がほどこされている
この『被せ硝子』に浮世絵が描かれたフィルムを貼り、細かい砂を高圧で吹きつけます。そうすると、フィルムのない部分だけガラスが削られて、グラスの上に北斎の浮世絵が浮かび上がるんです。 また、透明な硝子越しに北斎さんの絵画を見てもらえるよう、逆の面を磨いて透明に仕上げています。」
「GLASS LAB」代表の椎名隆行さん
どこかノスタルジックで、貴重な機械が並ぶ「椎名硝子」の工場。その中でグラスの説明をしてくださったのは、椎名隆行さん。会社員をしていた椎名さんは2014年、家業である「椎名硝子」の技術を生かし、思いを込めた本物の贈り物になる「カスタマイズグラス」を提案したいと「GLASS LAB」を立ち上げました。
国内でも貴重な、昔ながらの機械で平切子の加工を行っている
「工場のすぐそばに、ブルーボトルコーヒーの日本1号店ができると知ったことも大きかったですね。古いだけだと思っていた工場が、道行く方々の目には新鮮に映ったようで、工場見学を始めました。
ガラス加工を体験してみました
「硝子加工体験」(一人4000円~)は完全予約制。事前に連絡をしてから伺いましょう
慎重に少しずつ磨き、完成! 自分で加工したというだけでうれしいのに、それをラッピングしてもらうと、さらに愛着が増していきます。完成した醤油差しを、贈り物にされる方も多いそうです。
「ガラス加工体験」の予約はこちらから
地域を結ぶ縁から生まれたコラボアイテム
ハニカム構造のデザインから、目盛りがちらりと覗く。フラスコは一輪ざしにぴったり
椎名さん:
「ここにある『ハニカムビーカー』は、すぐ近所の『リカシツ』と開発したコラボ商品です。リカシツのビーカーを、サンドブラストで加工しています」
道路を挟んで斜め向かいにある「リカシツ」
椎名さん:
「その方から、コーヒードリップの大会で使うドリッパーをつくれないかと相談があったんです。リカシツを運営する関谷さんと何度も話し、理化学製品の漏斗を、理想の角度に磨いたドリッパーを製作しました。それがきっかけで、コラボアイテムもやってみようと」
清澄白河が好きな人と一緒に、街の魅力を引き出したい
椎名さん:
「『ドラゴンフライ クラフトビアホール』のロゴ入りグラスや、『アライズコーヒーロースターズ』のロゴ入りボトルもつくらせていただいています。
あとは、70cmくらいあるリカシツのビーカーにでっかく『パティスリー ウルス』のロゴを入れたり、セレクトショップ『snug』のノベルティもつくったなぁ。オリジナル自転車を揃える『アロハロコ』さんのジャーボトルなんかも……」
「今朝、アロハロコさんで自転車を借りてきました!」と、驚くカメラマン。
「清澄白河のお店、大活躍ですね(笑)。家業も1950年からこの場所で続けさせてもらっているので、地元のためにできることを見つけていきたいです。
2016年1月から、街の魅力を引き出したいと「コウトーク」というトークイベントを開いているのですが、毎回、キャンセル待ちが出るほど多くの方が来てくれました。この街が好きで、もっと面白くしたい。そう思う方と一緒に、この街の魅力を引き出したいんです」
地域のハブのような存在の椎名さんの言葉に、頷くばかりの取材チームでした。
GLASS-LAB
グラスラボ
【おまけ】取材は自転車でめぐりました
料金は500円/1日。台数に限りがあるので事前予約がおすすめ
あちこちに気になるスポットが点在する清澄白河。今回の取材では、南国カラーや藤製バスケットのカゴがかわいい「アロハロコ」の自転車をレンタルして街をめぐりました。こちらでは、ワンコインで朝から夕方まで借りることができます。 清澄白河に詳しいオーナー・鹿野さんに聞いてみると、街のおすすめ情報を教えてもらえるかも。
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岡島 梓/写真:小林 利穂
岡島 梓
東東京で暮らすフリーライター。 文章で、日々頑張る人の想いを伝えつつ、明日が楽しくなるサロン「旅する図書館」を開いています。
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