【澄】人と街をつなぐ、硝子工房「GLASS LAB」の澄みきったグラス
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【澄】人と街をつなぐ、硝子工房「GLASS LAB」の澄みきったグラス

隅田川の東側に位置する、清澄白河。コーヒーとアートの街として、知名度が上がっていくとともに、新しいお店が生まれ、訪れる方も増えています。 川と運河に囲まれた静かな寺町。最近、住みたい街にも挙げられるようになった、清澄白河の居心地のよさはどこから生まれるのでしょうか。 涼しげな「清」「澄」「白」「河」という漢字をキーに、小さな街に点在する4つのスポットをめぐります。

今回は、人と街をつなぐ「澄」みきったグラスを生み出す、硝子工房を訪れました。

【清】「和酒 鴇鼠」のお話はこちら

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どこかノスタルジックな、下町の硝子工房

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「ここは『椎名硝子』という私の祖父の代から続くガラス加工工場なんです。例えば、この『北斎グラス』は、もともと透明のグラスに、セロハンテープくらいの薄さの青いガラスを『被(き)せて』二重に仕立てた、主に江戸切子などに使われる「被せ硝子」を使用したもの。

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表面に研磨材を吹き付け、すりガラス状にする「サンドブラスト加工」がほどこされている

この『被せ硝子』に浮世絵が描かれたフィルムを貼り、細かい砂を高圧で吹きつけます。そうすると、フィルムのない部分だけガラスが削られて、グラスの上に北斎の浮世絵が浮かび上がるんです。 また、透明な硝子越しに北斎さんの絵画を見てもらえるよう、逆の面を磨いて透明に仕上げています。」

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「GLASS LAB」代表の椎名隆行さん

どこかノスタルジックで、貴重な機械が並ぶ「椎名硝子」の工場。その中でグラスの説明をしてくださったのは、椎名隆行さん。会社員をしていた椎名さんは2014年、家業である「椎名硝子」の技術を生かし、思いを込めた本物の贈り物になる「カスタマイズグラス」を提案したいと「GLASS LAB」を立ち上げました。

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国内でも貴重な、昔ながらの機械で平切子の加工を行っている

椎名さん:
「工場のすぐそばに、ブルーボトルコーヒーの日本1号店ができると知ったことも大きかったですね。古いだけだと思っていた工場が、道行く方々の目には新鮮に映ったようで、工場見学を始めました。
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2、30代女性のお客さんがたくさん参加してくれて。見学だけでなく、ガラスの加工体験を始めたのも、お客様のご意見からです。ガラス加工の面白さを知ってもらえたら、地元を盛り上げるきっかけのひとつになれるのでは、と」
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ガラス加工を体験してみました

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今回、体験させていただいたのは「GLASS LAB」の看板商品・液だれしない醤油差しの加工です。ボトルの口をダイアモンドの研磨機で削り、栓がフィットするまで調整していきます。ガラスが熱で割れないように、水を差しながらの作業。
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「硝子加工体験」(一人4000円~)は完全予約制。事前に連絡をしてから伺いましょう

慎重に少しずつ磨き、完成! 自分で加工したというだけでうれしいのに、それをラッピングしてもらうと、さらに愛着が増していきます。完成した醤油差しを、贈り物にされる方も多いそうです。

「ガラス加工体験」の予約はこちらから

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地域を結ぶ縁から生まれたコラボアイテム

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ハニカム構造のデザインから、目盛りがちらりと覗く。フラスコは一輪ざしにぴったり

地元のお祭りにも深くかかわり、地域を盛り上げたいという思いが、人一倍強い椎名さん。「GLASS LAB」としての、地元とのかかわりについても伺いました。

椎名さん:
「ここにある『ハニカムビーカー』は、すぐ近所の『リカシツ』と開発したコラボ商品です。リカシツのビーカーを、サンドブラストで加工しています」

「リカシツ」の記事はこちら

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道路を挟んで斜め向かいにある「リカシツ」

「リカシツ」は、ビーカーなどの理化学製品とインテリアの融合を目指した人気ショップ。2店のコラボ商品が生まれたきっかけは、これもご近所の『ブルーボトルコーヒー 清澄白河ロースタリー&カフェ』で働くバリスタさんからの依頼だったそう。

椎名さん:
「その方から、コーヒードリップの大会で使うドリッパーをつくれないかと相談があったんです。リカシツを運営する関谷さんと何度も話し、理化学製品の漏斗を、理想の角度に磨いたドリッパーを製作しました。それがきっかけで、コラボアイテムもやってみようと」
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清澄白河が好きな人と一緒に、街の魅力を引き出したい

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椎名さんはコラボアイテムの他、地元のお店で使われるガラスアイテムの製作も数多く手がけています。

椎名さん:
『ドラゴンフライ クラフトビアホール』のロゴ入りグラスや、『アライズコーヒーロースターズ』のロゴ入りボトルもつくらせていただいています。

あとは、70cmくらいあるリカシツのビーカーにでっかく『パティスリー ウルス』のロゴを入れたり、セレクトショップ『snug』のノベルティもつくったなぁ。オリジナル自転車を揃える『アロハロコ』さんのジャーボトルなんかも……」

「今朝、アロハロコさんで自転車を借りてきました!」と、驚くカメラマン。
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椎名さん:
「清澄白河のお店、大活躍ですね(笑)。家業も1950年からこの場所で続けさせてもらっているので、地元のためにできることを見つけていきたいです。

2016年1月から、街の魅力を引き出したいと「コウトーク」というトークイベントを開いているのですが、毎回、キャンセル待ちが出るほど多くの方が来てくれました。この街が好きで、もっと面白くしたい。そう思う方と一緒に、この街の魅力を引き出したいんです」

地域のハブのような存在の椎名さんの言葉に、頷くばかりの取材チームでした。
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【おまけ】取材は自転車でめぐりました

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料金は500円/1日。台数に限りがあるので事前予約がおすすめ

あちこちに気になるスポットが点在する清澄白河。今回の取材では、南国カラーや藤製バスケットのカゴがかわいい「アロハロコ」の自転車をレンタルして街をめぐりました。こちらでは、ワンコインで朝から夕方まで借りることができます。 清澄白河に詳しいオーナー・鹿野さんに聞いてみると、街のおすすめ情報を教えてもらえるかも。

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岡島 梓

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東東京で暮らすフリーライター。 文章で、日々頑張る人の想いを伝えつつ、明日が楽しくなるサロン「旅する図書館」を開いています。

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