さまざまな温もりに包まれているカフェ

2019年11月で開店3年目に。ワークショップやイベントも行っているほか、新しい試みも

本郷三丁目駅から歩いて4〜5分。「発酵するカフェ 麹中」は、“本郷弓町のクス”と呼ばれる推定樹齢600年のクスノキが葉を広げる通りにあります。店舗のあるビルの奥には登録有形文化財「瀬川家住宅（旧古市家住宅）」が佇み、落ち着いた雰囲気が漂っています。 本郷で街づくりの仕事に関わってきた土木デザイン事務所と居心地のよい空間をデザインする設計事務所が手を組み、2017年に開店。食を通じて人や物が集まり、そのつながりが“発酵して”何かが生まれるような場所をつくろうという思いからでした。

中央のテーブルは農家で養蚕に使われていた古材を再利用したもの。穴が空いているのがその名残

ガラス張りの店内は明るく、開放感たっぷり。古材を使用したテーブルや布を貼り替えた椅子は、長野の諏訪を拠点に古民家の建材や小道具を再利用するお店「Rebuilding Center Japan」につくってもらったのだそう。壁一面のナチュラルなウッドシェルフとともに温もりを感じられます。

建設業の会社が立ち上げたお店なので、本棚には発酵食の本のほかに建築関係の本も多数

日本伝統の調味料で手づくりした家庭料理

｢85定食｣（900円／税込）。ごはんはもちもち、おかずは野菜の鮮やかな色をいかすなどの工夫も

ランチは「85（はっこう）定食」、「ベーグルサンド」、テイクアウトの「お弁当」の3メニュー。「85定食」は日替わりのお肉かお魚の主菜を選べ、新潟・佐渡の農家でとれたコシヒカリの五分つきのごはん、具だくさんのお味噌汁、副菜2品、ぬか漬が並びます。 お肉は塩麹竜田揚げ、牛すじの煮込み、油淋鶏やキーマカレーなどのワンプレートの日も。お魚は赤魚の塩麹煮、イワシの梅しそ巻きなどがあり、訪れた日は歯ざわりのよい玉ねぎとにんじんを添えたサバ南蛮。やさしい味で、漬けだれの甘酢の酸味がまろやかです。

お肉のワンプレート｢ガパオライス｣（900円／税込）。紫キャベツの塩麹和えなどの副菜やぬか漬も付く

佐渡の米麹でつくった塩麹や醤油麹を調味料として常備。味噌は近くにある根津の「味噌商 秋田屋」の合わせ味噌です。塩麹や醤油麹には自然の甘みがあり、料理にまろみとコクを加えるほか、お肉やお魚をやわらかくして旨みを引き出すのだそう。 ふんだんに使用している野菜は、東京・国分寺の小坂農園からおまかせで届くもの。めずらしい野菜もあり、スタッフ全員でこんだてを考えるのだとか。日本の食卓でおなじみの家庭料理が中心で、おのずと発酵食品もたっぷり。日々の食事に発酵食を取り込むと、免疫力がアップ、腸内環境も整い、美容や健康に嬉しい効果も！

発酵で風味に深みが増すドリンクも

ノンアルコールの「自家製の甘酒」（450円／税込）。お米のつぶつぶ感と甘みにほっこり

カフェのメニューには、自家製の甘酒や酵素ジュースがあります。酵素ジュースは季節のフルーツに砂糖を加えて発酵させた自家製シロップを炭酸や水で割ったもの。訪れた日はぶどうのシロップ。すっきりとさわやかな味で、風味に深みを感じます。

「季節の酵素ジュース」（550円／税込）。フルーツの果肉も入っていて、この日はぶどう入り

国分寺の小坂農園から届くおいしい野菜をもっとたくさんの人に食べてもらいたいので、日替わりで4種類くらいを小分けした野菜セットの販売も行っています。12月からは佐渡の米麹の販売もはじめ、こちらを持ち帰れば家で塩麹や醤油麹づくりを楽しめますね。

だいこんやかぼちゃを小分けした野菜セット（300円／税込）と米麹（300g600円／税込）

からだにじんわり丁寧な味わいのお昼ごはんやドリンクで発酵食にふれるとともに、何か新しいつながりが生まれるのも楽しみな場所。ぜひ訪れてみてはいかがでしょう。