![アーティストとアーキテクト(建築家)の協奏がホテルを「作品」へと昇華。[A&Aリアムフジ/岡山県岡山市]by ONESTORY](https://image.co-trip.jp/content/14renewal_images_l/439597/main_image.jpg)
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2020.02.07
アーティストとアーキテクト(建築家)の協奏がホテルを「作品」へと昇華。[A&Aリアムフジ/岡山県岡山市]by ONESTORY
「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から岡山県岡山市の「A&Aリアムフジ」を紹介します。
豊かな空間体験を通して芸術への理解を深める。

アート作品として創られた宿泊施設に滞在し、その空間ごと「体験」してもらうことで、芸術への理解を深めながら岡山市を“滞在型都市”へと発展させていくことが目標。(©MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)
近年、日本各地に増えつつある土地ごとの歴史や文化を映しとったホテル。それを現代美術アーティストとアーキテクト(建築家)の協奏によって、さらにハイグレードな「作品」へと昇華した存在が、ここ岡山に誕生しました。 その名は『A&Aリアムフジ』。 岡山の芸術文化の振興と地域活性化を目指すプロジェクト「A&A」の第1弾で、グローバル戦略ブランド『koe (コエ)』などを展開する株式会社ストライプインターナショナルの代表取締役であり、『公益財団法人石川文化振興財団』の理事長でもある石川康晴氏がプロデュース。さらにディレクターにギャラリストの那須太郎氏、アドバイザーに建築家の青木淳氏を迎え、宿泊をアートとして体験してもらうことを目指しています。

贅沢な1棟建ての内部に座せば、アーティストとアーキテクトの想いと、岡山という土地が放つ空気感までをも体感できる。(©MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)
土地・アーティスト・アーキテクトが織り成す新たな形の「建築」。

アーティストによる芸術であると同時に、建築家による建築でもある「作品」。そして鑑賞対象としても、体験可能な機能としても成立している。(©MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)
『A&A リアムフジ』を担当したのは、NYを拠点とするアーティストのリアム・ギリック氏と、日本の建築設計事務所『MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO』。 構造は主要なマテリアルとして用いた岡山産の巨大なヒノキ集成材「CLT」。これを田の字に組んで、構造フレームとしています。さらに「田」の字を微妙にずらしながら三段積み上げることで、立体的かつ複雑な経路網が折り畳まれた「迷いの空間体」を生み出しています。 この独特かつ様々な想像をもたらす建築家による構造は、グローバリゼーションやネオリベラルの合意性を枠組みとした場合の、抽象化と建築の視点におけるモダニズムの遺産の機能不全な側面を明るみにする、ギリック氏の精神性と共鳴するものです。

アートや彫刻を創り、並べるように、岡山市内に「A&A」の宿泊施設を点在させていく。(©MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)
ギリック氏の創造の出発点は、地球温暖化の研究家としてあまたの功績を残した気象学者・真鍋淑郎(まなべしゅくろう)氏が導き出した気象学的方程式ですが、ともすれば政治的な議論の対象になりがちなこの問題を、純粋な科学的分析によって理解を促し続けた真鍋氏の活動に敬意を表して、『A&Aリアムフジ』という「作品」を氏へのオマージュとしています。 そしてアーキテクト(建築家)たる『MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO』の原田真宏(はらだ・まさひろ)氏と原田麻魚(はらだ・まお)氏は、こうしたギリック氏の想いを「社会の確信(盲信)を揺らがせ、再思考させる“迷い”のトリガー」と解釈し、建築デザインで受けとめました。 こうして生まれたシンプルでありながらも立体的で複雑な空間は、ほぼ全ての建築デザインが国内外の賞を受賞している『MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO』ならではの、「思想の立体化」とも言うべき快挙となっています。
アーキテクトとアーティストがつくり出した迷いの中で思索する。

「街の中に置かれたアート」としての宿泊施設が、その意味を問いながら「岡山」と共振していく(左:©MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIO)(右:©Yoko Inoue)
「A&Aリアムフジ」の建築は、建築家とアーティストが互いのプロフェッショナルな領域を尊重しながらも、「パラレルプレイ(発達心理学で言う「平行遊び」)」的な手法によって立体化することを目指しています。それがさらに岡山という土地が持つ歴史的・文化的な文脈やグローバルな諸問題からのインスピレーションを得ることで、滞在する人々は多くの要素から構築された空間で「迷いながら思索する」という特別な時間を楽しむことができます。 岡山市は世界に通じる瀬戸内の玄関口であり、新進気鋭の芸術祭・『岡山芸術交流』の舞台でもあります。さらに日本の近代建築に多くの影響を与えた前川國男氏の設計による岡山県庁を擁(よう)し、“アートの島”として世界的な注目を集めている直島をはじめとする瀬戸内の島々にも近いなど、国内でもまれに見る文化資源に恵まれた地となっています。 そんな岡山市に滞在して、その魅力を深く知ることで、さらなる気づきと感動を広げていく――そんな新たなムーブメントが、この『A&A リアムフジ』とプロジェクト「A&A」を軸に生み出されようとしています。
A&A リアムフジ
岡山県 岡山市北区天神町9番2-1号
086-206-2600
A&Aフロントデスク
https://a-and-a.org/liam-fuji/
料金:95,700円~(税サ込)
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