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2020.02.24
旬の野菜を丸ごと美味しくいただくお昼ごはん。鎌倉「なると屋+典座」
野菜の持つうまみを十分に引き出した和食が人気の「なると屋+典座」。採れたての食材を使った鎌倉野菜の定食は季節感があり彩りも豊かです。散策の途中に立ち寄って野菜の奥深い味わいを堪能されてはいかがでしょうか。
小町通り沿いにある隠れ家的な食事処
JR鎌倉駅から徒歩3分
賑やかな小町通り沿いにあるビルの2階にありながらも、和食店らしい落ち着きのある静かなお店です。ガラガラと音がする入口の引き戸をあけると、表通りの喧騒をすっかり忘れさせてくれるほど趣のある空間が広がります。
間接照明がモダンな和カフェ風の店内
店の奥には引き戸で仕切られた個室もある
照明を落とした店内はコンクリートの天井とは対照的な木の素材もふんだんに使われ、無駄のないシンプルな作りの中にどことなく懐かしさも漂います。 オープンキッチンの中では、少数精鋭の手慣れたスタッフらが手際よく野菜の下処理から盛り付けまでこなしていく姿が見受けられ、美味しい料理が次々と運ばれて行きます。
次々と野菜のうまみを引き出していく厨房
職人気質の料理人・イチカワヨウスケさん
店主のイチカワヨウスケさんは京都の日本料理店で修業をつみ、鎌倉のカフェでスタッフの経験をしたあと「なると屋+典座」をオープンさせました。 日本料理で培った繊細な感覚で、野菜の美味しさにとことんこだわった料理の技を披露してくれます。食材に肉や魚、卵を使わないので、そのぶん野菜の美味しさが十分に引き立ちます。地元の新鮮な食材は目利きのいい馴染みの八百屋さんから仕入れるほか、鎌倉で通称“レンバイ”と呼ばれ親しまれている野菜の直売所・鎌倉市農協連即売所に早朝から出かけて、買いつけることもあるのだそう。
各地で注目される丁寧な手仕事
イチカワヨウスケ著「野菜だし」(1540円)
野菜から出るだしの味を大切にした料理は世代を超えて人気が高く、レシピを集めた本も何冊か出版されています。その影響もあり各地での料理教室に招かれることもしばしば。今年からは月1回このお店での料理教室もはじまりました。
毎月1回開かれる「12ヵ月の料理教室」の概要はfacebookのサイトで案内される
野菜が主役の定食にはうまみがたっぷり
ご飯も白飯ではなく毎月異なる野菜とのコラボで味わえる「月のごはん」2月は少量のしょう油を混ぜて炊いたご飯とほうれん草の組み合わせ
お店のメニューは月ごとに内容の変わる「月のごはん」(1760円)と「葛とじうどん」(880円)、「うどん+惣菜3品」(1760円)の3種類で、どれも季節の野菜がたっぷりと使われています。 人気の「月のごはん」は先付・汁物・鉢・小鉢・ごはん・漬物といった7品が彩りよく盛り付けられ、それぞれ異なる野菜の味付けと組合せに料理の奥深さを感じます。同じ野菜でも月初めと終わりでは野菜の味が変わるため、その時の一番のおいしさを引き出された野菜の料理は味も変化していきます。2月はウドやフキノトウが使われ、早春の薫りが漂っていました。
毎朝手づくりする年間を通しての定番
織部焼の器でいただくごま豆腐はどのメニューにも添えられる
野菜の料理は毎月違っても、年間を通した定番の一品が「ごま豆腐」です。 モチモチとした適度な弾力のある食感はできたての証。毎朝その日の予定した数だけを作ります。 こうした料理をさらに美味しくするのが、鎌倉にギャラリーを持つ「うつわ祥見」の器。日本各地から選りすぐりの作家の作品を集めたギャラリーで見立てた器もステキです。ぜひ料理の一部として味わってくださいね。
口当たりのいいシンプルなデザート
「寒天のデザート 和三盆のシロップ添え」(550円)
食後のお口直しには天草を煮詰めてつくった寒天のデザートがおすすめです。野菜料理の風味を打ち消すことのないさっぱりとした味わいです。上品な和三盆を使った蜜の甘みがほんのりと口に広がりますよ。 ディナータイムは日本酒やアンズ・キンカンの自家製果実酒を飲みながら、ゆっくりとした鎌倉の夜を過ごすのもおすすめ。材料がなくなると終了になるので、遅くなりそうな時は電話で確認してからお出かけくださいね。
なると屋+典座
ナルトヤ プラステンゾ
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高橋真里
Writer
高橋茉弓
おやつの時間を何よりも大切にするライター&カメラマン。波の音とカフェがあればそれで幸せ。
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