古民家に現れた芸術空間「GEORGES gallery＋KOHIRA café」

きれいな円形に見えるポイントを探して撮影を

2019年の瀬戸内国際芸術祭を機に誕生したこちらは、フランスの写真家ジョルジュ・ルースの世界観を体感できるギャラリー。醤油蔵が建ち並ぶ「醤の郷（ひしおのさと）」にある築100年以上の古民家を再生した空間では、金箔で描かれた幾何学模様のアートが迎えてくれます。ある一点からは金箔の円形が立体的に見ることができる、空間を巧みに利用した作品です。

ジョルジュが撮影した写真作品を展示

写真家ジョルジュ・ルースは、廃墟や取り壊し予定の建物に幾何学的なペインティングを施し、それを写真に収めるアーティストとして知られています。通常であれば写真に収めたあとに建物は取り壊されるため、実際にジョルジュが描いた絵画が残り、鑑賞できるのは世界でもここだけなのだそう。 ほかにも制作過程を記録したドキュメンタリー映像、2階にはチョークで描かれた絵画もあるので、そちらもぜひ見学してくださいね。

（左上）栩山孝『境界線を見るために』（左下）片山みやび『今日が明日の部屋』（右）キャラメルナッツタルト350円、コーヒー350円

古民家ギャラリーで鑑賞を楽しんだあとは、併設するカフェスペースへ。アーティスト栩山孝さんと片山みやびさんが手がけた空間で、島の果物を使った季節のスムージーや、自家製ケーキ、テイクアウトのお弁当などが味わえます。コーヒーはジョン・リーチのマグカップでサーブしてくれます。 2021年秋には隣接する旧醤油会館を再生し「醤の郷現代美術館」が開館予定。小豆島ゆかりの作品などが展示されるそうです。

「二十四の瞳映画村」へ、隠れたアートを探しに

『漁師の夢』入江早耶

映画『二十四の瞳』のオープンロケセットを改築した「二十四の瞳映画村」。まるでタイムスリップしたかのようなレトロな敷地内では、「漁師の家」の隠れ部屋を利用したインスタレーション『漁師の夢』が鑑賞できます。

壁に展示されている魚の絵を鑑賞

消しカスアートを手がける入江早耶さんの作品で、部屋にずらりと飾られた魚の絵や魚拓は、「この家の漁師は実は魚のコレクターで、たくさんの魚を集めていた」というストーリーを表現しているそう。中央のケースのなかには、魚の絵を消しゴムで消し、その際の消しカスを使って、人魚や弁財天を造形したものが飾られています。

『愛のボラード』清水久和

「二十四の瞳映画村」には、瀬戸内国際芸術祭で誕生したアートがもうひとつあります。海沿いの駐車場にたたずむ『愛のボラード』は、島内の人気作品『オリーブのリーゼント』を手がけたアーティスト、清水久和さんによるものです。海と空に映える真っ白な巨大立体オブジェで、思わず触れたくなるなめらかな曲線美が印象的。船を繋留するための岸壁にある柱（＝ボラード）をモチーフにしているそうです。

島内散策の途中に屋外アートにも立ち寄り♪

『オリーブのリーゼント』清水久和

島内にはいつでも見学できる屋外作品も点在しています。どれも島の豊かな自然や風景に溶け込むものばかりです。 オリーブ畑にたたずむ『オリーブのリーゼント』は、オリーブの実に似た顔型のオブジェ。くぼんだ部分に野菜や果物が置かれ、無人販売所としての役割も果たしているそう。

『太陽の贈り物』チェ・ジョンファ（崔正化）

小豆島のメインポート、土庄港にある『太陽の贈り物』は、オリーブの葉を王冠に見立てた大きな彫刻。金色に輝く円環から、瀬戸内海を眺めてみてくださいね。

『潮耳荘』伊東敏光・康夏奈（吉田夏奈）、広島市立大学芸術学部有志（写真／Ichikawa Yasushi ）

海岸沿いにある『潮耳荘』は、ホルン型の集音装置が周囲の波や風の音を集め、建物の内部に響き渡らせる構造に。

いかがでしたか？オリーブやそうめん、醤油といった名産品はもちろんですが、島の風景や歴史と調和したアートスポットにも訪れて、小豆島の新たな魅力を探してみてくださいね。

＊＊＊ 今回ご紹介した内容は、2021年4月にアップデートした「ことりっぷ香川 小豆島・アートな島々」に掲載中です。より実用的・よりかわいい・より便利な一冊に生まれ変わったことりっぷをぜひ手に取ってみて下さいね。

【ことりっぷ 香川 小豆島・アートな島々】

香川 小豆島・アートな島々でめぐりたいすてきなスポットがぎゅっと凝縮された一冊です。表紙も一新してリニューアル♪