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2021.06.14
京都・奥貴船の川床カフェ「兵衛Cafe」で、涼やかな川風に吹かれて夏のひとときを
京都の奥座敷と呼ばれる「貴船」は、水の神様である貴船神社を中心に広がる里山です。5~9月にかけては、川にしつらえた床で、山の幸と川の幸を味わえる「川床(かわどこ)」が風物詩。 なかでも貴船の最奥に位置する「兵衛Cafe」では、コーヒー一杯から気軽に川床を楽しめるといいます。夏の京都に来たからには、一度は体験したい川床を、ぜひ訪ねてみましょう。
貴船川の上流・奥貴船にたたずむカフェ
カジュアルな店構え。ガラスに映る青もみじも素敵
地下鉄の国際会館駅から、京都バス52系統で貴船口へ、そこで33系統に乗り継ぎ貴船で下車します。 バス停からは、貴船川に沿って上流へ約10分。一本道なので迷うことはありません。貴船神社の本宮、結社(ゆいのやしろ)を通り過ぎた辺りに兵衛Cafeがあります。
川床カフェは歴史ある料理旅館の新展開
店内カフェは通年で営業
「兵衛」は、貴船神社の神主を務めていた先代が、参拝者に山菜や川魚料理をふるまったことに始まる由緒ある料理旅館です。 「旅館の1階を改装し、今の形でカフェが始まったのが2017年。若い方やおひとり様にも気軽に川床を体験していただきたいです」と、若女将の鳥居さん。
季節を感じるスイーツに添えられた野草
「酒かす最中 いちごのサンド」(500円) と「抹茶ラテ」(600円)
カフェの推しスイーツは「酒かす最中」。甘さ控え目の自家製餡に、玉乃光の酒粕を使ったクリーム、そしてぱりっと香ばしい皮のコンビネーションが、奥貴船まで歩いてきた疲れを癒してくれます。 そして、なんとも里山を感じるのが、さりげなく添えられた緑。毎朝、鳥居さんが摘んでられるそう。この日は、桑の葉が添えられていました。
貴船川がすぐそこに、水面に近い川床席
5~9月期間限定の川床席(席料:500円)
カフェメニューは川床でも楽しめると伺い、さっそく店の前の川床席へ。 広い座敷に、12席が下流を向いて座る形で設けられ、席間も十分にとられています。 京都には鴨川に「納涼床(のうりょうゆか)」がありますが、それとは大きな違いがあるそう。鴨川が水面から数メートル高いところに床が設置されるのに対し、貴船の川床(かわどこ)は、水面すれすれに床が張られるのだとか。
川床ならではの楽しみ方は?
「酒かす最中 いちごのサンド」(500円) と「カフェラテ」(600円)
川床席にテイクアウトしたのは「カフェラテ」。こちらのコーヒーには、京都の人気ロースター・WEEKENDERSの豆が使われています。 コーヒーを飲みつつ、鳥居さんに川床ならではの楽しみ方を伺ってみました。 「まずは涼やかな風を味わってください。それから水の音。最初は大きく聞こえるかもしれませんが、次第に心地よいBGMのように聞こえてきます。今の季節は木々の緑もきれいです。それから水面が近いので、真夏は足を川につけて涼をとる方もおられますよ」。 混雑時は30分の時間制限が設けられることもあるそうですが、あまりの心地よさに時間を忘れるのもうなずけます。
川床ランチも、テイクアウトもできる「野遊び弁当」
「鮎のコンフィと焼山菜」(2000円)
川床ではカフェメニューだけでなく、ランチも楽しめます。「野遊び弁当」として3種のお弁当がメニューに並んでいます。 そのひとつ「鮎のコンフィと焼山菜」には面白いストーリーが。もともと料理旅館で出されていた「鮎のひつまぶし」は、おいしいけれど、小骨が多く食べにくいという声がありました。 そこで、考案された調理法が、鮎を低温の油で蒸す「コンフィ」。小骨はやわらかく、身はふっくらと仕上がります。これに、甘辛の和風タレをからめたものが、ご飯にのります。 また、お弁当は注文を受けてから作るので、少し時間がかかるそう(※お弁当は事前に要確認)。そのため、カフェでは、貴船神社の奥宮参拝前に注文し、お参りの帰りに川床で味わうことを勧めています。
深い緑に覆われた貴船神社の奥宮
時代に合わせ形は変わっても、昔と同じく今も、貴船神社を訪れる人にランチやスイーツをふるまう兵衛Cafe。気軽に入れるので、どなたにもおすすめのスポットです。 この夏は、「初めての川床体験」を、ぜひ貴船でしてみませんか?
兵衛Cafe
ヒョウエカフェ
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