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2021.11.15
鎌倉らしさ漂うお庭を見ながらいただく手づくりの甘味♪佐助「くずきり みのわ」
選りすぐりの素材を贅沢に使ったくずきりやあんみつなどで50年以上もの間、鎌倉で親しまれている甘味処「くずきり みのわ」。落ち着いた店内からは北山杉のある庭の様子がよく見え、天気のいい日は離れの縁側や囲いのある東屋で新鮮な空気を吸いながらゆっくり過ごすのもおすすめです。銭洗井弁財天様にお参りをした後に立ち寄って休憩してはいかが?
自生するたくさんの木々や草花が彩る鎌倉らしい一軒家
JR鎌倉駅西口から徒歩約15分
席に着くとまずは温かいほうじ茶で一息つける「くずきり みのわ」。佐助稲荷神社や銭洗井弁財天宇賀福神社へと向かう静かな佐助エリアに佇み、お店の前は宮野萩が生い茂ります。風情ある入り口の茅葺き屋根は秋になると紅く色づいたカラスウリの実に覆われるなど、鎌倉の四季の移ろいを身近に感じる品のいいお店です。
半世紀にわたって変わることなく昔ながらの情緒漂う甘味処
庭の緑がよく見える店内
お店を構えて50年以上になる店内は、おもだった改装はほとんどせず昔ながらの甘味屋さんといった落ち着いた雰囲気です。北山杉がまっすぐに伸びる庭には東屋が設けられ、離れの縁側では小鳥のさえずりを聞きながら気持ちよく過ごせます。
(左上)開店当時から使っている照明は今では珍しいそろばん型の鳥取県の民芸品や温かみのある長野県の民芸品(右上)格子戸の窓辺(左下)のんびり過ごしたい縁側 (右下)プライベート感のある東屋
鉄の茶釜で沸かしたお湯で淹れるほっこりとした旨味を感じるお抹茶
京都・宇治の奥西緑苞園のものを使用した抹茶をいただくのは季節に合わせた絵柄の茶碗
今ではすっかり甘味屋さんとして親しまれているものの、もともとはカフェとして始めたのだそう。意外にもお客さんから甘いものが欲しいというリクエストが多くあったことから、あんみつやおしるこなどの甘味に路線を変更したのだとか。それにあわせてコーヒーも抹茶へと変わり、厨房には本格的な鉄製の茶釜も置かれています。お点前の心得のあるおかみさんが点てる抹茶は少し濃い目で抹茶の旨味を十分に感じられますよ。
ツヤツヤとした透明感のあるできたてを味わう名物くずきり
季節を問わずに人気「くずきり」(950円)
注文ごとに葛粉を溶いて手づくりする「くずきり」は、寒暖差の厳しい奈良・吉野の山に自生する吉野葛を使用するこのお店の看板商品です。葛の根からとれるでんぷんを贅沢に使い、できたては透明感があってのどごしがいいのが特徴で、散策で歩き回って疲れた時にもおすすめです。つくりたての美味しさをぜひ味わって。
店主のこだわりを感じる上品な入れ物
くずきりの入れ物にも店主のこだわりを感じます。フタのある落ち着きのいい入れ物は、お茶席の点心で使う信玄弁当の形からヒントを得て銀座のお店で特注したオリジナル。フタを開けると上段の赤塗りの器には関東風のさらりとした黒みつが入り、下段には透き通ったかち割り氷の中にくずきりが入っています。
抹茶の旨味と粒あんの甘みのマリアージュ
「抹茶しるこ」(880円)
濃く点てた抹茶にふっくらと煮た粒あんをたっぷり入れた「抹茶しるこ」。一見すると普通の抹茶に見えますが、スプーンをいれると抹茶の中にはたっぷりの粒あんが。抹茶の旨味とつぶあんの甘味の組み合わせはホッとするおいしさ、甘すぎないまろやかな味わいです。
さらりとした黒蜜が全体をまとめる甘味屋さんの定番
「白玉あんみつ」(850円)
甘さを控えたこしあんがモチモチとした白玉によく合う「白玉あんみつ」も、できたての手づくりにこだわったこのお店らしさを感じます。寒天によく絡む黒みつをたっぷりとかけて召し上がれ。 春の梅からはじまり、鎌倉でも珍しい八重の普賢象の桜やアジサイ、夏の新緑、秋の宮城野萩など四季折々のお花が楽しめるのもお店の魅力です。美味しい甘味と一緒に鎌倉の自然も堪能してくださいね。
くずきり みのわ
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高橋茉弓
Writer
高橋茉弓
おやつの時間を何よりも大切にするライター&カメラマン。波の音とカフェがあればそれで幸せ。
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