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2022.03.18
春の陽気のなか、レンタサイクルで巡る世界遺産のまち。レトロな新宮市さんぽ
世界遺産に登録されている熊野三山のひとつ「熊野速玉大社」を擁する和歌山県の新宮市。熊野古道中辺路で唯一、海の絶景が見えるルートや、秦の始皇帝の配下・徐福の伝説が残るなど、まちのいたるところに土地の長い歴史が折り重なったレトロな魅力がもりだくさん。ワンコインで自転車を借りたら、一日かけて名所をじっくりサイクリングしてみませんか?お腹がすいたら新鮮な地魚の定食や本格コーヒーが飲めるおしゃれな最新カフェで元気をチャージ。 見どころがコンパクトにまとまった新宮の、今行きたいスポットをご紹介します。
スタートは新宮駅前から。まずは自転車をレンタル

サイクリングの起点はJR新宮駅から。駅前にある新宮市観光協会では、9時から17時まで一日500〜1000円で自転車を借りることができます。久しぶりに自転車に乗る人や、はじめての場所でルートが不安な人は、観光案内所で相談をしてみて。地元目線でのルートのアドバイスがもらえます。 駅前にある、秦の始皇帝に仕えた徐福ゆかりの「徐福公園」でも同様にレンタサイクル可能。目印の見事な楼門は記念写真を撮るのにもおすすめです。
新宮市観光協会
シングウシカンコウキョウカイ
海が見える熊野古道のコース「高野坂」の遊歩道をウォーキング

高野坂は、熊野速玉大社から熊野那智大社へ巡拝する人たちが通った中辺路ルートの一部
世界遺産に登録されている熊野古道の中辺路(なかへち)に含まれるルートで唯一、海を見渡せる高野坂。整備された遊歩道をハイキングしながら、古道の一部を気軽に体験できますよ。高野坂登り口から足を踏み入れた先にあるのは、深い緑の木々に囲まれ時を重ねた苔むした石畳や念仏碑。金光稲荷神社近くの展望所から一望する熊野灘は、徒歩の疲れを忘れる絶景です。

石畳など1.5㎞の短いコースに見所が凝縮されている
熊野古道 高野坂
クマノコドウコウヤサカ
その日水揚げされた魚や地元の名産に舌鼓「まえ田」

「造り大皿盛り」(4〜5人前・ 5000円)
国道沿いにある「まえ田」は、その日、地元の漁港で水揚げされた新鮮な海の幸を豊富なメニューで提供する和食店。調味料に日本の醤油発祥の地である和歌山産の醤油を使っているのもポイントです。鮮度ばつぐんの生マグロをはじめとする旬のネタがのったお寿司に、古くから捕鯨文化が根付く地域ならではのクジラ肉の料理など、地元の味を心ゆくまで味わって。

(左)紀南沿岸で冬季に獲れるさんまを塩・酢漬けにし保存する「さんま寿司」は新宮名物(右上)「特上にぎり」(2200円)。寿司は1貫からのオーダーも可能。(右下)「造り中皿盛り」(2〜3人前・3600円)。旬の素材を新鮮なお造りで
まえ田
マエダ
熊野権現降臨の言い伝えがある「神倉神社」
熊野速玉大社の摂社のため、御朱印などはそちらで授与される
熊野三山に祀られている神が降臨したと伝えられている「神倉神社」は、「熊野速玉大社」の摂社。傾斜のきつい538段の石段を登りつめた先にあるのが、熊野権現が地上に初めて降臨したという御神体のゴトビキ岩。神社は山の中腹に位置しているため、市内随一のビュースポット。新宮市街や遠く太平洋も見晴らせます。
境内には桜の木があり、春らしい空気をまとう
神倉神社
カミクラジンジャ
熊野川の河口に悠然とたたずむ古社「熊野速玉大社」

鮮やかな種瑠璃の社殿。境内には1200店の古神宝を補完展示する神宝館がある
熊野三山の一社としてこの地に鎮座する「熊野速玉大社」。熊野速玉大神、熊野夫須美大神の夫婦神を主神として祀るため、縁結びのご利益で知られるほか、病気平癒など御神徳があるとされています。境内には樹齢約1000年といわれる御神木のナギの大樹があり、鮮やかな朱塗りの社殿との対比は圧巻。参拝後は神聖な八咫烏が描かれた護符「熊野牛王宝印」をいただくのも忘れずに。

神武東征の導きの神鳥として知られる八咫烏の絵馬
熊野速玉大社
クマノハヤタマタイシャ
桜の名所としても人気の城跡公園・新宮城跡

ソメイヨシノやシダレザクラなどの優美な花姿
江戸時代に築城された、浅野氏一代と水野氏十代の居城・新宮城の城跡。紀州徳川家付家老のお膝元の新宮は、江戸時代に城下町として栄えました。天守台と石垣が残り、現在は「丹鶴城公園」として整備されています。園内には約230本の桜が植えられ、例年3月下旬から4月上旬には花見客が多く訪れます。夕方からはライトアップもされるので、旅行中の夜桜見物もおすすめですよ。(2022年3月現在は、新型コロナウィルスの影響で休止中のためご注意ください)
城址に立つと眼下に広がるのは熊野川の流れ
新宮城跡 丹鶴城公園
シングウジョアトタンカクジョウコウエン
レトロモダンな洋館「旧チャップマン邸」&「旧西村家住宅」

(上段)旧チャップマン邸。建築当時は土間のある和室が中一般的で、洋式の住宅は珍しかった。(下段)旧西村家住宅。レトロモダンなバルコニーが特徴
日本で初めて男女共学を実施した文化学院の創設者であり、新宮市出身の西村伊作が設計した「旧チャップマン邸」は、明治時代に来日した宣教師のための建物。渡航の経験と自由な思想を持つ西村が提唱していた居間中心型の住宅は、当時の日本では最先端でした。 その向かいにある「旧西村家住宅」も西村による設計で、国指定重要文化財に指定されています。保存修理を経て、令和2年から一般公開を開始。当時の雰囲気が感じられるシックでエレガントな空間に心が弾みます。
旧チャップマン邸
キュウチャップマンテイ
旧西村家住宅
キュウニシムラケジュウタク
不老不死を求めた徐福の上陸地と伝わる「阿須賀神社」

事解男命(ことさかむのみこと)のほか熊野三所権現を祀る。平成28(2016)年に世界遺産に追加登録された
社殿の背後にある蓬莱山(飛鳥山)を御神体とする、熊野速玉大社とも縁の深い神社。その歴史は古く、社伝には紀元前423年の創建との記録も残っています。熊野川の河口の南岸に位置し、秦の始皇帝の命を受け渡来した徐福一行が上陸したのが阿須賀神社の建立地とも伝承えられています。弥生時代の竪穴式住居が出土した境内内には新宮市立歴史民俗資料館もあり、新宮の悠久の歴史を感じられます。

境内にある、徐福の上陸地といわれる徐福の宮
阿須賀神社
アスカジンジャ
ニューオープンのカフェでひと休み「カフェ丹福」

(上から時計回りに)カフェラテ(500円)、レモンチーズケーキ(450円)、カヌレ(350円)
2021年にオープンした「カフェ丹福」は、こだわりのスペシャリティコーヒーや厳選した紅茶、それに合うスイーツを味わえるお店。漆喰の壁に熊野杉をふんだんに使用した店内は、スタイリッシュな中にもかわいらしさが漂い、リラックスしたひとときを過ごせます。 本格的なマシンで淹れるエスプレッソやラテ、ハンドドリップコーヒーに、ホットチョコレートやレモネードなどドリンクのバラエティが豊富です。手作りのケーキや焼き菓子、ホットサンドイッチを合わせて楽しんで。テイクアウトも可能なので、サイクリングやツーリングのお供にもおすすめです。

カフェ丹福
カフェタンプク
コンパクトな新宮の街を風を切って自転車さんぽ
いかがでしたか?見どころが凝縮された新宮のまちは、気になるスポットを自転車で気軽に回るのにぴったり。海と山のちょうど間にあるので、天気の良い日に景色や風を感じながら走るのも爽快です。ぜひ新宮を訪ねて、素敵な旅時間を過ごしてみてくださいね。
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ことりっぷ編集部
新宮市観光協会

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