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2023.02.10
聖徳太子ゆかりの奈良・斑鳩の「世界遺産」へ、今ふたたびの旅
奈良の市街地から南西の位置にある、聖徳太子ゆかりの奈良県斑鳩町。 日本初の世界遺産「法隆寺地域の仏教建造物」として登録された、世界最古の木造建築がある「法隆寺」、「法起寺」を中心に、飛鳥時代の姿をとどめる建築や仏像、美術の宝庫といわれる町です。2023年の今年は、世界文化遺産登録30周年を迎えます。 斑鳩町をめぐるなら、お得な「聖徳太子ゆかりの4寺周遊拝観券(斑鳩町観光協会)」と、レンタサイクルがおすすめ。周遊拝観券が買える「法隆寺iセンター」などで自転車を借りて、斑鳩さんぽをはじめましょう。 3月26日(日)には神奈川県小田原市で、法隆寺の管長によるセミナーの開催も予定♪ これからますます注目される奈良・斑鳩町の世界遺産の古寺を、まずはじっくりと散策してみませんか。
1400年以上唱えられてきた聖徳太子への祈りの寺「法隆寺」へ
五重塔のシルエットが美しい法隆寺の夕景。法隆寺式伽藍配置と呼ばれる西院伽藍。そして東院伽藍と二つの伽藍を持つ
国宝39件、重要文化財155件という圧倒的な日本の美が現存する「法隆寺」。聖徳太子と推古天皇により、聖徳太子の亡き父・用明天皇のために7世紀初めに建立されました。しかし、その後670年に焼失し、711年までに現在の法隆寺が完成したと言われています。金堂や五重塔、中門などは現存する世界最古の木造建築です。1993年には、日本初の「世界文化遺産」に登録され、今年2023年に世界遺産登録30周年を迎えました。
写真は西院伽藍が奥に、手前に東院伽藍の夢殿がある。聖徳太子が住まわれた斑鳩宮の跡地に建つ夢殿は、聖徳太子の死後に遺徳を偲んで建立
法隆寺は、南大門から中門のある西院伽藍を拝観後、東院伽藍へ進みます。その中心となるのは八角円堂の建物「夢殿」。日本に現存する最古の木造彫刻の本尊「救世観音像(国宝)」が安置されています。聖徳太子等身の像であると伝えられ、長い間秘仏として閉ざされていましたが、明治17(1884)年に、美術研究家のフェノロサや岡倉天心によって開扉されました。夢殿の本尊・救世観音像の公開は、毎年4月11日~5月18日、10月22日~11月22日に、特別開扉されています。
法隆寺
ホウリュウジ
ほほ笑む美仏に気持ちが安らぐ「中宮寺」
有栖川宮最後の皇女が母君の高松宮妃殿下により建てられた本堂(昭和期)は、優雅でつつましやかな雰囲気
法隆寺夢殿の東に位置する「中宮寺」は、飛鳥時代に建立された日本最古の尼寺です。聖徳太子が母の穴穂部間人皇后(あなほべのはしひとこうごう)のために建てたとされ、法隆寺と中宮寺は僧寺・尼寺の関係にあったと考えられています。その後、室町時代以降は、宮家の皇女を迎える尼門跡寺院となり、大和三門跡に数えられています。 本堂の本尊は、神秘的なアルカイックスマイルをたたえる菩薩半跏像(飛鳥時代・国宝)です。そのほほ笑みは見る人を心和ませるといわれ、エジプトのスフィンクス、モナリザとあわせて、世界三大微笑像といわれます。また昨年の秋からは、お衣替えをされた聖徳太子二歳像(木像 鎌倉時代)も安置されています。
中宮寺
チュウグウジ
お昼ごはんは「竜田揚げ」を味わいましょう
(左)カラっと揚がった鶏の竜田揚げ(右上)桜が咲くころの三室山(右下)紅葉が映える竜田川
斑鳩町名物「竜田揚げ」は、揚げた時に醤油の色が赤くなり、ところどころに片栗粉が白く浮かぶ様子が、落ちた紅葉が竜田川に流れる様に見立てられたことから、その名前がついたといわれます。町内の約20店舗の飲食店で味わうことができます。 由来となる竜田川は、百人一首の「千早ぶる 神代も聞かず 竜田川 からくれなゐに 水くくるとは(在原業平)」など、いにしえより紅葉の名所として知られ、その美しさを詠んだ歌が数多く残されています。また、時間があれば三室山へ。竜田川の最下流右岸に位置し、頂上までは10分で到着。川を見下ろす位置にあり、奈良盆地を見渡すことができますよ。
散策の合間に竜田揚げランチをいただくなら、古民家カフェ「和CAFE布穀薗」へ
(上)竜田揚げランチ1750円(左下)夏季限定の斑鳩産生麩と大和抹茶のかき氷1100円(右下)風格漂う門構え
散策途中に「竜田揚げ」を味わうなら、法隆寺と中宮寺近くにあるのが古民家カフェの『和CAFE布穀薗』がおすすめです。奈良県産の食材に、赤膚焼き食器、吉野材家具にこだわった、築130年の古民家を改装した空間で、ゆったりした時間が過ごせる場所です。 こちらの竜田揚げランチには、国産鶏を使う竜田揚げに、吉野産原木しいたけを使用した全粒粉入り素麺、小鉢2品が付く、お得なセットで提供。 また、竜田揚げランチのほかにも、こだわりのランチ数種、和スイーツも充実しています。夏季シーズンは、奈良県内でブームになっているかき氷が登場しますよ。
オリジナルビター1296円、そのほか大和茶や古都華、奈良酒は1404円
奈良県産の大和茶・奈良酒・古都華(いちご)の魅力を詰めたオリジナル生チョコの販売もしています。ネーミングは、生チョコを意識した「NARA生チョコ」です。おみやげに買うのもいいですね。
和CAFE 布穀薗
ワカフェフコクエン
美しい三重塔に見惚れる「法起寺」
景色と調和する三重塔は慶雲3(706)年建立と伝わる
聖徳太子が法華経の講義を行ったとされる「岡本宮」を、息子の山背大兄王(やましろのおおえのおう)が寺に改めたと伝わる「法起寺」。現存する日本最古の三重塔(飛鳥時代・国宝、高さ24m)があり、法隆寺とともに世界文化遺産に登録されています。
フォトジェニックな秋の風景
秋になると、法起寺周辺には約2万6000㎡のコスモス畑が広がります。世界遺産・法起寺の三重塔を背景にコスモスを楽しめます。コスモスの見頃は10月中旬から11月初旬ごろです。
法起寺
ホウキジ
「法輪寺」では、さまざまな時代の仏像に出会い穏やかな気持ちへリセット
焼失時に救われた釈迦如来坐像と四天王像(平安後期)を塔内に安置
聖徳太子の病気平癒を願い、息子の山背大兄王が推古30(622)年に建立したと伝わる「法輪寺」。三重塔は、法隆寺五重塔・法起寺三重塔と並び斑鳩三塔と称されています。 創建当時の三重塔は落雷で焼失し、1975年に現在の塔が再建。携わったのは「最後の宮大工」と名高い西岡常一棟梁で、作家の幸田文さんが尽力したことでも知られています。 講堂(収蔵庫)に安置されている本尊の薬師如来坐像のほか、飛鳥から平安時代の仏像を間近に拝することができ、仏像好きな方は何時間でもここで過ごしたいと言うほど、貴重な仏像と対面できる空間です。
桜が咲き誇る華やかな春の風景
法輪寺
ホウリンジ
4寺をめぐった後は斑鳩町を象徴する「藤ノ木古墳」へ
イスに座りゆったりと古墳への想いを馳せて過ごすのもおすすめ
平成3(1991)年に国史跡に指定された、6世紀後半に造営された古墳です。完全未盗掘で、2人の被葬者と石棺や金銅製馬具(重要文化財)などが出土されました。春と秋の石室特別公開日には、古墳の内部に入ることができます。 また、出土品のレプリカが、藤ノ木古墳から歩いて5分とかからない「斑鳩文化財センター」に展示されていますので、ぜひこちらにも足を運んでみましょう。
史跡藤ノ木古墳
シセキフジノキコフン
時間があればこちらも♪ 御朱印帳づくり体験を楽しみましょう
所要時間は約90分、体験料金は1人3800円
平安時代の高僧・恵心僧都が平安時代末期(永延元年・987年)に創建し、ぽっくり寺の名で親しまれている「吉田寺」(きちでんじ)でオリジナル御朱印帳づくり、木魚念仏のお勤めや法話を拝聞し、非日常の体験ができます。 御朱印帳づくりは、表紙・裏表紙となる和紙約50種類の中から好みの柄を選び、工程を教わりながら作成。その後、木魚100個が並んだ本堂へ移動し法話を拝聞、木魚を打ちお勤めを体験。帰りには、作成した御朱印帳に吉田寺の志納印をいただきます。
御朱印体験の詳細はこちらから
斑鳩でお寺をめぐるなら、聖徳太子ゆかりの4寺周遊拝観券がお得
聖徳太子ゆかりの4寺(「法隆寺」「中宮寺」「法輪寺」「法起寺」)周遊拝観券。通常、4寺参拝料2900円(大人)が2400円、有効期限は2日間(各寺の拝観は1回のみ)、さらに周辺飲食店(カフェなど)・土産物店・レンタサイクル・体験施設などの参画加盟店で割引・サービスが受けられる特典付き拝観券です。 <販売箇所> 法隆寺iセンター、大和郡山市観光協会、王寺町観光協会、信貴山観光iセンター、奈良斑鳩ツーリズムWaikaru
4寺周遊拝観券の詳細はこちらから
聖徳太子と法隆寺について、もっと知りたくなったら、セミナーに参加してみませんか?
世界文化遺産登録30周年を迎えた「法隆寺地域の仏教建造物」に関して、有識者による東京セミナーと斑鳩セミナーをリレー形式で開催します。聖徳太子の聖地・斑鳩の魅力をじっくりお話を聞ける機会です。第1回目は、2月26日(日)に、奈良県斑鳩町のいかるがホール(※受付終了)で、第2回目 は、神奈川県小田原市で開催します。
~第2回の概要~
開催日 2023年3月26日(日)
開催時間 13~15時(開場:12時30分)
会場 小田原三の丸ホール 小ホール(神奈川県小田原市本町1丁目7-50)
講師・テーマ
第1部 法話 「聖徳太子のこころ」
法隆寺 管長 古谷正覚師
第2部 対談 「宮大工と歩く斑鳩の里の古寺 ~法隆寺と法輪寺~」
鵤工舎 棟梁 小川三夫氏
斑鳩町教育委員会事務局 生涯学習課 参事 平田 政彦氏
申し込み方法
氏名、住所、電話番号を小田原市役所文化政策課へメールまたは、FAX、電話で申込み
※事前申込み順、定員に達し次第締切となります
メール:cultual-exchange@city.odawara.kanagawa.jp
FAX:0465-33-1526
TEL:0465-33-1703(9~17時※土・日曜祝日を除く)
聖徳太子ゆかりの4寺、法隆寺・中宮寺・法起寺・法輪寺をめぐり、藤ノ木古墳まで。途中、竜田揚げのランチも味わえば、斑鳩の里を一日で満喫できます。はじめて見るには懐かしく、久しぶりに訪れるには新鮮な感覚。古都・奈良を再発見するような楽しい時間を、過ごしてみませんか。
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「世界文化遺産」地域連携会議・斑鳩プロジェクトチーム(事務局:斑鳩町役場 都市創生課)
世界文化遺産・法隆寺などの歴史・文化資源が豊富なまち
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