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2023.03.09
大人気分で浅草の江戸前天ぷらを♪ ドラマ『クロサギ』のロケ地にもなった老舗「天麩羅 中清」
浅草は、新店と老舗が同居する人気のまち。でも、新店はチェックしても、老舗はいつか行ってみたいと思いながら行けていない…ということが多いのでは? そんな老舗のなかから、創業150年を超える江戸前天ぷらの有名店「天麩羅 中清」をご紹介。中庭もあるすてきな店なので、着物でおめかしして行くのもぴったり。大人気分で、粋に江戸前の味を楽しみましょう。
浅草でのれんを守り続ける江戸前天ぷらの老舗
石畳の道の奥に構える、趣のあるすてきな外観
浅草は、今も昔も、おでかけしたいと思わせてくれるすてきなまち。 新しいお店がオープンする一方で、昔から続く老舗や寺社、街並みも残っていて、バランスよく新旧が混在しています。 そんな老舗の一軒、「天麩羅 中清(なかせい)」は、創業150年を超える有名な江戸前天ぷらの店。 幕末の頃、初代の中川鐡蔵(てつぞう)さんが広小路通りに屋台を出したのが始まりで、1870(明治3)年に現在の場所に店を構えました。 仲見世商店街と並行にのびる浅草オレンジ通り沿い、浅草公会堂の向かいにある歴史を感じる建物です。 最近では、ドラマ『クロサギ』で、「甘味処かつら」の外観として撮影に使われたので、見覚えのある人も多いかもしれません。 江戸時代から明治初期にかけて創業し、100年以上にわたって同業で継続、現在も盛業している店の集まりである「東都のれん会」にも名を連ねる名店です。
「東都のれん会」には有名な店の名前がずらりと並ぶ
まずは、看板商品の「雷神揚げ」か「天丼」を
「雷神揚げ定食」3520円。ご飯、お味噌汁、香の物が付く
老舗ビギナーだったら、まずはランチがおすすめ。名物の「雷神揚げ」が定食でいただけます。 「雷神揚げ」は、芝エビとアオヤギの貝柱のかき揚げで、迫力のあるボリューム満点のビジュアルですが、ごま油が香ばしく、おいしくてペロリと食べられます。 名称は、フランス文学者の辰野博博士が、浅草寺の雷門の雷神さまが背負っている太鼓の形に似ているところから名付けたそうです。
エビと貝柱が層になっている「雷神揚げ」の断面
丼物がよかったら、「天丼」がイチオシ。秘伝のたれにくぐらせた、車エビ2本、キス、芝エビのかき揚げがのっています。 定食や丼物は、カジュアルにテーブル席で。奥のテーブルなら、窓から池のある中庭も眺められます。
「天丼」2970円。お味噌汁、香の物が付く
窓に障子がかかっているのが奥ゆかしい印象のテーブル席
中庭の奥にはスペシャル感満点の離れ座敷も
鯉が泳ぐ池や苔の生えた岩が配された中庭
「天麩羅 中清」は、池のある静かな中庭がシンボル的な存在で、それを囲むように数寄屋造りの離れ座敷が並んでいます。 創業以来、関東大震災や東京大空襲といった被害を受け、建て直しをしなければいけくなった時も、中庭のスペースは守り続けてきたと言います。 この中庭は、お客さんならだれでも自由に出られるとのこと。着物で食事に来たら、すてきな写真が撮れそうです。 中庭の奥の離れ座敷は、コースメニューを頼むと利用できます。特別な日にぜ利用したいですね。
椅子座と床座、両パターンある離れ座敷
天ぷらのおみやげもを渡すのも粋
「天ばら 吹き寄せ(2~3人前)」7560円。前日までに要予約
天ぷらはテイクアウトも可能です。華やかな色合いの「天ばら 吹き寄せ」はお祝いにもぴったり。これをおみやげとして渡したら、浅草通な感じで粋ですね。 また、入口を入ったところには、「第四十一番」と書かれた竹飾りがかかっています。これは、浅草寺の除夜の鐘をつく順番が示されたものだとか。 さすが、老舗ならではのエピソードです。 6代目として腕を振るう現在のご主人はとても気さくな方。肩ひじを張らず、気軽に江戸前天ぷらを味わいに行ってみましょう。
竹飾りには、金の小づちや扇、真っ赤な鯛が
天麩羅 中清
テンプラナカセイ
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いちきドーナツ 市来恭子 撮影:依田佳子
Writer
いちきドーナツ 市来恭子
東京在住のフリー編集兼ライター。尾道観光大使・群馬県文化審議会委員。すてきな情報をお届け♪
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