カラフルで繊細な美濃焼タイルがすてき。「七窯社」でアクセサリー作り体験や工場見学を

2023.12.05

カラフルで繊細な美濃焼タイルがすてき。「七窯社」でアクセサリー作り体験や工場見学を

小高い山沿いに窯元がいくつも点在する、岐阜県多治見市高田地区。この地でタイルを使ったアクセサリーを製造販売している「七窯社」のギャラリーショップを訪ねました。色とりどりのタイルはどれも繊細なフォルム。工場見学をしたり、実際にアクセサリー作りを体験すると、美しいアクセサリーがこの地の人と風土が生み出したものだということを知ることができました。

三代続く美濃焼タイルの会社の新しい試み

岐阜県多治見市にある「七窯社」は、かつて登り窯があったという歴史ある美濃焼の産地で、地元の土を使ったタイルづくりをするメーカー。8年ほど前からタイルを使った雑貨作りを地元の陶芸デザイナーと一緒にはじめ、その繊細でカラフルなアクセサリーが人気を集めています。

「もともと住宅建材として使用するコーナータイルを製造販売していましたが、もっと一般の人に軽くて丈夫なこの地の焼き物を知ってもらいたいと始めたのがアクセサリーづくりでした」という「七窯社」代表の鈴木さん。水に強く軽くて丈夫な焼き物になる、この地の土。「七窯社」は型でプレスして小さく薄い形を作る技術があったので、繊細な形のアクセサリーを生み出すことができました。

工場見学＆アクセサリー作りを体験

プレス機で作り上げたピアスやマスクチャーム用のタイル素地

そんな「七窯社」のものづくりの現場を見学できるツアーも予約制で開催していて、タイルの製造やアクセサリーづくりの様子を目の当たりにすることができます。もともとこの高田地区は、低温で焼いても磁器のように耐水性を持つ土が採掘できたことから、江戸時代から酒徳利などの容器づくりをしていました。名前は知られていないですが、全国でこの地の陶器が使われていた歴史があります。その耐水性の高い土は、雨風に強いということでタイル作りへと応用されたのです。

石膏型と工程ごとに並べたピアス用のタイル

この土を何十トンという圧力をかけてプレスし、タイルを製造していますが、アクセサリーは作りたい形によって製法を変えています。タイルと同じように専用の小さなプレス型を使うほか、石膏で作った型に土を押し入れて成型したり。その後、角や突起を研磨し、彩色、釉薬掛け、焼成などなど、さまざまな工程を経てひとつのアクセサリーへと仕上げていきます。

「七窯社」では一部の工程だけですが、彩色したり、削ったりし、作家さんの技術を取り入れたオリジナルのアクセサリー作りを体験することもできるのでぜひチャレンジしてみてください。実際にピアスづくりを体験してみましたが、焼く前のタイルはとても軽く崩れやすいので、力加減のコツが必要。集中力もいりますが、小さなタイルに描いたり、彫りを入れたりと、誰でも楽しく作業できるようになっています。

工場見学とワークショップ（お花のピアスづくり3500円※要予約）

できあがったタイルに釉薬をかけ焼成をし、パーツを取り付けたものを後日届けてくれるのでお楽しみに。好きなタイルを選んではめ込むヘアゴムづくりなどもっと気軽にできるものもあります。

自分が付けたいものを作ることを大切に

紅茶をイメージしたデザインのアクセサリー。パッケージも紅茶缶のよう

現在までに700以上のアクセサリー・雑貨を作り上げてきた「七窯社」ですが、その作品の多くは、多治見市にある「陶磁器意匠研究所」という専門機関で学んだ若い女性アーティストと一緒に作り上げています。商品づくりで大切にしているのが、自身が身に着けたいと思うものか、ということ。それぞれがこんなアクセサリーがあったら…という思いで作品を作っているのが、多くの人を魅了している理由のひとつかもしれません。