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2024.03.31
和歌山・新宮でパワースポット巡り♪熊野古道や熊野川舟下りの大自然を体感
三重、奈良、和歌山の三県にまたがる3つの霊場と参詣道「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されて、2024年で20周年を迎えます。和歌山県南部にある新宮市内には、熊野速玉大社をはじめ神倉神社、阿須賀神社などの世界遺産が日常の風景に溶け込むように、まちのなかに点在しています。新宮ならではの魅力的なグルメやお土産も満載。豊かな自然と歴史文化に囲まれた世界遺産のまち新宮へ出かけてみませんか。
平安時代にタイムスリップ「熊野川舟下り」を体験
ガイドと歩く「熊野古道」の中辺路ルート
熊野大神が最初に降臨した聖地「神倉神社」
地元で人気の「あづま寿司」でランチ
純日本建築の建物「熊野荘」で楽しむ会席コース
平安時代にタイムスリップ「熊野川舟下り」を体験

和歌山と三重の県境を流れる熊野川
今年登録20周年となる世界遺産・熊野古道のひとつ「熊野川舟下り」は、唯一の「川の参詣道」。その昔上皇や貴族たちが熊野本宮大社をお参りした後、熊野速玉大社へ向かうために利用されたことで知られています。 道の駅「瀞峡街道 熊野川」から乗船し、熊野速玉大社近くの権現河原まで16キロ、山々に見守られながら約90分間の舟旅が楽しめます。

ライフジャケットなど安全装具を付けて乗船。春や夏の温かい時期でも船の上は冷えるので防寒対策を忘れずに

左上:「骨嶋」、左下:「釣鐘石」、右:「布引の滝」
熊野川は和歌山と三重の県境を流れており、豊かな自然と澄み切った川の流れを望み二つの県を行ったり来たりしながら下っていきます。同乗する語り部が語る見どころや伝承に耳を傾けながら、ゆったりと足を伸ばしてくつろいでみて。 初めに現れるのは、白い布を垂らすように見える「布引の滝」や蛇のようにくねくねと落ちる三段三重の滝「蛇和田滝」。しばらくすると、落ちそうなほど川にせり出した釣鐘石など川沿いの奇岩・巨石が次々と現れ、川面からしか見ることのできない景色を満喫できます。

乗船から約30分したら前方に見える「昼嶋」
乗車してから30分ほどすると、前方右手に天照大神と熊野権現が碁で遊んで昼食を共にしたと伝えられる「昼嶋」が見えます。最終地点に近づくと、畳を斜めに立て掛けたように見える岩「畳石」があり、間近で見ると迫力満点。

熊野川舟下りのポスターなど広告に使用されることで有名な「畳石」

篠笛の美しい音色が山々の谷間にこだまし幽玄な雰囲気を演出する
舟旅が終盤になると、語り部がおもむろに篠笛を取り出し曲を奏でてくれます。周囲の景色に溶けてゆくような笛の音が神秘的な雰囲気を醸し出し、うっとりと聴き入ってしまいます。権現川原で舟を降りたら熊野速玉大社はすぐそこ。一生に一度は乗船したい「熊野川舟下り」。舟の上から四季折々の景観を楽しみながら平安時代にタイムスリップした気分を満喫してみてくださいね。
熊野川舟下りの予約はこちらから
熊野川川舟センター
クマノガワカワブネセンター
https://kawabune.info/
大人 4950円、小人 2200円(4歳~小学生)4歳未満乗船不可。団体割引 15名以上 1名 4400円。出船時間:①10:00~②14:30~。受付は出船時の30分前まで。
ガイドと歩く「熊野古道」の中辺路ルート

熊野川を背にして朱色に輝く美しい社殿
新宮市には世界遺産に登録された熊野速玉大社、神倉神社、阿須賀神社の3つの神社があります。川舟下りの翌日は、神社を巡りながらガイドと一緒に熊野古道を歩いてみませんか。今回は、新宮駅から佐野王子まで約7キロの「中辺路(なかへち)」ルートを歩いてみました。皇族や貴族も通った公式メインルートでもあります。 新宮駅から初めに向かったのが、熊野三山のひとつである「熊野速玉大社」。全国の熊野神社の総本宮で、2004年に世界遺産に登録。熊野速玉大神と熊野夫須美大神の夫婦神を主軸とし、縁結びや病気平癒などの御神徳として知られています。

境内にそびえる樹齢千年の梛の大樹は熊野権現の象徴
見どころは、熊野速玉大社の参道にある「梛(なぎ)の木」。高さ18メートル、幹回り5メートル、樹齢は1000年近いとされる国の天然記念物です。参拝者が帰路の安全を願い、お守りとしてその葉を持ち帰ったといわれています。 その梛の木を模った「梛みくじ」があるのでぜひ引いてみて。梛の葉が数枚重なったキュートなおみくじを1枚1枚広げながら運勢を見るのはワクワクしてしまいます。おみくじの運勢にかかわらず、平安時代の歌人・藤原定家の和歌も載っており、読んでみると神秘的な気分になれますよ。

「梛みくじ」初穂料(800円)

左上:梛の木の実を奉製した「なぎまもり」初穂料(600円)、右下:神の使いである三本足のカラスが描かれた「お願いやたがらす守」初穂料(800円)
熊野速玉大社
クマノハヤタマタイシャ

「熊野もうで餅」5個入り(680円)
「熊野速玉大社」を訪れたなら、熊野本宮大社・熊野速玉大社・熊野那智大社限定販売の「熊野もうで餅」をお土産に購入してみてはいかが。和歌山県新宮市・那智勝浦町に3店舗の店を構える昭和26年創業「珍重庵」の和菓子です。 お餅でこしあんを包み、玄米粉をかけたもうで餅は甘さ控えめで素朴な味わい。パッケージは3種類ありそれぞれの神社で絵柄が異なります。熊野三山巡りの1つの楽しみとして、各所で購入してみてもいいですね。夕方には売り切れてしまうこともあるので、早めの来店がおすすめです。

香ばしい玄米粉とやさしい甘さのあんこが口の中にひろがる
珍重庵 熊野もうで餅販売所
チンチョウアン クマノモウデモチハンバイジョ

徐福伝説で知られる和歌山で唯一徐福を祀る「徐福の宮」がある
「熊野速玉大社」から約20分ほど歩いて「阿須賀神社」へ。熊野川河口近くにある蓬莱山南側の麓に鎮座しており、2016年に新宮市の新たな世界遺産として登録された神社です。古くから熊野三山の神を祀り、平安時代から「阿須賀王子」とされました。熊野詣の人々が奉納した平安時代後期から室町時代の御正体約200面が、社殿裏から出土するなど熊野信仰の需要な王子社です。
阿須賀神社
アスカジンジャ

資料館の前では阿須賀神社境内から出土した竪穴式住居跡を再現している
阿須賀神社境内にある「歴史民俗資料館」では、蓬莱山から出とした御正体や江戸時代の城下町絵図、古文書、産業資料など新宮市の歴史を伝える資料を常設展示しています。
新宮市立歴史民俗資料館
シングウシリツレキシミンゾクシリョウカン

背の高い木々に囲まれた静かな王子跡の神社
「阿須賀神社」から市内や住宅街を歩きながら約20分ほどで辿り着いたのが、熊野古道沿いにある熊野九十九王子の一つ「王子神社(浜王子跡)」。浜王子社の祭神は、神武天皇の2人の兄・稲飯命(いなひのみこと)、三毛入野命とされ、古くは海神を祀る海辺の社であったといわれています。

高野坂へ向かう王子ヶ浜に面した古道沿いにひっそりと佇んでいる
王子神社(浜王子)
オウジジンジャ(ハマオウジ)

山歩き初心者でも歩きやすい道が続く「高野坂」
熊野九十九王子のひとつ浜王子をお参りし、熊野灘の絶景を眺めながら王子ヶ浜を30分ほど歩いて行くと、「高野坂」登り口に到着。紀勢本線がすぐ目の前を走り、線路の向こうに王子ヶ浜が広がる道路にある登り口・広角側からスタートします。 この広角より御手洗の海辺の大地を超えるのが「高野坂」で、石仏や石畳、展望台などがあり、三輪崎に至る延長約1.5キロメートルを歩いて行きます。

王子ヶ浜の眺望を満喫
登り口から歩いて15分ほどで林が切れ、王子ヶ浜の眺望が開けます。目の前に広がる王子ヶ浜の眺望と揺れる波に癒され、静かな景色と共にゆっくりと時間が流れていきます。

まるで絨毯のように広がる美しい苔の石畳
高野坂の中ほどで小さなお地蔵さんが参詣者を出迎えてくれたり、自然に囲まれた古道歩きを満喫。高野坂の終盤にある「弁慶の力石」を過ぎると、苔むした石畳が残る美しい下り坂に到着。ここまで来ればゴールはもうすぐ。

熊野古道弁当は事前に予約をするのがおすすめ
ウォーキングの途中で休憩して食べたのが、新宮市内にある「おむすび一郎」の熊野古道弁当。梛の木と八咫烏のパッケージがかわいらしいですね。竹の皮の包みを開くと、新宮名物「めはり寿司」と鮭、海老フライが賑やかに入っていました。 「めはり寿司」とは、ソフトボールほどの大きさのお米に、醤油ベースのタレをつけて塩漬けした高菜で包み込んだ新宮のソウルフード。口を大きく開けば目も見開くということからこの名が付いたのだそう。中身は刻んだ高菜の茎が入っており、醤油と塩のしょっぱさとサクサクした葉っぱと茎のシャキシャキした食感がクセになります。

終着地点の「佐野王子跡」
三輪崎側の高野坂登り口から5分ほど歩くと、紀勢本線三輪崎駅に。黒潮公園を抜けて50分ほど歩いたら、尼将軍の供養碑のすぐ南側にある「佐野王子」に到着しました。京都から熊野へと向かう熊野参詣道沿いに祀られた熊野九十九王子社の一つで、遥拝・休憩所になった場所です。近世には熊野那智大社の末社で、境内の森は周囲約400mもあり「若一(にゃくいち)王子の森」と呼ばれていましたが、現在は廃社となっていて、王子跡の石碑が残るのみです。
熊野大神が最初に降臨した聖地「神倉神社」

小さな神社ですがお参りもできる
「熊野速玉大社」から徒歩10分の「神倉神社」も、新宮を訪れたら行っておきたいスポット。権現山の中腹に鎮座し、熊野三山に祀られる熊野権現が初めて地上に降臨した伝承をもつ古社です。538段の急峻な石段を登りつめた先にそびえ立つ御神体のゴトビキ岩は、近くで見ると圧巻。ゴトビキとは熊野地方の方言で「ヒキガエル」の意味。角度によってはカエルの姿に似ていることから、その名が付いたといわれています。 毎年2月6日には、白装束に松明を手にした男たちが急峻な石段を一斉に駆け降りる「御燈祭り」が開催されます。

ゴトビキ岩がある山の中腹からの眺めは新宮市随一のビュースポット
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南森エレナ
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