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2024.07.26
温泉街をまるごとリノベーション♪1泊2日で今気になる山口県・長門湯本温泉へ
山口県にある長門湯本温泉は、2020年に温泉街をまるごとリノベーションした話題のエリアです。モダンな立ち寄り湯で名湯に浸かったり、古民家カフェで休憩したり、憧れの温泉宿に泊まったり。福岡発の高速バス「おとずれ号」のダイヤ改正で利便性もアップした、1泊2日でめぐる湯の町の楽しみ方を紹介します。

そぞろ歩きが楽しめる、生まれ変わった温泉街「長門湯本温泉」へ

(上)音信川(おとずれがわ)沿いに温泉街が形成される (左下)長門湯本温泉駐車場から温泉街へと誘う竹林の階段 (右下)音信川には川床テラスも新たに設置
山口県の北西部の谷あいにある長門湯本温泉は、福岡から高速バスで約2時間50分の場所にある温泉街。その歴史は古く、この地を治めていた大寧寺(たいねいじ)の僧侶が、住吉大明神からのお告げによって約600年前に開湯。以来「神授の湯」と伝えられる県下最古の名湯です。 そんな長門湯本温泉が、歴史薫る情緒はそのままに、約4年の歳月をかけて2020年に温泉街がリニューアルしました。コンセプトは「オソト天国」。駐車場から温泉街へと続くアプローチ「竹林の階段」をはじめ、風情豊かな川床テラスや飛び石など、そぞろ歩きを楽しめる仕掛けをたくさん用意。古民家をリノベーションしたカフェ&ショップやラグジュアリーな温泉宿といった新たな施設も続々と誕生。新しさと懐かしさが溶け合う温泉街へと進化を遂げているのです。

【1日目】モダンなたたずまいも素敵♪ 足元から温泉が湧き出る「恩湯」で入浴を

香川県の仏生山温泉を手がけた建築家・岡昇平が設計
長門湯本温泉に到着したら、まずは温泉街のシンボル「恩湯」へ。2020年にリニューアルを遂げ、周囲の景観に溶け込む平屋作りのモダンなたたずまいへと一新しました。

浴槽の深さは1mあり、長門湯本温泉の伝統の「立ち湯」での入浴が楽しめる
浴室は「神授の湯」にふさわしい神々しい雰囲気で、浴槽の奥にはしめ縄が張られ、住吉大明神が鎮座する岩盤から温泉が湧き出しています。さらに浴槽の真下からも温泉が脈々と湧き上がり、これは「足元湧出温泉(あしもとゆうしゅつおんせん)」と呼ばれる全国的にも珍しいもの。上からも下からもかけ流しで楽しめる温泉は少しぬるめの39度で、泉質は硫黄の香りと成分もほのかに含むアルカリ性単純温泉。pH値は9.5~9.9と高く、天然の化粧水のようなとろみのある湯が肌を包み込んでくれます。

(左上)地元木材を用いた心地よい空間 (左下)高濃度の入浴液「クラフト温泉 恩湯」300ml(約10回分)6600円 (右上)恩湯の御朱印紙。左から初穂・志納料込み1000円、直筆御朱印入り2000円 (右下)飲む恩湯・炭酸水350円
恩湯での特別な入浴を楽しんだら、開放感あふれる休憩スペースでひと休み。湯上がりに味わいたい温泉ラムネやソフトクリームもそろっています。なかでも注目したいのが、「飲む恩湯・炭酸水」。天然温泉の岩盤の鉱石から、ナトリウムやカリウムをはじめとしたミネラル成分が抽出された飲料用「クラフト温泉」を、炭酸水に加えた天然マルチミネラルドリンクです。また「神授の湯」伝説に深く関わる2つの社寺の御朱印を授かれる特別な「御朱印紙」も用意。恩湯だけの特別体験をぜひ楽しんでくださいね。
恩湯
オントウ

湯上がりスイーツは食べ歩きで♪ 「瓦そば柳屋」のみたらし団子をパクリ

(左)みたらし団子は1本(172円)から販売。写真は4本648円。 (右上)築70年の古民家「だいご長屋」1階に店舗がある (右下)注文ごとに焼いてくれるので、アツアツ、モッチリ
入浴後は、風情ある温泉街をそぞろ歩き。散策のお供にぴったりなテイクアウトグルメが充実するのも、長門湯本温泉ならではの魅力です。たとえば「瓦そば柳屋」。こちらは山口の郷土料理である瓦そばの専門店ですが、店頭ではみたらし団子も販売。うるち米で作った一口サイズのお団子は、定番のタレのほか、きな粉、アイストッピング、季節限定の桜餡や栗餡などがそろいます。焦げ目の香ばしさと甘塩っぱいタレとのハーモニーも絶妙で、ちょっとしたおやつに最適です。

(左上)テイクアウトグルメを味わったり、休憩したり、思い思いに過ごせるパラソルベンチ (左下)温泉ラムネ291円。プレーンと塩から味が選べる (右)川床テラスでリラックス
長門湯本温泉では「テイクアウトグルメを落ち着いて食べられるように」という思いから、音信川沿いにベンチやテーブル、山口県初となる川床テラスを設置しています。川床テラスは4か所あり、川からの涼やかな風とせせらぎを感じられるロケーションが魅力です。そろぞ歩きの休憩に立ち寄ってみませんか。
瓦そば柳屋
カワラソバヤナギヤ

ラグジュアリーな老舗旅館「大谷山荘」に憧れステイ

大谷山荘スイートのテラスにはソファやチェアが備わる
長門湯本温泉には、音信川沿いに個性豊かな湯宿が集まっています。1881年創業の「大谷山荘」もそのひとつ。山裾に抱かれるようにたたずむロケーション、もてなし、空間、料理など、そのすべてが上質な名旅館です。

(左・右上)四季折々の景観に包まれる大谷山荘スイートの露天風呂。客室は120㎡の贅沢空間 (右下)琉球畳にベッドを備えた曙プレミアム
客室は趣の異なる全23タイプがそろい、2023年には曙館の客室をリニューアル。プライベートサウナや水風呂、テラス、露天風呂、リビングなどを備えた「大谷山荘スイート」、源泉かけ流しの露天風呂付き客室の「ガーデンジュニアスイート」、ベッドとソファを設けた「曙プレミアム」の全3タイプが新たに加わりました。

(左上・右上)「選べる4シーンのカフェプラン」は、クラブハウスサンドプランの場合は2750円。3日前までの予約制。開放感あふれる屋上テラスも会場のひとつ。 (左下)宿泊者は無料で利用できる天体ドーム。事前予約制 (右下)やわらかな陽光に包まれる大浴場
2023年のリニューアルに伴い、料理も見直した大谷山荘。仲買権を取得し、長門や萩の市場から直接買い付けた山海の幸を主役にした料理は、滋味あふれる一皿ばかり。また、本格的な天体ドーム、毎夜開催されるアコースティックライブ演奏、雄大な山々や星空が見渡せる屋上テラスなどもあり、滞在中の楽しみは尽きません。 さらに宿泊しなくても楽しめるようにと、夏から秋の季節限定で「選べる4シーンのカフェプラン」も用意。シェフが手がけるクラブハウスサンドまたはホテルベーカリーの自家製パンのセットをテラスで味わえるもので、1日2組限定。3日前までの予約制です。
大谷山荘
オオタニサンソウ

やわらかな灯りが温泉街を包みこむ、夜のおさんぽもおすすめです

駐車場から恩湯へと続く「竹林の階段」は毎夜ライトアップされる
宿での夕食を楽しんだ後は、夜の温泉街さんぽも楽しんでみませんか。日が暮れると温泉街に灯りがともり、幻想的な雰囲気へと一変。竹林の階段や橋などが美しく浮かび上がり、昼とは違った印象に包まれます。また1月下旬~3月上旬には、音と光が織り成すイベント「音信川うたあかり」も開催。湯の街を彩る夜の楽しみも見逃せません。

築60年の薬局をリノベーションしたブリュワリー 「365+1 BEER」のクラフトビールで乾杯

(上)かつて恩湯に掲げられた昭和レトロなネオンの一部を、正面入り口にディスプレイ (左下)瓶の販売も行う。1本(330ml)660円~ (右下)タップルームでできたてを味わって
毎週金・土曜にオープンする「365+1 BEER(サンロクロクビール)」は長門初の実力派ブリュワリー。普段は醸造がメインですが、毎週金・土曜にはタップルームを開放し、できたての一杯を味わうこともできるのです。ホップの香り豊かなエールタイプをベースに約6種類がスタンバイ。築60年の元薬局をリノベーションした空間までも味わい深い一軒です。
365+1 BEER
サンロクロクビール

【2日目】「ひものや食堂ひだまり 長門湯本温泉店」でお昼ご飯をいただきます

(左)瀬付きアジの干物、サワラのメンチカツなどが付く「あさなぎ」1280円 (右上)恩湯の向かいに建つシンプルモダンなたたずまい (右下)ガラス張りの開放的な空間で食事が楽しめる
チェックアウトしたら、温泉街を散策しつつ「ひものや食堂ひだまり 長門湯本温泉店」へ。ここは、瀬付きアジや真サバなど北浦で水揚げされた魚介を用いた干物とフライが評判の食堂です。干物は独自製法「潮返し」で仕上げたものを、じっくりと炭火焼き。ご飯は長門市油谷の棚田米、みそ汁は地元の長谷川味噌、さらにうつわは温泉街近くの萩焼深川窯の窯元「坂倉善右衛門窯」のオーダーメイドと、細部にまでこだわりが光る定食は、常時5種類ほどがそろっています。

ハンバーガー(写真はアジフライバーガー)、串揚げ2本、ドリンクが付くハンバーガーセット1100円
テイクアウトグルメが充実するのも「ひものや食堂ひだまり 長門湯本温泉店」の魅力のひとつ。アジフライやサワラメンチカツといった本格的なフィッシュバーガーはテイクアウト限定メニューで、自家製のタルタルソースがおいしさをさらに引き立ててくれます。気候のよい時期には目の前の「恩湯広場」で味わうのもおすすめ。ベンチやテーブルのほか、ハンモックや卓球台も用意。心地よい日差しに包まれてとっておきの一品を味わってみませんか。
ひものや食堂ひだまり 長門湯本温泉店
ヒモノヤショクドウヒダマリナガトユモトオンセンテン

空間美と景観美の一体感が魅力の「cafe and shop Tre」でカフェタイム

どこを切り取っても絵になる空間
ランチを楽しんだら、築70年の古民家2階にある「cafe and shop Tre」へ。土壁や梁など当時の面影を残しつつ、モルタルやステンレスなどを用いてリノベーションしたモダンな空間が魅力です。特等席は、音信川と町並みを見下ろせる窓際の席。のどかなロケーションを眺めながらひと息つけます。

(左)チーズケーキ770円、フラットホワイト660円 (右)スペインのスキンケアブランド「SUAVINA」など、オーナーがセレクトした商品を販売
メニューは定番人気のチーズケーキのほか、常時2~3種類のケーキがラインナップ。土~月曜限定でランチも登場します。店内の一角では、スキンケアアイテムやオリジナル手ぬぐいなど、温泉地らしい商品も販売していますよ。
cafe and shop Tre
カフェアンドショップトゥレ

長門メイドのおみやげを探しに「おとずれ堂」へ

地元の築60年の古民家をショップに再生
旅の締めくくりは、竹林の階段の途中に建つ「おとずれ堂」でおみやげ探し。ここは、長門湯本温泉で進められた観光まちづくりリノベーションプロジェクトから生まれた小さなショップです。「まちの番台」としての役割も担い、パンフレットやイベント情報などを発信しています。

(左上)旧恩湯の浴槽タイルをアップデートしたディスプレイ棚にも注目 (右下)萩焼深川窯のギャラリーは無料で見学できる
番台や浴槽など銭湯をイメージした空間に、手ぬぐいやサコッシュといった長門湯本温泉オリジナルグッズが並んでいます。地元特産の柑橘の長門ゆずきちを使った加工品や山口銘菓の外郎(ういろう)なども販売され、おみやげ探しにぴったり。萩焼深川窯のミニギャラリーも併設しているので、合わせてぜひ見学くださいね。
おとずれ堂
オトズレドウ

長門湯本温泉へは、福岡からの高速バスがおすすめ

博多・天神・北九州から長門湯本温泉へ直行
2022年に運行スタートした「おとずれ号」は、福岡県~長門湯本温泉を1日1往復で結ぶ直行便高速バスです。2024年4月からはダイヤが大幅に改正され、日帰り旅行でも満喫できるよう滞在時間が大幅にアップ。さらに往復乗車券には、温泉街で使える最大2500円分のクーポンが付くのも魅力です。

「おとずレンタカー」で長門エリアをぐるりドライブ♪

憧れの輸入車で周遊をドライブ
また、長門エリアを周遊するなら、「おとずレンタカー」が便利です。長門湯本温泉駐車場を発着地とし、ドイツのMINI社やフランスRENAULT社の一度は乗ってみたい輸入車が借りられるプレミアムなレンタカーサービスです。公共交通機関では行き来しにくい元乃隅神社や角島などに足を伸ばすのにピッタリ。 長門湯本温泉を訪ねる際に、アクセスもぜひチェックくださいね。

今回ご紹介した「長門湯本温泉」の周辺MAPはこちら

いかがでしたか? 温泉はもちろん、散策や食べ歩きなど魅力がいっぱいの長門湯本温泉。ひと足のばせば、絶景の「元乃隅神社」や「角島」もあり、楽しみは尽きません。1泊2日の湯の町トリップを楽しんでみませんか。
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井手口陽子(forest) 写真:森昌史(forest)
高速バス「おとずれ号」運行2周年記念♪

「福岡~長門湯本温泉線(おとずれ号)」では運行2周年を迎えたことを記念して、「こども500円」をはじめ大変お得な3本立てキャンペーンを実施いたします。 今年の夏はご友人やご家族とともに話題の温泉街へ"おとずれ"てみませんか?? 詳しくはこちら
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