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2025.07.07
横浜山手の西洋館めぐり♪レトロなカフェにも立ち寄り異国情緒に触れるのんびりさんぽ
横浜港を見下ろす山手の丘には、かつて外国人が暮らした美しい西洋館が点在しています。まるで映画のワンシーンのようなレトロな建物は今も大切に保存され、一歩足を踏み入れれば、そこはまるで別世界。歴史を感じる建築美に触れたり、当時の暮らしに思いを馳せたり、素敵なカフェで特別なティータイムを過ごしたり…。横浜山手の西洋館をめぐる、とっておきのおさんぽコースへとご案内します。
スタートは「港の見える丘公園」の絶景から
レトロかわいい「山手十番館」で王道スイーツ
建築美にうっとりするエリスマン邸のモダンな魅力
緑豊かな公園を見おろす「Café Ehrismann」
スパニッシュ風の華麗なる洋館「ベーリック・ホール」
スタートは「港の見える丘公園」の絶景から

パノラマビューが広がる「港の見える丘公園」 (C) 横浜市観光協会
横浜山手西洋館めぐりのスタートは、その名の通り横浜港を一望できる「港の見える丘公園」から。展望台に立てば、眼下に広がる青い海と空、そして横浜ベイブリッジが織りなすパノラマビューは思わず息をのむほどです。かつてこの地域には外国人居留地が設けられ、軍の駐屯地もあったとされています。公園にはベンチが設えられているので、まずはここで爽やかな潮風を感じて整えましょう。

春には美しく咲くバラ越しに横浜ベイブリッジを望む (C) 横浜市観光協会
公園から山手本通りへと歩みを進めると、いよいよ西洋館が点在するエリアへ。春には美しい桜並木となる散歩道は、静かに佇む外国人墓地や、物語に出てきそうなレトロな電話ボックスなど、フォトジェニックなスポットも。夕暮れ時、ぽつぽつと灯り始めるガス灯が西洋館を柔らかく照らし出す光景は、まるで時が止まったかのようにロマンチックです。

この界隈の雰囲気になじむ公衆電話ボックス (C) 横浜市観光協会
レトロかわいい「山手十番館」で王道スイーツ

クラシカルな外観
山手本通りを進むと、淡いブルーグリーンの外観が印象的な「山手十番館」が見えてきます。明治100年を記念して建てられたこの洋館の1階のカフェは、明るい日差しがたっぷりと差し込む大きな窓が特徴。その窓辺にはアーチ形のステンドグラスがはめ込まれ、優しくカラフルな光が店内に広がります。

明るい日の差す窓辺
横浜が発祥と言われる「プリン・ア・ラ・モード」は山手十番館の看板メニューで、多くの人に愛され続ける逸品です。やや固めのカスタードプリンは、卵のコクとバニラビーンズの豊かな香りが口いっぱいに広がります。2階のレストランは結婚式場としても人気があり、披露宴のデザートとしてこのプリン・ア・ラ・モードを選ぶカップルも多いのだとか。縁起のいいスイーツをぜひ。

「プリン・ア・ラ・モード」(780円)
「山手十番館レストラン&カフェ」の記事はこちら
山手十番館レストラン&カフェ
ヤマテジュウバンカン レストラン&カフェ
建築美にうっとりするエリスマン邸のモダンな魅力

緑生い茂る木々に囲まれるエリスマン邸
次に向かうのは、元町公園の高台に佇む「エリスマン邸」です。大正15年(1926年)に、スイス生まれの生糸貿易商フリッツ・エリスマン氏の邸宅として、山手の別の場所に建てられたものを現在の場所に移築・復元した歴史ある洋館です。暖炉のあるクラシカルな応接室や、居間と食堂を兼ねた機能的な空間、そして庭を眺めるための明るいサンルームなど、当時の豊かな暮らしぶりが目に浮かびます。
のんびり過ごすサンルーム
設計したのは、近代建築の父とも称される建築家アントニン・レーモンド氏。旧帝国ホテルの設計施工助手としてフランク・ロイド・ライトと共に来日し、栃木県の中禅寺湖畔にある旧イタリア大使館別荘(現・記念公園)をはじめ日本各地に数々の名建築を残しています。

「エリスマン邸」の記事はこちら
エリスマン邸
緑豊かな公園を見おろす「Café Ehrismann」

窓の外はまるで緑の深淵
エリスマン邸を見学した後は、併設されている喫茶室「Café Ehrismann(カフェ エリスマン)」でひと休み。もともと邸宅の厨房だった部分に、ガラス張りの明るいテラスを増設し、大きな窓の向こうには、緑豊かな元町公園の景色が一望できます。春には桜、夏には新緑、秋にはドングリの木々など、四季折々の自然が織りなす美しいグラデーションは、まるで一枚の絵画のよう。

ケーキはチーズケーキや季節のケーキなど数種類「桃のタルト」(800円※季節限定)「コーヒー」(600円)ケーキとドリンクのセットは100円引き
レトロな雰囲気が漂う落ち着いた店内では、自家焙煎の香り高いコーヒーやこだわりのスイーツ、パスタなどの軽食がいただけます。温かいワッフルにアイスクリームを添えた「アイス ワッフル添え」は、横浜の開港当時と今の様子を描いた「横浜ビフォー&ナウ」というお皿で提供され横浜の歴史が一目瞭然。ノスタルジックな気分も味わえますよ。

横浜元町の老舗洋食器店「タカラダ」の器に盛り付けた「アイス ワッフル添え」(750円)
「Café Ehrismann」の記事はこちら
Café Ehrismann
カフェ エリスマン
スパニッシュ風の華麗なる洋館「ベーリック・ホール」

設計はアメリカ人建築家J.H.モーガン氏
エリスマン邸を後にしたらお隣の「ベーリック・ホール」へ。この建物は、イギリス人貿易商B.R.ベリック氏の邸宅として1930年(昭和5年)に建てられました。戦前の山手外国人住宅としては最大規模を誇るこの邸宅は、スパニッシュスタイルを基調とした美しい外観が特徴です。

スタイリッシュな「パームルーム」
広々とした居間の北側には、アーチ型の連続窓から明るい自然光がたっぷりと差し込む「パームルーム」があります。床にはめ込まれた白と黒のタイルがリズミカルなアクセントとなり、どこか地中海のリゾートを思わせるクールでおしゃれな空間です。

キュートな子供部屋「令息寝室」
「ベーリック・ホール」の記事はこちら
ベーリック・ホール
横浜マダム御用達「えの木てい」伝統の味

館の前ではえの木が涼し気な木陰をつくる
ベーリック・ホールの道路を挟んだ反対側には、赤い屋根と白い壁の「えの木てい」が見えます。横浜山手を代表する洋館カフェで、昭和初期にアメリカ人検事が暮らしていた邸宅を現在のオーナーのご両親が自宅用として買い取り、その後、1階のリビングルームを開放してカフェにしたのが始まりです。庭に面した上げ下げ窓は上部が優雅なアーチを描き、玄関の重厚な木製ドアや暖炉など、西洋建築ならではの意匠が随所に見て取れます。

アンティークの家具や受け継がれてきた調度品が訪れる人を温かく迎える
手づくりのケーキをはじめ、地元横浜のマダムたちに愛される「チェリーサンド」や優雅なティータイムを演出する「英国式クリームティー」など、どこか懐かしく、心温まるホームメイドの美味しさが堪能できます。

色あいも素敵な「チェリーレモネード」(880円)、「チェリーサンド2個セット」(792円)
スイーツにはバラをイメージしたものも多く、夏季限定のフラッペには「ローズフラッペ」が登場します。ブルガリアのダマスクローズから抽出するオーガニックローズウォーターを使用した上質な香りは世界の最高品質とも称えられほどで、バラのアイスクリーム、甘酸っぱいフランボアーズソースの味わいがアクセント。

「ローズフラッペ」(1320円)※夏季限定
「えの木てい」の記事はこちら
憧れの西洋館でアフタヌーンティー

「ローズアフタヌーンティー」(3850円+個室室料2200円/2時間)※予約制
「えの木てい」を訪れたなら、ぜひ体験してみたいのが優雅なアフタヌーンティーです。特別な時間を過ごしたい方には、予約制の「ローズアフタヌーンティー」がおすすめです。通常は入ることができない2階のクラシカルな雰囲気漂う個室へと案内されます。窓の外には庭の木々の枝葉が揺れ、シャンデリアの柔らかな光が室内を照らし、まるで物語の主人公になったかのような気分に。

2段目の華やかなスイーツ※時期によって一部変更あり
ティースタンドの上段には、創業時からのレシピで作られる伝統の英国風スコーン。中段はスイーツの豪華な盛り合わせ。「ローズライチ」のムースと「薔薇のロールケーキ」、「薔薇のパンナコッタ」と、まさに薔薇づくしの贅沢なプレートです。下段には季節のセイボリーが並び、甘いものとの相性のいい取り合わせ。

木陰が心地のいいテラス席
1階のティールームやテラス席でいただけるのは「復刻版ローズガーデンセット」です。これは、以前えの木ていが近隣の西洋館内に出店していたカフェで提供し、大好評だったアフタヌーンティーセットを、多くのファンの声に応えて復活させたものだそう。伝統のスコーンとケーキ2種類、サンドイッチを美しく盛り合わせ、自慢の味を少しずつ楽しむことができるスペシャルな内容です。

「復刻版ローズガーデンセット」(2780円)紅茶またはコーヒー付き ※平日限定
「えの木てい アフタヌーンティー」の記事はこちら
えの木てい
エノキテイ
山手エリアの洋館めぐりは、横浜の開港から続く歴史の物語があり、異国の文化と日本の文化が交じり合った独特の雰囲気が息づいています。一つひとつの館に刻まれたストーリーに思いを馳せ、当時の人々の暮らしを想像するのも楽しい時間です。ぜひのんびりと散策して、あなただけの特別な物語を見つけてくださいね。
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高橋茉弓
Writer
高橋茉弓

おやつの時間を何よりも大切にするライター&カメラマン。波の音とカフェがあればそれで幸せ。
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