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2025.07.09
ハイカラな港街のレトロな喫茶室♪ひとり用のホールケーキに心ときめく/横浜「馬車道十番館」
明治時代の文明開化期に、馬車が行き交ったといわれている横浜の馬車道にたたずむ「馬車道十番館」。異国情緒あふれるレンガ造りの洋館に一歩足を踏み入れると、時が止まったかのようなクラシカルで優雅な空間が広がります。1階の喫茶室では、アーチ状のステンドグラスから柔らかな光が差し込み、伝統のコーヒーや自家製パンのサンドイッチ、そしてキュートなホール型ショートケーキがいただけます。古き良き横浜の面影を色濃く残すこの場所で、日常を忘れる特別なひとときを過ごしませんか?
文明開化の面影残すレンガ造りの洋館

JR関内駅から徒歩約5分
明治時代、日本の玄関口として栄えた横浜。中でも馬車道は、外国船が着く港へと続くメインストリートでした。その名の通り馬車が行き交い、日本で初めてガス灯が灯るなど、文明開化を象徴する華やかなエリアだったのです。当時の街並みは、英国建築風の赤レンガ造りの建物が多かったといわれています。その面影を今に伝えるのが、5階建ての重厚なレンガ造りの「馬車道十番館」です。

店頭のガス灯と電話ボックス
ここはかつて、ガス灯の設置に尽力した高島嘉右衛門(たかしまかえもん)家の旧跡地。その歴史を物語るように、お店の前と脇には今も3本のガス灯が灯り、お店のロゴマークにもなっています。

歴史を感じる給水施設
さらに今はほとんど見かけることのない木製の公衆電話ボックスや、馬のための水飲み場もあり、訪れる人々を明治時代へと誘います。
ステンドグラス煌めく非日常の喫茶空間

吹抜けの空間を彩るステンドグラス
古き良き時代を感じさせる1階の喫茶室は、柔らかな自然光が大きなアーチ状のステンドグラスを通して降り注ぎ、幻想的な雰囲気を醸し出しています。趣ある照明やアンティークな調度品の数々が、訪れる人の心を優しく包み込みます。

繊細なガラスのレリーフ
衝立として使われているガラスのレリーフには、明治時代の馬車道の賑わいが描かれており、当時の活気が伝わってくるようです。開港当時の建築様式を参考に明治の西洋館を再現したというこだわりがたくさん詰まっています。
レトロな館内を少しだけ覗いてみると…

趣のある案内板
1階の喫茶室だけでも十分に魅力的ですが、階段を上がると、そこにもまた心惹かれる空間が広がります。階段の壁面には、ガラス細工が美しい「ギヤマン・ランプ」や、日本の漫画表現に影響を与えた明治期の風刺画「ポンチ絵」が飾られており、まるで小さな美術館のよう。2階は週末のみオープンする英国風酒場。重厚なカウンターで嗜む一杯は、格別な時間をもたらしてくれそうです。

3階のレストラン
3階は本格的なフランス料理のレストラン。記念日など特別な日に訪れたい落ち着いた雰囲気が漂います。さらに4階、5階はバンケットルームとなっており、パーティーなどにも利用可能。館内全体が訪れる人をもてなすための心配りに満ちています。
伝統のコーヒーとホール型ショートケーキ

スタッフの制服もクラシカル
喫茶室でぜひ味わいたいのが、伝統的なスタイルのコーヒーです。通常のコーヒークリームのほかに半だてのホイップクリームも添えられ、ホイップクリームを入れると、まるでウィンナーコーヒーのようなまろやかでコク深い味わいに。このスタイルこそ、長年守り続けてきたこだわりの一つです。

「十番館オリジナルブレンドコーヒー」(803円)
そして、もう一つの看板メニューが、一人用でありながらホール型で提供される「ショートケーキ」です。しっとりとしたスポンジ生地に、北海道産の生クリームをたっぷりと使い、フレッシュないちごをサンドした王道の美味しさ。目の前に運ばれてきた瞬間に思わず笑みがこぼれ、特別な日のご褒美にもおすすめです。

「ショートケーキ」(880円)
ツヤツヤとした卵焼きを自家製パンで挟んだ絶品サンド

「タマゴサンド」(1100円)「紅茶 ダージリンスペシャル」(803円)
軽食メニューも充実しているのが馬車道十番館の魅力です。サンドイッチは、創業時からのレシピを守り、熟練した職人が焼き上げる自家製パンを使用します。なかでも注文ごとに焼き上げる分厚い卵焼きをサンドした「タマゴサンド」に使うのは「スペシャルブレッド」。このパンは、水を一切使わず牛乳100%で仕込むため、しっとりとリッチな味わい。その一方、卵焼きは塩を少々効かせただけのシンプルな味付けで、パンと卵本来の美味しさが際立ちます。

濃厚マスカルポーネとコーヒー生地の相性抜群の「ティラミス」(539円)「クリームソーダ メロン」(880円)
昔懐かしい「クリームソーダ」は大きなワイングラスのような器で提供され、見た目もレトロです。メロンとストロベリーの2種類があり、どちらも果肉入りで果物の香りも漂ってきます。ぜひショーケースに並ぶ美しいケーキを選んで、一緒に味わって。
横浜の記憶を刻む名物ビスカウトをお土産に

「ビスカウト」(195円)※ギフト箱の詰め合わせ有り
馬車道十番館での素敵な時間を持ち帰るなら、お土産には名物の「ビスカウト」がおすすめです。これは、熟練の菓子職人が一枚一枚丁寧に焼き上げたビスケットに、甘さ控えめの上質なクリームをサンドした西洋菓子。レモン、チョコレート、ピーナッツの3種類があり、素材の風味を大切にした優しい味わいです。ビスケットの表面にあるガス灯のロゴが横浜らしさを感じさせます。

「タオルハンカチ 馬車道十番館コラボ」(1848円)色は白・ベージュ・グリーンの3色※数量限定なくなり次第終了
このビスカウトをモチーフにしたレースのハンカチも人気です。こちらは横浜元町に本店を構える老舗「近沢レース店」製で、繊細なデザインが上品です。横浜散策の思い出に、大切な方への贈り物に、ビスカウトなどと一緒に選んでみてはいかがでしょうか。
馬車道十番館
バシャミチジュウバンカン
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文:高橋茉弓 写真:古本麻由未
Writer
高橋茉弓

おやつの時間を何よりも大切にするライター&カメラマン。波の音とカフェがあればそれで幸せ。
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