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2025.11.27
築100年の文化財で特別な和スイーツ体験を♪ 大正ロマンあふれる秘密のラウンジ「豊門会館」
東名高速道路・足柄スマートICから車で約15分。静岡県小山町にある「豊門会館」は、大正時代の邸宅を移築した国登録有形文化財。そんな名建築の中で、2024年夏から和スイーツを楽しめるサービスがスタート。好きな部屋でくつろぎながら、お抹茶や町の銘菓、焼きいもブリュレなどを味わえます。知る人ぞ知る“秘密のラウンジ体験”は、訪れた人だけが味わえる贅沢な時間。週末のリラックス旅にぴったりです。
大正ロマンの魅力あふれる、和洋折衷の建物

風格ある「豊門会館」の外観
小山町の中心部から少し離れた、小高い丘の上。自然豊かな豊門公園の中に、「豊門会館」はあります。外観は、和館と洋館が並ぶ独特の佇まい。歴史を感じさせる、どっしりとした風格が漂います。

もともとここは、富士紡績を立て直した実業家・和田豊治さんが、1925年、東京・向島に建てたお屋敷。和田さんが亡くなったあと、遺言により、東京からふるさとの小山町へ移されました。 建物は、木造2階建て。いくつもの部屋に分かれており、それぞれ異なる雰囲気を楽しめます。縁側はガラス張りの癒やし空間。外には豊門公園の緑が広がり、四季折々の景色を楽しめます。

寄木細工を施した床や天井の鏝絵細工など、細部までこった造り
和室の落ち着きとは対照的に、洋間はサーモンピンクの花柄が施され、とっても華やか。そこにいるだけで、異国のサロンに迷い込んだような気分になります。 館内はすべて写真&動画撮影OK。花柄の壁紙を背景に、お気に入りのワンシーンを切り取ってくださいね。


洋間の扉は、ぱっと見、模様を描いたようにみえますが、実は“木の象嵌(ぞうがん)”で出来ています。繊細なデザインと緻密な職人技に、思わず見入ってしまうほど。

モダンなタイルが目を引くサンルーム
そして奥には、洋間とつながったサンルームがあります。この部屋は、豊治さんがお母様のために植物を育てる場として用意したのだとか。 サンルームは、すみずみまで柔らかな陽射しが届き、冬でもぽかぽか♪ 時間を忘れて、のんびりとくつろぎたくなります。

手づくりのレトロガラスが残る廊下も、見どころのひとつ。懐かしく美しいガラスには、得も言われぬ温かみがあります。歩みを進めるたび、ノスタルジーが呼びこされるはず。

階段を上って2階へ。このフロアには、広さの異なる座敷や次の間などがありますが、最も特徴的なのが、8畳の座敷です。 注目ポイントは、天井と畳。「豊門会館」で唯一、天井に屋久杉が使われ、畳と天井の区切りがぴったりそろうように作られているそう。また、壁には幕末に活躍した佐久間象山(さくましょうざん)による直筆の書も掲げられています。

2階に来たら、書院欄間もお見逃しなく。ここには、歴史に名を刻んだ勝海舟の書「六合山荘(りくごうさんそう)」があります。 「六合山荘」とは、富士紡績の初代会長・富田鉄之助(とみたてつのすけ)さんが小山町に建てた住まいの名前。昔、このあたりは「六合村」と呼ばれていたことから、その名がつけられました。 こういった歴史的な遺産が今も多く残るのは、和田豊治さんが、伝統を守りながら新しい時代を築いた人だからこそ。壮大な歴史に思いを馳せると、変化の波が押し寄せる“今”をしなやかに生きるヒントが見つかるかもしれません。
文化財の中でティータイム

これまで見学専用だった「豊門会館」ですが、2024年夏から、甘味処が楽しめる「ラウンジ」としてアップデート。好きな場所で、こだわりの和スイーツを楽しめるようになりました。 受付で注文を済ませたら、あとはゆっくり、くつろぐだけ。ここでは待つ時間までさえも、特別に感じられます。
まんまるかわいい球体最中を抹茶と一緒に

「抹茶(和菓子付)」(900円)
人気の定番は、京都宇治の抹茶に、小山町にある「丸中わさび店」の銘菓を添えた「抹茶セット」(900円)。 ころんとキュートな最中は、富士山の裾野で育った「抹茶あん」と伊豆の橙使用した「オレンジあん」の2種類。上品なほろ苦さの抹茶に、やさしい甘さの最中が寄り添い、ひと口ごとにしみじみおいしいが広がります。
秋冬限定、ほっと癒やされるあったかおやつ

「やきいもブリュレ(珈琲or紅茶付き)」(1000円)
口に入れた瞬間、幸せになれるスイーツがこちら。注文後に表面をバーナーで炙り、こんがりと仕上げる「やきいもブリュレ」です。 外はパリっ、中は甘~いさつまいもがほくほくと。バニラアイスと一緒にいただけば、冷たさと温かさのコントラストがたまりません。スプーンを入れるたび、カリッ、トロッ、ひんやり…と、食感の三重奏が口の中で踊ります。

冬季限定「おしるこ(煎茶付)」(850円)

館内には、作家さんによる手づくりの雑貨もたくさん。どれも一点もので、やさしい手ざわりと物語を感じさせてくれます。気になるものがあれば、「豊門会館」のお土産にいかがでしょうか。

豊門会館
ホウモンカイカン
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安藤美紀
Writer
安藤美紀

湘南を拠点に全国を旅するフリーライター。執筆した記事は1000以上。温泉の資格も複数保持。
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