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2015.03.24
雛のつるし飾りに込めた思い@伊豆・稲取
3月31日まで開催中の、伊豆稲取、春のイベント「雛の吊るし飾りまつり」。 可憐なお飾りに込めれらた思いを、レポートします。
▼稲取の町中にて・・・工房を訪ねる。

~賀茂郡東伊豆町稲取429 TEL 0557-95-0722~大きな「さる」のお飾りが目印。
3月も後半。 世間は、とっくに「お雛様」を箱に仕舞ってしまった時期ではありますが。。 地元・伊豆稲取地区では、「雛の吊るし飾りまつり」絶賛開催中です。 毎年、早咲きの河津桜と共に、町中に飾られる美しい「つるし飾り」。 町内には4か所のつるし飾りとお雛様を展示している施設がありますが今回は敢えてそこではなく、つるし飾り製作体験後工房/絹の会さんを訪ねてみることにしました。

場所は稲取の町のちょうど中心位。伊豆稲取駅から徒歩約10分。 駐車場は工房前に一台分。停められないようでしたら港の方などに駐車し、のんびりと町の様子を見ながら歩いて訪ねる事をお勧めします。 中に入ってみましょう。

こちらが製作キットの1つ「もも」。
工房の中には、その場で作られた素晴らしい吊るし飾りが多数展示されています。 それら完成品の販売もありますが、つるし飾りの作り方を指導してもらえる製作体験キットが用意されています。
では早速製作体験を! ・・・とちょっとその前に、そもそも「吊るし飾り」ってなんなのでしょう。
▼吊るし飾りの云われ

現在のものに比べると簡素だが、得も言われぬ味がある。
発祥は江戸時代。 稲取地区では、桃の節句に着物の端布で作った縫いぐるみを赤いひもでつなぎ、ひな壇の両側に吊るして娘の無病息災・良縁を願いました。 そして、そのお飾りは、娘が大人になるころ、お正月に行われる「どんど焼き」の炎で焚き上げられたのでした。 *********** これ↓↓は昭和5年に初節句を迎えた女の子のために作られた吊るし飾り。 今のものと違ってかなり簡素な飾りですが、これが本来のもの。
▼「雛のつるし飾りまつり」のはじまり
ひっそりと受け継がれてきた吊るし飾りの心。 作る人も減ってきて、このままでは途絶えてしまうのではと危機感を抱いた一人の女性が現れます。 平成5年。この女性の呼びかけで集まった婦人会の皆さん。 吊るし飾りを作り続けていたお母さん、おばあちゃん方の指導のもと、型紙をおこし、布を選び、 毎年秋に行われる「東伊豆町民文化祭」に出展することになりました。 町中の人がその展示を見て感動の波が広がり、そして、現在の「雛のつるし飾りまつり」へと発展してきたのです。 大規模なお祭りへと変貌した「雛のつるし飾り」。ありがちなことですが、華やかな飾りの陰に本来の意味が失われかけているのを、絹の会のみなさんは危惧しています。
▼各々モチーフに込められた思い

たとえば、これ。「三角」。 とても地味なお飾りですが、実はこれは自分の娘に幸いを運んで来てくれる龍や蛇、魚など神様の御使いのうろこを表しています。 つるし飾りには欠かすことのできないモチーフです。

「三角」が象徴的なお飾りであるのに対し、こちらは具象的なお飾り「三番叟」。

稲取では7月に行われる祭典の際、「子供三番叟」が奉納されます。
三番叟の踊り手に選ばれるのはその家としても大変名誉なことで、子供がそのような名誉を受けられるようにと願う親心を表しています。 その他、厄が去るようにと「さる」、悪い虫がつかないようにと「とうがらし」、女性を象徴的に表す「桃」など書き出したら収まりきれないほどのモチーフがあります。 是非、稲取へお越し頂いた際には全体の美しさをご覧いただいた後、一つ一つのモチーフに込められた思いを感じながら、春のひと時をお楽しみください! (尚、「雛の吊るし飾りまつり」は3月いっぱいで終了ですが、「絹の会」では定休日を除き一年中展示をご覧いただくことができ、製作体験も受け付けてくれます。)
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Writer
荻嶋留美

家を一歩出れば旅の始まり。旅好きが高じ、 2002年、東伊豆の山頂でペンションエルブルズを 開業。人、動物、虫、植物・生き物大好き。 伊豆各地を写真で巡る旅を楽しんでいる日々。
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