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2017.03.27
京都で感じる、春の訪れ。名店「栖園」で味わう、あこがれ京甘味「琥珀流し-桜花-」
老舗京菓子店・大極殿本舗の六角店の中にある甘味処「栖園(せいえん)」の看板メニュー「琥珀流し」は、季節替わりの寒天菓子。3月の下旬からは、春の訪れを告げる「桜花」が登場します。

街ナカに趣を添える、築140年を超える京町家
時代を超えて慈しまれてきた京町家の店舗
地下鉄・烏丸御池駅から徒歩6分、東西にのびる六角通にはんなりと建つ紅殻格子の京町家が「大極殿本舗 六角店」。創業は1885(明治18)年、京都でいち早くカステラ作りを手がけたお店です。
坪庭のみずみずしい苔に癒される
のれんをくぐると、格子窓からこぼれるやわらかな光の中、銘菓「花背」をはじめ季節の移ろいをそっと告げてくれる京菓子が上品に並べられています。 お店の奥は、端正な坪庭を望める甘味処「栖園」です。
窓辺に並ぶ可憐な意匠の干菓子

一番人気のメニューは「琥珀流し」

琥珀流し「桜花」(660円)
口あたりのなめらかな寒天と季節替わりの蜜をあわせた「琥珀流し」が一番の人気メニューです。 春の到来を告げるのは、桜が咲きそめる少し前の3月下旬に登場する「桜花」。紅色の桜が浮かぶ寒天の下には小豆が添えられていて、まるでひらりと舞い散った桜の花びらが川面に浮かんでいるかのよう。京のうるわしい四季に思いをはせてみたくなる、そんな詩情豊かなひと品です。 八重桜の塩漬けを、ひとつひとつめしべ、おしべやがくを取り除いて花びらだけにしているから薄紅色がいっそう映えるのが、美しさのひみつです。

上左から、「抹茶」(5月)、「梅酒」(6月)、「ペパーミント」(7月)、下左から、「ひやしあめ」(8月)、「ぶどう」(9月)、「くり」(10月)
「桜花」の次は、上質な宇治抹茶をふんだんに使った「抹茶」(5月)、大人の味わいの「梅酒」(6月)、見た目にも涼しい「ペパーミント」(7月)などへと移ろっていきます。 以前は冬の時季はお休みでしたが、数年前に1月「白味噌」2月「ココア」3月「甘酒」が誕生し、一年を通して楽しめるようになりました。

ぜんざいのメニューにも個性がキラリ
「お多福ぜんざい」(1150円)。夏季(6~9月)は休み
ぜんざいのメニューも充実しています。丹波大納言小豆と白小豆を合わせたぜんざいに、よもぎ餅を添えた「相生ぜんざい」(1150円)や、大粒の栗入りの栗ぜんざい(1080円)などがありますが、最近、新たに「お多福ぜんざい」が誕生しました。 使用している小豆は、丹波大納言の中でもよりすぐりの大粒のもの。コトコト炊き上げても粒がかたちよく残っているから、煮汁が澄んでいます。食感はふっくら、皮までほろりとやわらか。お餅は、香ばしいくるみを練り込んだ「くるみ」、春の風味が満ちる「よもぎ」、シンプルな「白餅」の3種入り。滋賀・永源寺のもち米を仕入れてお店でついて餅に仕立てているそう。歯切れがよくて、小豆の食感ともぴたりと合います。

桜モチーフの上生菓子とお抹茶も
「抹茶と生菓子」(760円)
ほかに、「抹茶と生菓子」など、京都らしい定番のセットも。こちらも季節替わりなので、移ろいが楽しみなメニューのひとつです。

「春庭良」(ハーフ594円)
おみやげには、明治の創業以来、熟練の技で焼き上げる「春庭良(かすていら)」を。卵の風味が豊かで、しっとり。抹茶のおともにもおすすめです。レトロなデザインの包装紙もすてきで、思わず誰かにあげたくなります。

「のれん」の移ろいにもご注目

こちらは、雪の季節のもの
季節に応じて、掛け替えられるのれんも注目ポイント。お正月、雪、桜、あやめ、朝顔、照葉、など、京町家の風情に調和したデザインが道行く人の目を楽しませてくれます。祇園祭の前には、一日だけ梅雨明け祈願を込めた「雷」ののれんも登場するのだとか。出会えたらラッキーですね。 京の豊かな四季の移ろいを、より愛おしく感じさせてくれる、そんなすてきな甘味処で至福のひとときを過ごしてみてはいかが。
大極殿本舗六角店 甘味処 栖園
ダイゴクデンホンポロッカクミセ アマミドコロ セイエン
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