背伸びしない日常に、すとんとなじむ野方のコーヒー店「Daily Coffee Stand」【街とお店のおいしいはなし。#2】
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背伸びしない日常に、すとんとなじむ野方のコーヒー店「Daily Coffee Stand」【街とお店のおいしいはなし。#2】

※こちらの記事は2017年6月2日に公開したものです。 夕方のにぎやかな商店街、その真ん中にぽつんとある「野方駅」。駅前にある交番脇の細い道を進むと、小さなお店の並びに黒板の看板が見えてきます。

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西武新宿線「野方駅」から徒歩1分にあるコーヒースタンド

今回紹介する「Daily Coffee Stand(デイリーコーヒースタンド)」は、2016年6月にオープンした新しいコーヒースタンド。ガラスのむこうには広い木のテーブルでくつろぐ若いお客さんと、真っ白な壁をバックに楽しげにコーヒーを淹れる男の人の姿が見えます。

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お客さんの正面に、エスプレッソマシンの側面が

「このマシンの側面、かっこいいでしょ? こっち側を見せたくてわざとこういう配置にしているんだよね」 そう話すのは、店主の小川 優さん。 小川さん、実はわたしが新卒で入った広告会社の同期。まさか同期がコーヒースタンドを開店するなんて(そしてこんなふうに取材することになるなんて)夢にも思っていませんでした。

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365日、ふらっと立ち寄れる場所を作るために

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ということで今回は、小川さんこと“ゆうちゃん”にお店のことをいろいろ聞いてみました。

―『デイリーコーヒースタンド』 ってなんというか…コンビニみたいな名前だね。

小川:そうね。(笑) 毎日ふらっと立ち寄れる場所にしたかったのと365日休まないぞ!って決意をこめて、こんな名前にしたんだ。
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ロゴマークには、毎日珈琲店の文字

—なるほどね。それにしても、このマキアート、すごくおいしい。

小川:ありがとう。

—メニューもわかりやすいね。

小川:うん。そこはけっこうこだわってる。コーヒー詳しくない人でも迷わないような構成にしたくて。

—いわれてみれば、表記も変わってるね。

小川:でしょ。最初はメニューに「ショット追加」とか書いていたんだけど、それを「ラテ濃いめ」に変えたら注文がぐっと増えた。コーヒー詳しくない人にとっては、専門用語とか農園とかロースターの情報って敷居が高くなっちゃう可能性があるなと思って。

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8種類のヴィーガンマフィンから日替わりで3・4種類が登場

小川:うん。ちょっと前まで岡山にある姉夫婦の生活用品とコーヒーのお店「bollard」に勤めていたんだけど、その近くに「Eko.9」っていうおいしいヴィーガンスイーツのお店があって、そこの人にアドバイスもらいながら練習した。

へぇ〜。

小川: コーヒーはバターとか味の強いものに負けちゃうから、ヴィーガンスイーツとは相性いいんだよ。

知らなかった。
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借金よりも「やらない」を選ぶことのほうが怖かった

ゆうちゃんは、なんでコーヒー屋さんになったの?

小川:新卒入社した会社を辞めたとき「もう会社勤めはしない。」と決めて「店とかやったりするのかな」と漠然と思ってはいたんだ。
それでさっき言った姉夫婦の「bollard」でコーヒーを淹れるようになったら、いよいよ楽しいぞって深みにハマって…
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岡山でコーヒーを淹れる楽しさにハマる

そうだったんだ。野方にお店を作ったのは?

小川:歩いてる人たちが都心のおしゃれな街みたいに背伸びしていないっていうか、生活感があるのが好きで。地元っていうのもあるけど、それが決め手だったね。
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でもさ、地元とはいえいきなりコーヒースタンド作るのは怖くなかった?

小川:うーん、仮に開店資金が1000万円だとして、やらないことを選ぶよりも、1000万円の借金っていう「知れているリスク」を選ぶほうが怖くなかったね。守るものがなかったからかもしれないけど。

ゆうちゃん、かっこいいね。お店を実際に始めてみてどう?

小川:なんといっても自分の作ったコーヒーに対して真正面からリアクションとお金をいただけるのがうれしい。健康的な循環で商売できているのが、めちゃくちゃ気持ちいいんだよね。
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真正面からお客さんと向き合えるところが、おきにいり

広告制作会社では、なかなかそういう機会なかったもんね。(笑)

小川:うん。(笑)
あと個人店始めてよかったなと思ったのが、儲かる・儲からないで次のアクションを判断しなくていいところ。楽しいか?やりたいか?街の人たちがハッピーになるか?って考え抜けるのが、超気に入っている。お金のことはその後考えれば良い。

そういう点ではストレスなしだね。
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だれかの生活の一部として、あたりまえに機能する場所にしたい

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コーヒーは、いつでも一杯勝負

大変なことはないの?

小川:そりゃあるよ。コーヒーは、居酒屋のお酒と違って1度に何杯も注文するようなものじゃないじゃん?

うん。

小川:その人にとっては、うちのコーヒー=1口目で決まるもの。だからハズレが許されない緊張感がある。今もコーヒーを出すときは毎回ビビってるよ、実は。

そうなの? でもこうして、たくさんお客さんがきてくれているね。

小川:そうなんだよ。それが励みになってる。うちの自慢はコーヒーそのものっていうよりも、お客さんたちだね。
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小川:遠くから来てくれる人もそうだし、地元の常連さんもそう。うちのコーヒーを飲みにやってくるっていうのが、だれかの生活のリズムのひとつになっているのが、すごくうれしい。

いいお客さんたちがいっぱい来てくれるから、やってることは間違いじゃないのかもなって思えてる。ありがたいよほんとうに。
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いいねえ。デイリーコーヒースタンドは、これからどうなりたい?

小川:これからかー。この場所を、野方でふつうに機能するような存在にしていきたい。誰かの生活の一部になるのを、もっと増やしていけたらいいな。

すてきな夢だね。ゆうちゃん、今日はおいしいコーヒーと楽しい時間をありがとう。
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にぎやかな商店街の真ん中にふと現れる野方駅のように、デイリーコーヒースタンドも、街の人たちの生活の真ん中であたりまえに機能する存在へ、これからまたちょっとずつ変わっていくのかもしれません。

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カフェでも居酒屋でもない、完全に家庭料理のお店。清澄白河「山食堂」【街とお店のおいしいはなし。#1】

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白方はるか

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1988年生まれ、清澄白河在住。ビールと日本酒が大好きな編集者・ライター。ふだんはGMOペパボ株式会社のWebメディア『よむよむカラメル』(http://pickup.calamel.jp/ )をはじめEC事業部のPRディレクターとして活動中。『街とお店のおいしいはなし。』ではイラストも担当。

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