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2015.08.26
日本三景を望むアートさんぽ―心ときめくガラス美術館へ
大小さまざまな島々が浮かぶ松島湾を一望できる地に建つ「藤田喬平ガラス美術館」は、宝石のように輝きを放つガラス工芸作品を鑑賞できるアートスポット。美しいガラスアートを心ゆくまで見たあとは、日本三景・松島を眺めながら、水上庭園をおさんぽしましょう。
松島湾を目の前に望むガラス美術館
JR松島駅から徒歩10分。日本三景の松島が見渡せる高台に建つホテル「松島一の坊」の一角に、「藤田喬平ガラス美術館」はあります。館内では、ガラス工芸家として初の文化勲章を受章した藤田喬平(1921~2004)の作品を展示。「ガラスというのは、実際のところ誰が見てもきれいだということだ」とガラスの魅力を語った藤田氏が作りあげた作品は、ひとつひとつが主役級の存在感を放ちます。
人々を夢の世界へと誘うガラスアート
飾筥「夜桜」(1993年)
第一展示室では、ライフワークだった「飾筥(かざりばこ)」シリーズなどを展示。「飾筥」とは、金銀装飾の華やかな琳派に魅せられた藤田氏がガラスでその美しさを表現したもので、手の平ほどの小さなものから数段の重箱まで大きさはさまざまです。ヨーロッパでの展示会の際、「この筥には何を入れるのですか?」と尋ねられた藤田氏は「夢を入れなさい」と答えたことから、“フジタのドリームボックス”と呼ばれるようになりました。自分ならどんな夢を入れようかな、と空想をめぐらせながら、キラキラ輝く「飾筥」を眺める時間を楽しみましょう。
「Bacchus」(2002年)
続く第二展示室では、一年の3か月~半年を過ごしたというイタリア・ヴェニスで制作された花器やオブジェの数々を展示。鮮やかな縞模様の花瓶や、果物や花などをかたどったオブジェは、薄暗い空間でさまざまな色に光り輝きます。なかでも黄金の造形が目を引く「Bacchus」は、藤田が文化勲章を受章した2002年の作品で、枝に豊かに実ったブドウの房をリアルに表現。見つめるほどに心が虜となり、夢の中へと誘い込まれるような気分になります。
四季の移ろいを感じる水上庭園を散策
ガラス美術館の外には、約7000坪もの広さの水上庭園があり、四季の花々を眺めながらゆったりと散策を楽しめます。大きな池にぽっかり浮かぶようにたたずむ「ガラスのチャペル」のステンドグラスも、藤田の監修によるもの。風光明媚な松島湾を背景に建つガラスのチャペルは、水上庭園のなかでもひときわロマンチックな光景を見せてくれます。
タンブラー(天野澄子)2700円(左)、一輪挿し(若林睦美)各1620円(中央、右)
庭園を散策したあとは、さまざまなガラスアイテムがそろうミュージアムショップへ。グラスやお皿などの食器類や、ごほうびにぴったりのアクセサリー、贈り物に喜ばれそうな一点ものなど、広い店内に多彩なアイテムが並びます。 藤田喬平のガラスアートと、日本三景・松島の絶景。2つの美しさにふれ、心華やぐ時間を過ごしてみてはいかが?
藤田喬平ガラス美術館
ふじたきょうへいガラスびじゅつかん
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神尾夏奈子 写真:板元義和
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