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2017.08.16
【東京】7/20-10/9|ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション
アメリカ合衆国で最も古い美術館、ボストン美術館から選りすぐりの名作が日本へやってきました。上野・東京都美術館で開催されている展覧会をご紹介します。 main photo / 左:フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年 Gift of Robert Treat Paine, 2nd, 35.1982 / 右:フィンセント・ファン・ゴッホ《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年 Bequest of John T. Spaulding, 48.548、All Photographs © 2017 Museum of Fine Arts, Boston
展示年代&ジャンルの幅広さが魅力

今回の展覧会は全7章、4つの大きなパートに分かれて展示がされています。 異国の地、アジアで収集されたものからはじまり、ボストン美術館の開館時期と同年代のヨーロッパの絵画の紹介、そして現代美術へ。 古いものから新しいものまで、ジャンルもさまざまな構成です。 全部で3フロアに分かれた展示室は、まず1階のアジアのアートからはじまります。古代エジプト美術、中国美術、日本美術の珠玉のコレクションからよりすぐりの作品が展示されています。

英一蝶《涅槃図》江戸時代、1713年(正徳3年)
このフロアで注目したいのが、英一蝶の「涅槃図」。釈迦の入滅の様子を描いた高さ約2.9m、幅約1.7mの作品です。 実はこの作品、日本からアメリカに渡った後、損傷のため公開されておらず、実際に目にしたことがある人はわずかという幻の作品。 それが、今回の展示のために本格的な解体と修理が行われることになり、大きなプロジェクトが組まれました。 解体と修理がされたのは、なんと描かれてから初、約170年ぶりのこと。今回の日本への里帰りは奇跡とも言われています。
美術館を支援するのは市民
今回の展覧会の見せ方のひとつが、コレクターや支援者をしっかり紹介してから、その収集品を見せていく切り口。 なぜそういう手法かというと、ボストン美術館は国や州などの公的財源からの援助を受けず、市民や支援者の寄贈や遺贈、寄付によって約50万点もの作品が集められた、稀有な美術館だからです。 美術館の発展に尽力した、アメリカを代表する富豪たちの紹介を見ると、いつの時代にも審美眼を持った人が、そしてこよなくアートを愛する人たちがいて、そのうえで美術館が成り立っていることを知ることができます。
ずらりと並ぶ印象派の巨匠たちの作品
左からカミーユ・ピサロ《ポントワーズ、道を照らす陽光》1874年 / クロード・モネ《くぼ地のヒナゲシ畑、ジヴェルニー近郊》1885年
今回のハイライトは印象派の作品が並ぶ2階。ボストン美術館は1870年に設立、1876年に開館しており、ちょうど同じ時期、1874年にパリで第一回印象派展が開催されていました。モネの「印象 -日の出-」が出品された展覧会です。 当時は最新だった印象派の作品をアメリカの人々が間近で見て、新しい風を感じとり、いち早く購入していったのです。そのためボストン美術館にはモネを筆頭とする印象派の作品が多くそろっています。
ゴッホの名作、ルーラン夫妻がそろって日本へ

左:フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年 / 右:フィンセント・ファン・ゴッホ《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年
その印象派の作品の中でも話題なのが、フィンセント・ファン・ゴッホが描いたルーラン夫妻の絵です。ルーラン夫妻は、ゴッホが南仏アルルに移り住んだときに、何度も絵のモデルになった友人です。 この2枚の絵は描かれた時期に8か月の差があり、その間に同居生活をしていた画家ゴーギャンとの仲が破たんしています。 絵を間近でよく見てみると、8ヵ月の間に画風が変化しているのがよくわかります。最初に描かれたのが夫ジョセフ・ルーランの1枚で、あとから描かれたのが妻オーギュスティーヌ・ルーランの1枚です。 妻の絵は筆跡などに明らかにゴーギャンに影響された痕跡が見て取れます。仲違いしたとはいえ、ゴーギャンがゴッホに与えた影響は多大なもの。ぜひじっくりみてみましょう。 今回のように2枚並べて展示されるのは初の試みだそう。贅沢な空間が楽しめます。
最上階の3階には版画や写真、そして日本の現代美術作家の作品など数々の展示物があるので、それらの作品もぜひじっくり鑑賞してみてくださいね。
充実の展覧会オリジナルグッズ
ダグラス ボストンテリアぬいぐるみ(大)2376円、(小)1188円
この展覧会のもうひとつの注目ポイントはおみやげです。国内外で人気のブランドと展覧会がコラボレーションしたオリジナルグッズは驚きの充実度。 こちらの犬のぬいぐるみは、ジョゼフ・ルーランを描いたゴッホの作品をモチーフに、アメリカの代表的なブランド「ダグラス社」が制作したもので、犬種はもちろんボストン生まれのボストンテリア。 大・小の2サイズがあって小さいサイズはバッグにもつけられます。

右:「Tabioソックス」(女性用800円、男性用1300円)、左:「OGAWA COFFEEドリップコーヒー」(1箱5杯分680円)
また、人気の靴下専門ブランド「Tabio」とコラボした靴下や、ロースター「小川珈琲」のオリジナルパッケージのドリップコーヒーなど、展示されている作品にインスパイアされたさまざまな商品が並んでいます。最後までしっかり会場を楽しんでくださいね。
普段はなかなか触れることのないジャンルの作品も幅広く見ることができるこの展覧会。ぜひ足を運んでみましょう。 東京・上野での展示のあとは、神戸や名古屋も巡回する予定です。
ボストン美術館の至宝展-東西の名品、珠玉のコレクション
東京都 台東区上野公園8-36 東京都美術館
03-5777-8600
ハローダイヤル
http://boston2017-18.jp/
一般当日1600円
【神戸会場】2017年10/28~2018年2/4(予定)神戸市立博物館
【名古屋会場】2018年2/18~7/1名古屋ボストン美術館
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中村あゆみ
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