277
2015.09.25
水墨画家・雪舟作。京都最古の枯山水庭園でお茶を一服
室町時代に活躍した水墨画家・雪舟が禅宗の僧であったことを知っていますか。京都屈指の紅葉の名所として知られる東福寺の塔頭寺院の一つ、「芬陀院(ふんだいん)」には、雪舟が作庭したという枯山水庭園があります。
鎌倉時代創建。またの名を「雪舟寺」と呼ばれています
「芬陀院」拝観料:300円
京阪電鉄の東福寺駅から南へ徒歩約10分。東福寺の中大門をくぐって少し東へ歩いたところに「芬陀院」はあります。 東福寺の塔頭の一つである「芬陀院」は、鎌倉時代の元亨年間(1321〜24年)に関白・一條内経公の命により創建され、以降、一條家の菩提寺として今日まで受け継がれているお寺です。水墨画で知られる雪舟(1420〜1506年)が作ったとされる庭があることで知られており、別名「雪舟寺」と親しまれています。
京都最古の枯山水庭園の一つです
入り口で受付を済ませて中へ入りましょう。南側に雪舟が作庭したという枯山水庭園が広がります。作庭された時期は寛正・応仁期(1460〜68年)と伝えられ、京都で最古の枯山水庭園の一つだとされます。 雪舟が小僧時代を過ごした岡山県・宝福寺は、芬陀院とたいへん縁があり、本山である東福寺を訪れる際には「芬陀院」を宿としていたそうです。 そのような縁で作庭されたこの枯山水庭園には左右2つの石組みがあり、向かって左の石組み「鶴島」は折り鶴を、右の石組みは「亀島」と呼ばれ、2段構えの石組みで亀の甲羅を表しています。 「芬陀院」は長い歴史のなかで2度の火災に遭い、その後荒廃していました。現在の庭園は昭和14年、昭和を代表する作庭家・重森三玲氏によって復元されたものです。
雪舟の絵をモチーフにした茶菓子とともに一服いただきましょう
雪舟庭園の東側には重森氏による庭園も連なっており、こちらは鶴島を中心に構成されています。いずれも公家である一條家ゆかりの寺だからでしょうか、松の木など常緑樹が多く、気品と気高さが感じられます。 また、一條家の第14代・恵観公は、「茶関白」という異名をとるほど、たいへん茶道を愛していたそう。院内には、恵観公ゆかりの茶室「図南亭」があります。現在のものは昭和44年、恵観公の300回忌を機に復元されたもの。茶室の丸窓からは重森氏による東庭を望むことができます。
「芬陀院」では、お茶とお菓子の接待を受けることができます(600円)。気さくなお寺なのでお茶をいただく場所は特に決まっていません。ゆっくりと拝見し、気に入った場所で静かにお茶をいただきましょう。すっと心が清らかになる気がします。
芬陀院
フンダイン
※掲載の内容は、記事公開時点のものです。変更される場合がありますのでご利用の際は事前にご確認ください。
※画像・文章の無断転載、改変などはご遠慮ください。
清塚あきこ
の人気記事