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2017.11.22
世田谷線ねこさんぽ#1ーつり革も床も!内装まで猫だらけな電車にのって、招き猫発祥の地へ
いま、じわじわと話題になっている、都内を走る招き猫デザインのラッピング電車をご存知ですか? 9月25日より東急世田谷線の前身である「玉川線(玉電)」の開通110周年を記念し、招き猫の絵をあしらった「幸福の招き猫電車」が世田谷の住宅街をのんびり運行中。世田谷線沿線の猫にまつわるスポットをめぐってみませんか? 第1回目は、招き猫の発祥の地の1つとされ、招き猫電車の由来にもなった「豪徳寺」(※正しくは「徳」の"心"の上に"一"が入る)をご紹介します。さっそく乗車し、ゴトゴト揺られて行きましょう。
見て、乗って、楽しめる「幸福の招き猫電車」
豪徳寺の招き猫をデザインした招き猫電車。世田谷線は駅と駅の間が短いためスピードがゆっくり
世田谷線は三軒茶屋と下高井戸間を結ぶ、都内では2ヶ所のみ走っている路面電車のうちの1つ。「玉電」の面影を思わせるのんびりとした姿が、招き猫の絵をあしらったことでよりほのぼのとした風貌となり、見るだけでつい微笑んでしまいます。 電車に乗ってみると、吊り革の手が招き猫型だったり、床に猫の大きな足跡が続いていたり、車内もまたかわいい。招き猫電車を楽しんでいる家族連れや沿道から写真を撮る人々の笑顔も車窓から眺められ、ハッピーな気持ちになります。
招き猫を吊り手にデザイン。つかまっていると“福”をしっかりとつかんでいる気分。画像提供:東急電鉄
世田谷線の沿線には豪徳寺や松陰神社、世田谷代官屋敷などの旧跡名所があるほか、あちこちに古くからの商店街や路地が伸び、どこか懐かしい風情も感じられます。最近では居心地のよいカフェや雑貨店なども増え、注目を集めているエリアです。 「招き猫電車は地域を盛り上げるため、地元の人々といっしょに何かできないかと考え、豪徳寺さんのご協力のもとで完成しました。お客さまには一日乗車券で乗り降りしながら、沿線散策を楽しんでほしいですね」と東急電鉄の堀江隆司さん。
運賃は全区間一律大人150円(IC144円)。一日乗車券「世田谷線散策きっぷ」は大人330円。画像提供:東急電鉄
招き猫電車は通常30~40分間隔で運行。ただし、車両の定期検査などで走らない日や時間もあるので、「幸福の招き猫電車 運行時刻表」をチェックしてみてくださいね。 それでは、招き猫電車のモデルとなった豪徳寺へ。最寄りの宮の坂駅で下車しましょう。
「幸福の招き猫電車 運行時刻表」をチェック
幸福の招き猫電車
コウフクノマネキネコデンシャ
不思議な招き猫の伝説が残されている「豪徳寺」
山門を入って正面にある仏殿は江戸時代に建立された世田谷区内最古の建造物
豪徳寺は宮の坂駅から歩いて約5分。見事な松並木の参道を進むと、風格のある山門が迎えてくれます。境内には秋は紅葉が美しい樹木が植えられ、仏殿や本殿などの立派な建造物が点在。都内とは思えない清閑なたたずまいで、空気もすがすがしく澄んでいます。
豪徳寺では招き猫を“招福猫児(まねきねこ)”と書く
こちらが招き猫発祥の地とされるのは、彦根2代藩主・井伊直孝が門前を通った際、寺の飼い猫が手招きするので導かれるまま入ったとたん、激しい雷雨におそわれたという話にあります。危うく難を逃れた直孝が喜んで田畑を寄進したことから福を招く猫寺と呼ばれ、招き猫が作られたそうです。
境内のいたるところに招き猫がいっぱい
2006年に建てられた「三重塔」をよく見ると、塔のあちこちに招き猫や親子猫、子猫の彫りものを見つけられます。お寺の建造物に猫が施されているなんて、さすが猫寺。キュートな遊び心がたまりません。みなさんも探してみてくださいね。
願いをかけて、ひとつ持ち帰ってみましょう
この数年で招き猫の数がますます増えた招福殿の奉納所。招き猫を毎年新しくする人も多いそう
豪徳寺の招き猫のご利益は、家内安全や心願成就、開運満足などいろいろ。招き猫は願いが叶ったら「招福殿」の奉納所にお礼として返すとよいそうです。 奉納所に行ってみると、大小無数の招き猫がいっせいにこちらを向いて並んでいます。この招き猫たちはこれだけ多くの人々の願いを叶えたんだなと思うと、胸にじんわり。その独特の愛らしい表情がますますかわいくなってしまいます。
招福猫児「豆サイズ」(300円)〜
寺務所の受付には大きさの異なる8種類の招き猫が揃えられています。お参りの記念に一体、家に連れて帰りましょう。自分の好きな場所に置いて祈願するとよいそうですよ。 さあ、招き猫電車に乗って、世田谷線散策に出かけてはいかがでしょう。次回は三軒茶屋の猫がいる本屋さんをご紹介します。お楽しみに。
豪徳寺
ゴウトクジ
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森田奈央 撮影:彌永浩次
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