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2018.10.30
チャイの概念がくつがえる!『chai break』 のチャイとフレンチトースト by PARIS mag
※こちらの記事は2018年10月30日に公開された記事です。 毎日の暮らしのなかで少しだけ心が弾むような豊かさをお届けするWEBマガジンPARIS mag(パリマグ)から、今回は吉祥寺の『chai break』をご紹介します。
東京屈指の景勝地でもある吉祥寺の井の頭恩賜公園のほとりに紅茶専門店があります。『chai break(チャイブレイク)』という店名の通り、本格的なチャイがいただけるお店。

年に4回は茶葉の買い付けにインドやスリランカを訪れるという水野さん
少し肌寒くなってくると飲みたくなるチャイ。その魅力について、店主の水野学さんにお話をうかがいました。
もっとカジュアルに紅茶を楽しんでもらえたら

“住みたい街”として人気の吉祥寺。駅の南側には井の頭恩賜公園があり、週末には多くの人で賑わいます。公園へ続くメインの道から少し離れた西側にある坂道の途中に、今回おじゃました『チャイブレイク』はあります。

昔からそこにあったかのような、歴史を感じる店内はほのかにスパイスの香りが漂います。ところがこの香り、紅茶そのものの香りなのだとか!茶葉からこれほど複雑な香りがするなんて驚きです。『チャイブレイク』ではチャイをメインに、さまざまな紅茶をいただくことができます。水野さんはなぜ紅茶専門店をオープンするに至ったのでしょうか? 「紅茶ってマナーとか淹れ方とか、すこし敷居が高いと思われがちなんですよね。そこで、もっとカジュアルに紅茶を楽しんで欲しくてこのお店をオープンしました」。 確かに紅茶文化はアフタヌーンティーのように“英国式”という少し格式ばったイメージがあります。そもそも水野さんはイギリス好きで、そこから紅茶に興味を持つようになったそう。その後紅茶好きが高じて、茶葉の卸販売を始め、今では『チャイブレイク』をオープンさせました。

チャイは紅茶の原産国・インドの国民的飲み物。 「インドに行くと、50m間隔くらいでチャイ屋さんがあるんです。お店と言えないくらい小さなスタンドですけど、身分や年齢も関係なくみんなそこでチャイを飲んで仕事に行ったりしているんですね。本当に生活の一部になっているんです」と水野さん。 そのチャイを通じて紅茶文化を伝えていこうと水野さんは考えています。

水野さんが目利きした紅茶たちは、同じ品種でも茶葉を摘む季節によって香りや味わいが異なります
店内には水野さんがインドやスリランカで買い付けてきた紅茶も販売されています。しかし、その中に人気の茶葉である「アールグレイ」の姿はありません。その理由は「お茶本来のおいしさを知って欲しいから」。アールグレイは茶葉にベルガモットという柑橘のフレーバーを加えたもの。何気なく飲んでいますが、実はフレーバーティーの1種なのです。 「例えばダージリンだったら春摘み、夏摘みなど、紅茶にも“旬”があるんです。つい忘れがちですが紅茶も野菜と同じ栽培品。工業製品ではなく、生産者さんが愛情をこめて作っているんですよね。そういったバックボーンも含めて紅茶文化を広めていきたいんです」と水野さんは教えてくれました。

また『チャイブレイク』では昨年より国産の紅茶の販売も始めました。近年、国産の紅茶も徐々に作られるようになってきており、その国産紅茶の魅力も『チャイブレイク』から発信されています。

スパイスがついたチャイセットも販売。お店のくるくるとしたロゴはスリランカのシンハラ文字で「テ(お茶)」を表わしている文字をアレンジしてデザインしています。
実はノースパイスだったインド式チャイ
“チャイ”というとスパイスが入ったミルクティーを想像しますが、『チャイブレイク』で提供されるベーシックなチャイにはスパイスが入っていません。“チャイ”はそもそも「茶(チャ)」から転じた言葉。インドではスパイスを入れず、たっぷりの茶葉をミルクで煮出しています。インドと同じ方法で淹れている『チャイブレイク』のチャイは豊かな香りと深い味わいを感じることができます。 「インドではそこに砂糖を多めに加えて飲みます。もちろんお好みでいいのですが、やはりインドと同じように砂糖をたっぷり入れるとおいしいですよ」とおすすめの飲み方を教えてくれました。

こんなに高い位置からチャイを注ぎます!この工程を行うことでチャイの味が変わります
さっそくチャイを淹れていただくことにしました。すると…、高い位置からチャイをカップに注ぐ水野さん!

こうすることで、チャイに空気が多く含まれまろやかな口当たりになるのだそう!たっぷりと空気を含みぶくぶくになったチャイ。ふんわりとしたミルクティーです。

濃厚なチャイのお供におすすめなのが『チャイブレイク』オリジナルのフレンチトースト。いろんなお店のフレンチトーストを研究して辿り着いたこだわりのフレンチトーストに使われているのは、自家製のブリオッシュ。ブリオッシュというと空気を多く含みさっくりとしたイメージですが、このブリオッシュはフレンチトーストに合うようしっかりとした食感。フライパンで軽く焦げ目をつけた後、オーブンで焼いているので、表面はさっくりとして心地よい舌触り、内側は卵液をたっぷり染み込んでしっとりというより、ぷるんとしています。

はちみつとラム酒の華やかな香りが楽しめるフレンチトーストはちょっぴり大人な味わい。 「材料にこだわって、きちんとした手順で作れば必ずおいしくなる。かなり研究して作った自信作です」と水野さん。 茶葉だけでなく、牛乳や卵、はちみつに至るまで生産者さんの顔が見える食材を選んでいるとのことで、水野さんの生産者さんに対する信頼感を垣間見ることができました。 芳醇なチャイと、風味豊かなフレンチトーストをいただきながら窓の外に目をやると、井の頭恩賜公園の緑がまぶしくて、まるで避暑地の喫茶店にいるかのような優雅な気分にひたることができました。

国産紅茶の「べにふうき」
最後に水野さんに紅茶を楽しむ秘けつを聞きました。 「会話の中に紅茶がある…そうやって、日常的に紅茶を楽しんで欲しいです。肩肘張らずにティーバックで気軽に楽しんでもいいですし、興味がわいてきたら突き詰めてみるものおもしろいですよ」。 紅茶を楽しむには難しい淹れ方にこだわらず、まずはおいしい茶葉を選ぶことが大切なのだそうです。

公園に隣接する『チャイブレイク』には平日はご近所の方、週末になると遠方からも老若男女が訪れるそうです。『チャイブレイク』のチャイや焼き菓子はテイクアウトも可能。香り高いチャイを片手に公園散策を楽しんでみてはいかがでしょうか?
chai break(チャイブレイク)
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PARIS mag編集部

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