世帯数40戸の里山に人を呼び寄せるイタリアンの新鋭。[SHIMOIMAICHI HOPPING・GLYPH/栃木県根室] by ONESTORY
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世帯数40戸の里山に人を呼び寄せるイタリアンの新鋭。[SHIMOIMAICHI HOPPING・GLYPH/栃木県根室] by ONESTORY

「日本に眠る愉しみをもっと。」をコンセプトに47都道府県に潜む「ONE=1ヵ所」の 「ジャパン クリエイティヴ」を特集するメディア「ONESTORY」から栃木県根室の「SHIMOIMAICHI HOPPING・GLYPH」を紹介します。

「ONESTORY」公式サイトはコチラ

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教員免許を3つ持つ異色の飲食店オーナー。

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平屋の可愛らしい建物。高く掲げられたイタリアンの国旗が目印。

冬の寒さが厳しい今市はスケートをはじめウインタースポーツが盛んな街。市街にある今市青少年スポーツセンターにはスケートリンクが併設されています。そのほど近く、畑沿いの未舗装路の先に、口コミでじわじわ人気を集めている『GRYPH』というイタリアンカフェがあります。靴を脱いで店内に入ると広い窓の向こうに雑木林が広がっており、思わず深呼吸したくなるほど。荻窪でレストランを経営しながら、縁もゆかりもなかったこの地に2店舗目をオープンさせたのはオーナーの渡辺圭太氏。1年前のオープン当初は日曜のみの営業でしたが、少しずつ体制が整い、現在は日、月、火の営業となっています。

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バードウォッチング用に建てた櫓だが、今はすっかり子供たちの遊び場に。

「僕は茨城の出身で、日光には小学生の頃に修学旅行で来たことがあるぐらい。ところが大人になってきてみたらなぜかこの辺りが好きになってしまって、年に数度は訪れていたんですね。一方、荻窪のお店が落ち着いて余裕が出来てきたので、今後どうしようかなと思っていたタイミングで、もともと蕎麦屋だったという安くていい感じの物件を見つけたんです。すぐに電話して、次の日に見に行き、1週間後には契約していました」。とにかく即断即決の渡辺さん。見た瞬間、ウッドデッキを作りたいなあと、カウンター、エントランス、バードウォッチング用の櫓まで自分たちで作ってしまいました。荻窪のお店も築60年の古民家を仲間と一緒にリノベーションしたそうです。

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旅先で靴をぬいで食事をすることで、肩の力を抜いて寛ぐことができる。

「もともと飲食関係の仕事をしようと思っていた訳じゃないんです。学生時代に教員免許を取ったんですけど、卒業してもまだ“人様の子供を預かる”ということがピンとこなくて。子供の頃から絵が好きだったので、一度きちんと絵の勉強をしないと後々悔いが残るなと思って美術大学に入りなおしたんです。学費のためにアルバイトをしたのが飲食店で、美大を卒業してもまだ先生って気になれなかったのと、物件を紹介してもらったタイミングが重なって、独立しちゃいました。教員免許を3つ持っているので、まだ先生になることを諦めたわけではないんですけど(笑)」。

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メインダイニングの向こうに小鳥や小動物がやってくる雑木林が広がる。

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地野菜と武蔵野野菜をふんだんに使ったヘルシーイタリアン。

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「パスタセット」ドリンクバー、サラダ、スープ、デザートがついて1,200円。

そんな渡辺氏が手がける料理はほっこり和めるイタリアン。現在はランチのみの営業で、ディナーは予約のみ受け付けています。ランチ時に供される大ぶりの前菜プレートにはさつまいものポタージュや白モツのトマト煮込み、キノコのマリネなど季節によって変わる7種ほどの前菜が盛り込まれており、ボリュームたっぷり。メインはお肉や魚、パスタなど5種ほどから選べるようになっています。使う野菜は地野菜をメインに、荻窪店で出している爽やかな辛みのルッコラなど武蔵野野菜も。逆にこの地で購入したものを荻窪でも出しているそうで、渡辺さんの2拠点生活を媒介に小さな循環が生まれています。

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「グリフ日光セット」ドリンクバー、前菜プレート、デザートがついて1,500円。

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盛りだくさんの前菜プレート。ランチビールやランチワインの用意も。

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今夏、レストラン併設のキャンプ場としても稼働。

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キャンプ場用にテントの貸し出しも行っている。ワインを飲みながらの焚火は最高!

実は渡辺氏、今年の夏にはここでキャンプ場を開く予定なのだとか。「この物件を借りようと思った動機の50%は森もついてくるということ。物件を見に来た時、アウトドアウエディングを企画している仲間のことが思い浮かんで、この広い敷地を使えば何かしらできるかなと思ったんです。まずは1日1組限定で、キャンプ場とレストランと隣の小屋を使いたい放題のプランを作る予定です」。自分達で整備したというキャンプ場は直火が使えるため、薪が爆ぜる音を聞きながらお酒を飲むといった贅沢な時間を過ごすこともできます。さらにキャンプ場以外の事業も進行中なのだとか。「デザインの仕事も少しずつ始めていまして。うちのスタッフにパンやお菓子を作れる子がいるので、別のスタッフを知り合いのデザイナーのところに派遣して、勉強してもらっています。ゆくゆくは自社パッケージのお菓子を作れたらと」。

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お店のロゴは風見鶏のマーク。美大出身の渡辺氏がデザインを手がけた。

レストランも、キャンプ場も、デザインも。3つの事業を擁するとなるととても大変な印象ですが、渡辺氏にはそんながむしゃら感を感じません。「レストランだからとか、キャンプ場だからという風にジャンルで分けて考えたくなくて、人が生活する上でこれがあるといいなという事業を作っていきたいと思っているんです。自治会長も『まさか、東京から若い男がやってきて、店を開くなんて思いもしなかった。よく、こんな40世帯しかない田舎に店を出してくれた』と喜んでくださって」。自治会長からは、店の目の前に広がる大豆畑にも「来年は好きなものを植えていいよ」と言ってもらっているそうです。

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アンティークショップで見つけたという風見鶏が青空に映える。

この店で働く3人のスタッフも地元の方。渡辺氏が必然的に雇用を作りだしたことになります。「最初からここに興味を持ってくれて、一緒にお店作りをしてくださる方って募集したんです。ウッドデッキとかもみんなで作って、半分みなさんの店にしてくださいって。何千万円もかけられる予算もないし、僕にはそれしかやり方がありませんから」。商売に関してあまり貪欲ではなく、常にニュートラルな渡辺氏。最後に店名に込めた意味を聞いてみました。「GLYPHって“絵文字”という意味なんです。まだ文字がなかったころ、ラスコーの洞窟とかに残されている絵文字を最初に描いた人って、描かずにはいられなかったってことじゃないですか。僕もそういう純粋な気持ちで仕事をしていけたらと思っているんです」。 (supported by 東武鉄道)

GLYPH

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栃木県 日光市根室105

clock-icon11:30〜L.O.14:30
pin-icon水・木・金・土曜
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