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2016.03.30
運命の一冊に出会えるかも!?京都の路地裏にオープンしたちいさな本屋さん「誠光社」
2015年の秋、京都の街中から少し離れた路地裏にオープンした新刊書店、「誠光社」。 左京区の人気書店「恵文社 一乗寺店」で長年店長を務めた堀部さんが立ち上げた、書店の新たなあり方を実践、提案していくお店です。
丸太町の路地裏にオープンした、ちいさな書店
神宮丸太町駅を出て西へ。橋を渡って、丸太町通北側の2本目の路地を入り進むと、表に出ている「誠光社」と書かれた白い看板が目印です。 木やレンガでシンプルに仕上げた温かみある佇まいの店を覗けば、壁一面の棚にぎっしりと本が並んでいます。 イギリスのガーディアン紙が2010年に発表した“世界で最も素晴らしい本屋”の10店にも選ばれた「恵文社 一乗寺店」で、長年店長を務めた店主の堀部さんが、退社後に開店した「誠光社」。 一軒家の1階部分を改装したスペースには、大型書店のようにあらゆるジャンルのものが揃う訳ではありませんが、個人経営ならではの個性ある品揃えと、わざわざ訪れたくなるような本の見せ方で人気を集めています。
手元に置きたくなる一冊との出会いを
気になるお店の情報や料理のレシピといった、実用的な情報を得るツールとして、本よりもネットが主流となっている現代。 「誠光社」では、例えば装丁のデザインや美しい写真に目を引かれるものなど、実用書としてではなく、嗜好品として楽しめる本を中心にセレクトしているそうです。 「決まった欲しいものを探すなら大型書店やネット販売の方が便利。訪れる人が思いがけないものと出会える場所に」と、著者や規格ごとの検索的な順番ではなく、テーマとゆるやかに関連付けながら、小説、エッセイ、マンガ、画集、絵本など、あらゆる本が混在して並べられています。
少年の絵を集めた韓国の画集、ファーの装丁が可愛いアメリカの絵本など、国内外の多彩な本が揃う
昔読んだ児童書を手に取れば、その作者について論じた本が目に付く、好きな漫画家の名前に立ち止まると、隣に並ぶエッセイのタイトルが気になり読み始めてしまう…といった風に、堀部さんが“編集”する「誠光社」の陳列には、未知の一冊を手に取るきっかけが散りばめられています。 興味のあるジャンルに留まらず、本棚を端から端までじっくりと物色したくなるのが、お店へ足を運びたくなる魅力の一つです。
店内奥には作品などを展示するスペースもあり、本と絡めた展示やイベントを展開予定
さまざまな魅力があるお店ですが、堀部さんが直接出版社と取引をするなど、新たなスタイルを実践、提案していることも注目されています。 仕入れも堀部さんの裁量で行えるので、限られたスペースに厳選した本だけを揃えて、最小限の規模での営業が実現しているそうです。
ポストカードや紙小物など、本にまつわる雑貨もセレクト
店内には、雑貨が並ぶ一角も。紙ものについての本と一緒にディスプレイする紙の小物など、本と関係のあるものを中心にセレクトした雑貨が揃っています。 また、店内だけでなく「周辺の環境も含めてお店のしつらいに」という思いから、誰でもふらりと入ることのできる街中ではないけれど、興味のある人が足を運ぶのには不自由しない、現在の場所に店を構えたそう。 落ち着いた町の雰囲気も楽しみながら、ゆっくり立ち寄りたいですね。 近隣には、素敵なカフェや趣ある銭湯など、堀部さんおすすめのスポットもあるので、来店の前後に訪れてみてください。
誠光社
セイコウシャ
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岩永 茜 写真:マツダナオキ
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