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2021.07.10
宝石のようなお菓子に出会える週末限定のお店「コンフィズリー エスパス・キンゾー」
京都・四条烏丸エリアにある「コンフィズリー エスパス・キンゾー」は、パティシエ・西原金蔵さんが手がけるコンフィズリー(砂糖菓子)のお店。土曜日と日曜日のみの営業ながら、数々の経歴を持つ西原さんのお菓子を楽しみに多くの人が訪れます。今回は、お店やお菓子についてお話を伺いました。 ■プロフィール 西原金蔵(にしはらきんぞう)/岡山県出身。「料理界のダ・ヴィンチ」と呼ばれたアラン・シャペル氏の専属パティシエとして神戸やフランスのリヨンで働く。星付きや名店と呼ばれるレストランでの活躍を経て、2001年「オ・グルニエ・ドール」を京都でオープン。65歳を迎える2018年に閉店後、2019年には新店をオープンした。
告知をせずとも注目を集めるお店

店内には25年ほど前に購入したというデンマーク製のオーディオからジャズが流れる
名店「オ・グルニエ・ドール」は惜しまれつつの閉店でした。
サラリーマンの定年と同じように65歳で「オ・グルニエ・ドール」を閉店するという目標がそもそもありました。2001年に開店した時にはもう閉店日を決めていて、65歳までうまく続けられて閉店ができたら成功と思っていたんです。その日までひたすら邁進。とても達成感がありました。
奥様と2人の想いが詰まった「日々を楽しむ」お店

パティシエの西原金蔵さん
「65歳で閉店」という目標を達成した後、新店の開店も決めていらしたのですか?
妻と私の2人でお店をやりたいという思いがありました。「オ・グルニエ・ドール」も当初は2人で営業する予定でしたけれど、私が前に働いていたホテルの同僚や知り合いの洋菓子店の方が、オープンすることを聞きつけて手伝いに来てくれたり、スイーツの勉強をしたいという若い人が研修に来るようになって。その中には「ここで仕事をしたいです」と言って働くようになった人もいました。
最終的に25人ほどのスタッフと仕事をすることになっていて、最初の想いとは少し違う形になりました。
今は「日々を楽しむ」ということ、自分がしたいことをしようというのが、妻と私の1つの目標なんですよ。
18年前の思いを叶えられたんですね。
妻もお客様を迎え入れるっていうことが大好きだから、とにかく楽しい日々です。今まで私は、バックスペースにいて表で接客するわけではなかったけれど、それが今は自分で作ったものを盛り付けて、テーブルまで運び、食べていただいた後、片付けるということまでを、1人でやっています。
お客様がスイーツを見たり口にした時の「おいしい」や「きれい」といった表情を目にできるのは、作り手として本当に嬉しいです。
コンフィチュールとのハーモニーを楽しむシャーベット

「ビターチョコレートのシャーベット オレンジのマーマレードと供に」(880円)
イートインメニューは、シャーベットですね。
コンフィズリーを買いに来られたお客様に、店内でも食べていただけるようなメニューを、と作りました。今日用意したのは、チョコレートのシャーベットです。乳製品は使いません。特別な機械で素材を細かく粉砕していて、なめらかで濃厚なチョコレートそのままの味がします。シャーベットが冷たいので、添えているマーマレードは温かくして、仕上げにレモンの霧吹きで香りづけをしています。
もう1品、今は酸味のある小粒のいちごを使ったミルクシャーベットもあるのですが、こちらもおすすめです。
じっくり大切に食べたい美しいコンフィズリー

「パート ド クルスティヤン Aセット」(1850円)。内容は取材時のもの
テイクアウトできるコンフィズリーは、色や形がさまざまでとてもきれいです。
アラン・シャペル氏のもとで働いていた時に「表面はパリッとしていて中がやわらかいお菓子ができないか」と言われたことがありました。そのことが頭に残っていて、和菓子の琥珀糖に着想を得て作りました。このシャリシャリとするものは海外にないものです。日本独特だと思います。

美しく箱詰めされており、手みやげにも喜ばれそう
フレーバーは季節によって変わりますか。
季節で変わる種類もあります。いろんな依頼を受けてお菓子を作ることもあるのですが、「さくらの花びらレモン」は「京都らしくて季節感のあるものを作れませんか」と言われたことがあって。春なので桜を取り入れて、見た目にも季節感を出しました。
「オレンジココア」も、このお店をオープンする前に「バレンタインをテーマにした食事会のデザートを監修してほしい」と依頼があって生まれたもの。チョコレートを入れると結晶化しないので、表面にココアを付けています。ルーブル美術館で見たピラミッドに感動して、「資生堂パーラー」にいた時に考案したチョコレートケーキ「ピラミッド」をイメージしました。
ほかにもゆずやバジルとオリーブオイル、実山椒など、フレーバーが多種ありますね。
ちょっと食べただけでも、香りや食感など十分に堪能できるようになっています。お客様にも「半分に切って、残りは置いといてください」って言うことがあるんですけど、カットしたやわらかいところが結晶化してシャリッとしてくるんです。ジンやコニャックなどのお酒に合わせるという人もいますね。
こだわりを持ちつつ、楽しくお店を営業する

お店に行くと、西原さん夫妻がていねいにもてなしてくれる
西原さんのお菓子に対する思いを聞かせてください。
私は今までお菓子を作ってきて、流行りものは絶対しないっていう考えです。どちらかというと流行りに逆行しようとする。今の世の中はお砂糖が敬遠されている時期だと思うんですよ。「じゃあ真っ向からお砂糖に向かおう」と思ってできたのがコンフィズリー。お砂糖の結晶体ですからね。
今回お話を聞いて、「楽しい」という言葉が何度も出てきたのが印象的でした。
これまではチームで動いてきたので、チームで学んで得たことを形にするのが大きな目標でした。でも、今のお店ではひたすら自分が楽しみながらお客さまの笑顔を目にして、という日々ですね。
素敵な夫婦が迎えてくれる特別な空間。店内でシャーベットを堪能し、おうちでコンフィズリーを少しずつ味わう、といった楽しみ方をするのも贅沢ですね。
コンフィズリー エスパス・キンゾー
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