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2022.08.16
【京都よりみちこみち】商いの中心地として栄えた、鉾町のふたつの通り。室町通・新町通:前半
室町通と新町通は、京都の夏の風物詩・祇園祭の鉾町として賑わいを見せる通り。 ふだんの日から特別な”ハレ“の日まで、いつも人々の暮らしに寄り添ってくれる素敵なお店を訪ね歩いみてませんか。
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祇園祭の鉾町として賑わいをみせるふたつの通り
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室町通と新町通をつなぐ錦小路通の一角や、店の片隅など細部も見どころ
夏本番、7月を迎えた京都で約一か月にわたって繰り広げられる祇園祭。絢爛豪華な懸装品をまとった山や鉾が都大路を練り歩く17日と24日の山鉾巡行が有名ですが、各鉾町での山鉾建てや、駒形提灯がともり幻想的な雰囲気に包まれる宵山、商家の町家が家宝の屏風を披露する屏風祭など、ハイライトの巡行の日を迎えるまでにも見ごたえがたくさん。 今回ご紹介する室町通と新町通は、全34基のうち、32基もの山鉾が周辺に立ち並びひときわ賑わう通り。それはつまり、百千年を超える祭りの伝統を守り継いできた町衆たちのプライドと心意気の表れといえるのかもしれません。 夕方になると、各鉾町での会所からコンチキチン♪と祇園囃子の練習にいそしむ音が聴こえてくるのも京情緒が感じられる瞬間のひとつです。
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元小学校の建物がアートの発信拠点に「京都芸術センター」
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祇園祭の鉾町にあることにちなみ、山鉾を模したユニークな外観も特徴
124年の時を紡いだのち、1993(平成5)年に閉校となった明倫小学校。現在残る建物は、90年ほど前に大規模改修を行った時のもので、国の登録有形文化財。アーティストたちの制作活動を支援したり、アートを発信したりする拠点として生かされています。
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館内の窓はデザインも多彩で見ていて飽きない
南館1階の廊下には前田珈琲 明倫店、情報コーナー、図書室が連なります。南館の廊下から校庭を望むと、子どものころにタイムスリップしたような感覚に。時を重ねて深みのある飴色になった木造の廊下や階段を歩くたびにきしむ音もノスタルジーをくすぐります。
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京都芸術センター
きょうとげいじゅつセンター
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小学校の教室と現代アートが融合「前田珈琲 明倫店」
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明倫クッキーのアイスサンド300円と、とスペシャルブレンド龍之助530円
京都芸術センター南館1階の元教室が、老舗喫茶・前田珈琲の明倫店。 20周年を迎えた2020年、現代美術家の金氏徹平氏と建築家の家成俊勝氏のコラボレーションにより、内装を立体作品「tower(KITCHEN)」としてリニューアルしました。プロジェクションマッピングの映像や、ボール、水道の蛇口、三角定規など学校を連想するオブジェを壁に埋め込み、独創的な現代空間に生まれ変わっています。
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左:宇治抹茶を贅沢に使った、明倫店限定抹茶ゼリー750円。右下:明倫店限定パッケージのドリップコーヒー920円(6枚入)
店内は中央のキッチンを壁で囲む、コの字の空間。キッチンで作った品をフロア担当スタッフが受け取るアーチ形の小窓もユニークです。チキンカレーやパニーニなどランチにぴったりのごはんものやコーヒーに加え、デザートは明倫店だけの限定メニューも充実しています。
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前田珈琲 明倫店
まえだこーひーめいりんてん
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見目麗しい手織り寿しをテイクアウト「AWOMB こころみ」
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手織り寿し 箱2970円は24時間前までに要予約(WEB受付のみ)
「手織り寿し」が人気の「AWOMB」。東側のAWOMB烏丸本店てはイートイン、隣接するAWOMBこころみではテイクアウトができます。 野菜や木の実、ハーブ、京都産抹茶や玉露など吟味された約40種類の具材を丁寧に仕込んだ寿しは月替わり。焼き海苔で巻いたり、そのまま味わったり、付属のタレと合わせてみたり。新しい味覚との出会いの連続で、つい夢中になる楽しさです。
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AWOMB こころみ
アウームこころみ
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薄氷のように儚くて涼やかな寒天菓子「永楽屋 室町店」
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通年商品の柚子ピール入り琥珀「柚子」6包(12本)990円
甘いもの(和菓子)と辛いもの(佃煮)の2大看板を掲げる永楽屋。 宝石の琥珀になぞらえた「琥珀」は、季節の素材を寒天で包み込んだ和菓子で、表面はシャリっと儚く、中はやわらかくてしっとりした食感。氷のアートのような涼やかなたたずまいが夏の手みやげにぴったりです。暑い日には少し冷やしてみるのもいいですよ。
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左:祇園祭に合わせて、祇園祭限定のパッケージの佃煮も販売
ほか、夏限定の「レモンの雫」(9個入990円)、菊の花をかたどった定番「重陽」(12個入1100円)など、ネーミングも素敵な寒天菓子は贈り物におすすめ。 店舗の奥の庭には瑞々しい苔のじゅうたんにつくばいや石灯籠が立ち、その美しいしつらえが心に涼を運びます。
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永楽屋 室町店
えいらくやむろまちてん
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店主の心意気を映す和食のお値打ちランチ「酒菜食房 いち」
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週替わりランチ950円は2種から選べて、16年前の開店以来ほぼ据え置き価格。取材時のメインはさわらとタケノコの唐揚げ
京料理の老舗・たん熊で腕を磨いた鈴木一平さんが暖簾を掲げる和食店。 ボリューム、値段、味の三拍子がそろうランチが評判で、平日も行列ができるほど。中央市場から仕入れる地元京都の野菜を生かした料理や、魚をさばいた後の骨を焼いてだしに加えた深い味わいの味噌汁、だし巻き、小鉢、自家製デザートまで丹精込めた品を楽しめます。
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左上:夏は今日名物の鱧もメニューに上る。右:日本酒は店主自らおいしいと思った銘柄を全国からセレクト
夏の京都ならではの名物・鱧は、ランチや夜の一品料理に登場することも。夜は一品料理やコース料理4500円~(要予約)とお酒でゆっくり過ごすのもいいですよ。
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Rinako Sato(Rakutabi)Photo:Yasutaka Ogawa 編集:ことりっぷ編集部
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