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2025.03.03
奈良の農家レストラン「清澄の里 粟」で、大和伝統野菜たっぷりのランチを♪
1400年もの歴史を紡ぐ奈良。市街地から離れ、自然豊かな田園地帯の丘の上にたたずむ「清澄の里 粟」は、奈良の伝統野菜を堪能できる農家レストラン。人気の食事処「粟 ならまち店」の姉妹店です。木のぬくもりあふれる空間で味わえるのは、大地の恵みを受けて育った、新鮮で滋味に富む大和伝統野菜のフルコース。季節を映す料理の数々を心ゆくまで楽しめます。かわいいヤギの夫婦も待っていてくれますよ。
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奈良市街から離れた自然豊かな里山へ
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広々としたウッドデッキを備えたログハウス風の建物
春日大社、東大寺、奈良公園など奈良観光の中心部から南東方面へ7.5kmほど、JRまたは近鉄の天理駅から車で約10分の地に「清澄の里 粟」はあります。路線バスは通っていないので、交通手段は自家用車かタクシーのいずれかで。駐車場で車を停めたら小高い丘の上に建つ一軒家を目指します。途中で穴のあいた不思議な小山が目に留まりますが、後で聞くところによると「弁天塚古墳」という名の史跡とのこと。悠久の時を紡ぐ歴史遺産がさりげなくそこにある、そんな奈良ならでは魅力をたたえたロケーションです。
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清澄の里 粟の近くにある弁天塚古墳
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周囲には里山ののどかな風景が広がる
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やさしい笑顔の田の神様もお出迎え
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木のぬくもりを感じる空間
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野菜や鉱物などテーブルを飾るユニークなアイテムにも注目
玄関でベルを鳴らすと扉が開き、三浦雅之さん、陽子さんご夫婦が笑顔で迎えてくれます。親しい人のお家に招かれたようなアットホームな空気に包まれて、ちょっぴり抱いていた緊張もたちまちほどけます。地元の杉の木を生かしたという大黒柱をはじめ、木のぬくもりあふれる店内は、天井が高く、開放感のあるワンフロア。大きな掃き出し窓が刻一刻と移ろう空と里山の風景を映します。
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窓枠が切り取る奈良盆地の風景は一幅の絵のよう
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穀物の粟や小麦が珪藻土の壁を彩る
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大和伝統野菜のフルコース
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前菜4種と食前酒代わりのドリンク
食事メニューは「大和伝統野菜のフルコース」(4800円)と、大和牛付き(6800円)の2種。季節の恵みを生かして調理するため、食材や品数はそのときどきで異なります。この日のフルコースには全9品、60種ほどの野菜が使われていました。ひと品ずつご紹介しましょう。 はじめは、前菜4種。今市かぶのチーズ焼き、たかきびのパイ包み、下北春まなと紅丸大根の炒め物、奈良時代に貴族が食した蘇(そ)を再現したものが並びます。スパークリングタイプの発酵ブドウジュースや古来の飲み物「甘茶」など数種から選べるドリンクは、食前酒代わりにいただきます。
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手づくりコンニャクと季節野菜のサラダ。黒トリュフのドレッシングをかけていただく
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きのこだしを使った季節野菜の炊合わせ。奈良特産の希少な本葛・吉野葛を使ったあんかけ仕立てに
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一番だしと豆乳を合わたひとり鍋。大和芋をふわっと落としていただく
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箸休めのあえもの3種。この日は、ルッコラと大根のサラダ、赤かぶ「もものすけ」の酢の物、中国伝来のパクチョイのお浸し
ふだん出会えないような珍しい野菜が次々と目の前に現れ、 形、色、香り、味、食感の多彩さに驚かされます。「料理は素材本来の味を生かすようにしています。野菜自体が甘みを持っていて、とくに冬野菜は霜が降りると甘みが増すんですよ」と雅之さん。
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季節の食材の揚げ物
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黒米入り豆ごはん、お漬物、きのこのお吸い物
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奈良のブランド茶・やまとみどりを織り交ぜたチーズケーキ。トッピングは粟のポン菓子、種子を食用とするカボチャの新品種・ストライプぺポ
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「大和伝統野菜のフルコース」でいただく全品
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+αで注文したい、絶品和菓子
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「粟生」580円。プチプチと弾ける粟の食感が印象的
穀物として古くから重宝されてきた粟のなかでも最高級の品種「むこだまし」を蒸し上げた粟餅「粟生(あわなり)」もおすすめ。今上天皇が皇太子時代に奈良を訪れた際、召し上がっていただく和菓子として選ばれた逸品で、中の餡は奈良伝統の宇陀大納言小豆と希少な白小豆の2種です。食事の予約時または前日の16時までに予約を。
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かわいいおもてなし係
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向かって右がヤギ界のご長寿記録に近づきつつあるぺーちゃん。この日は寒かったのでジャケットを着用。左が奥様のクーちゃん
三浦さんご夫婦と一緒に暮らす、ペーターとクララ(愛称はペーちゃん、クーちゃん)は、気性のおだやかな賢いヤギさんです。とくにペーターは雅之さんの言葉を見事なまでに聞き分けます。決まった時間になると、ウッドデッキに現れツノを器用に使って窓を開け、お客さんにご挨拶。カメラ目線でお客さんとの記念撮影に応じたり、敷地内の草を食べて草刈りに貢献したり、野菜くずを処理したり。清澄の里 粟にとってかけがえのない存在です。 また、室内の観葉植物の葉の上には、シュレーゲルアオガエルのケロちゃんとロロちゃんも。指を差し出すとぴょんと飛び移って来て、つぶらな瞳で見つめてくれます。
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大きな葉の上で一日中じーっと過ごしているそう
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大和伝統野菜の継承に尽力
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雅之さんと陽子さんは、30年ほど前に医療・福祉業界から農家に転身。長年放置されていた荒地を開拓し、2002年に「清澄の里 粟」を、2009年に「粟 ならまち店」を開きました。「当時まだ注目されていなかった大和伝統野菜にフォーカスしました。日本のはじまりである奈良の気候風土に根づいた豊かで奥深い歴史文化資源と食文化は、“奈良のタカラモノ”と捉えています。食を通じてそれらをPRしていけたら」と雅之さん。農業協議会が丹精込めて育てた野菜を買い取り、レストランの食材や加工品に替えるという、食と農を結ぶ仕組みづくりも実現。地元奈良を愛し、ほとばしる情熱をもって精力的に活動されています。
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刻一刻と移ろう空の表情や、雲間から差す光、季節を映すのどかな里山の風景を眺めながら味わう心づくしの料理の数々。離れがたくなる居心地のよさです。この一軒を目指して奈良へ行きたくなる、そんな引力のある素敵なレストランへ、ぜひでかけてみてくださいね。
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清澄の里 粟
キヨスミノサトアワ
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文:佐藤理菜子 写真:マツダナオキ
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