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2025.07.16
長崎の“和・華・蘭”をデザイン♪カラフルな光に包まれた「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」
異国情緒に彩られた長崎市・南山手地区は、江戸時代の開国をきっかけに外国人居留地として発展した場所。今も国宝・大浦天主堂をはじめとする希少な洋風建築が多く残り、街全体がまるで歴史の舞台のような雰囲気に包まれています。 その一角にひっそりと佇むのが、今回ご案内する「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」です。赤レンガに白いアーチ窓が印象的な建物は、築約130年の元修道院だったもの。往時の姿を残しながら、空間・食・おもてなしを通して、長崎独自の「和・華・蘭」文化を体験することができます。
長崎らしさを宿す洋館ホテル、異国の丘に誕生

レンガにアーチ形の窓が、どこか愛らしい雰囲気
長崎港を見下ろす丘の上、異国の香り漂う南山手の一角に、ひときわ目を引く赤いレンガ造りの洋風建築物が建っています。築1898(明治31)年、この地に暮らす外国人のための修道院として築かれたもので、時代の波に翻弄されながらも、警備隊の本部、児童養護施設へと役割を変え、利用されてきました。 そして2024年12月、長い歴史を継承しながら生まれ変わったのが、「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」です。 国宝・大浦天主堂をはじめ、希少な歴史的建造物が多く残る南山手の一帯は、国の重要伝統的建造物群保存地区。この建物も貴重な構成要素のひとつで、外観は往時の姿のままに、内装は最小限のリノベーションに留めての新たなスタートです。

建物正面中央から訪れる者を見守る大天使ミカエル像は、児童養護施設マリア園から受け継いだもの
ホテルのコンセプトは「時空を旅する 和・華・蘭(わからん)ラビリンス」。 日本の「和」、中国の「華」、オランダを象徴する「蘭」が交差する長崎文化が、デザインや料理、そこに流れる空気感に至るまでホテル全体に息づいています。
エキゾチックな香りで出迎えてくれる、五感に響くホテル

山手の石畳に使っているブロックを看板がわりに
門をくぐり、石畳のアプローチの先に、赤レンガのクラシカルな洋館が姿を現します。

古い建物に、モダンなソファを配したロビーエリア
中に一歩足を踏み入れた瞬間、ふんわりと香るのはレモンとミントをブレンドした、どこかエキゾチックな清々しい香り。ロビーエリアには出島をモチーフにした絨毯、長崎伝統の染織技法である長崎更紗の文様をあしらったヨーロピアンタイルが敷かれ、この土地らしい美意識が漂います。

誰もが自由に利用できるラウンジ
奥のラウンジには、訪れた旅人をほっと癒やしてくれる空間が広がっています。ウェルカムティーは特産の枇杷の葉を焙煎してつくられたオリジナルのびわ茶。甘くやさしい枇杷の香りに、エルダーフラワーやサンフラワーをブレンドしていて、フルーティーでさわやかな味わい。一杯のお茶からも、ゲストへのさりげなく細やかな心配りが感じられます。
「和・華・蘭」が融合する独特な世界観に魅了される

右下に「ホテルインディゴ長崎グラバーストリート」の館が描かれている
客室は本館に32室、長崎港側に増築した北館に34室。それぞれに個性があり、選ぶのに迷うほどですが、どの部屋もクラシカルな洋風の造りに、シックな色彩のアクセントをちりばめた洗練されたインテリアで統一されています。 なかでも目を引くのが、細部にまでこだわった什器類。クローゼットやテーブルには、長崎の教会建築に使われる「椿」の意匠や、出島のオランダ人屋敷で用いられた唐紙をイメージした装飾が施されています。さらに、客室の一角には南山手や港の風景を墨絵で描いた屏風が。

モダンな設えが目を引く「和華蘭ベイビュースイート」
本館客室の一部はテラス付き。稲佐山や港の景色が眺められ、夜は窓一面に夜景が広がります。非日常の贅沢な時間を過ごすのにぴったり。 写真は、本館3階の「和華蘭ベイビュースイート」。独立したベッドルームとリビングあわせて61㎡の広々としたラグジュアリーな空間で、傾斜をもたせた壁面に白いフレームのアーチ窓を設けています。

ピンクの 鍵しっぽの猫が描かれた巾着は持ち帰りOK
洗練されたデザインと快適さが共存する客室では、備品やアメニティも素敵です。ドライヤーは「ReFa(リファ)」、歯ブラシもコットンも一つひとつ選び抜かれた上質なアイテムで、かわいらしい巾着袋に収められています。 ちなみに、巾着に描かれた“鍵しっぽの猫”は、このホテルのキャラクター。長崎で尾が曲がった猫は幸福の象徴とされる動物で、ユニフォームやマグカップなどのオリジナルグッズに、こっそり隠れて描かれているので、ぜひ探してみてくださいね。
聖堂の面影とともに味わう、長崎のフレンチ

2枚のステングラスは当時のものを使用。残りは長崎の職人の手により、可能な限り忠実に復元された
元聖堂として使われていたレストラン「カテドレクラ」は、約10mの天井とステンドグラスが圧巻です。なかでも朝と夕の光が差し込む時間帯は、ステンドグラス越しに色とりどりの光が空間を照らし出し、神聖で幻想的な光景を目にすることができます。

ディナーコースは12500円、予約制
レストランは宿泊客はもちろん、朝昼夜の食事のほか、カフェのみの利用も受け入れています。 メニューは、長崎の食材を取り入れた“和・華・蘭フレンチ”スタイル。創造性豊かに遊び心を盛り込んだ料理の数々は、一皿一皿がアート作品で、目と舌で味わう喜びに満たされます。

「HOTEL INDIGO NAGASAKI GLOVER STREET WITH PIERRE HERMÉ PARIS」6700円
長崎は、鎖国時代から貴重な砂糖の荷揚げ地でした。長崎を起点に全国へ砂糖が運ばれたことから、そのルートは「シュガーロード」と呼ばれ、この地には早くから多彩で豊かな菓子文化が根付きました。そんな長崎の菓子文化を楽しむなら、カフェタイムのアフタヌーンティーで贅沢なひとときを過ごしてはいかがですか。 2025年8月末日までは、「ピエール・エルメ・パリ」とのコラボレーションスイーツや焼きカステラのほか、雲仙生ハムのパイナップル添えやエビのすり身をサンドしたハトシのフレンチトースト風などのセイボリーが味わえます。 ※利用は120分の時間制で、2日前までの予約が必要です。
昔はプール、今は秘密のテラス。港と空を眺めてひと休み

自然にハートの形に葉が茂ったというテラスにある大木
ホテルの中庭にある共用テラスは、かつて児童養護施設だった当時、屋外プールだった場所。現在はハートの形をした大木の下に白いテーブルが並ぶ、癒やしの空間として生まれ変わりました。 正面には高さ約62m、世界遺産のジャイアント・カンチレバークレーンを擁する長崎造船所や旅客船が停泊する長崎港、その向こうに稲佐山が眺められます。夏には長崎港に打ち上がる花火の絶好のビュースポットとしてもおすすめです。

ホテルインディゴ長崎グラバーストリート
ホテルインディゴナガサキグラバーストリート
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文:コガユミコ 写真:藤光 一郎
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