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2014.04.09
京都の桜はフィナーレへ、有終の美を飾る遅咲きの桜名所へ
京都はソメイヨシノが見頃を過ぎても、4月中旬から下旬にかけて見頃を迎える遅咲きの桜がたくさんあります。文豪も愛した平安神宮の紅しだれ桜や、雲海のような仁和寺の御室桜など、遅咲きの桜名所をご紹介します。(メイン写真:平安神宮・神苑の紅しだれ桜)
文豪も思わず感嘆した「平安神宮」の紅しだれ桜
平安神宮の紅しだれ桜
地下鉄東西線・東山駅から北へ徒歩10分ほど歩くと、1895(明治28)年に創建をされた「平安神宮」があり、明治時代に造営された神苑では4月中旬、およそ150本もの紅しだれ桜が春爛漫と咲き誇ります。 文豪・谷崎潤一郎は作品『細雪』の中で、神苑に足を踏み入れた瞬間、雲のように天に広がる桜への感嘆の心情を書き込んでいます。今でも神苑を入ってすぐの場所には、紅しだれ桜が天から降り注ぐように咲いて、人びとに感動を与えてくれます。 ○平安神宮・神苑(へいあんじんぐう・しんえん) [所]京都市左京区岡崎西天王町 [TEL]075-761-0221 [時間]神苑8:30~17:30(3月15日~9月30日、時季により異なる) [拝観料]境内自由、神苑600円 [HP]http://www.heianjingu.or.jp/
優美なる彩りを見せる「上賀茂神社」の斎王桜
上賀茂神社の斎王桜
市バス・上賀茂神社前バス停からすぐ、赤い鳥居の奥に広大なる神域を持つ「上賀茂神社」は、下鴨神社と合わせて賀茂社とも呼ばれ、平安遷都以前に創建された京都最古の神社のひとつです。本殿には五穀豊穣を願って雷神を祀り、王城鎮護の社として歴代天皇からも厚い信仰を得てきました。 境内には遅咲きの紅しだれ桜が点在し、中でも一の鳥居をくぐった参道脇にある「斎王桜」は、優美な姿を見せる桜です。濃いピンク色の花が美しく、かつて賀茂社に奉仕した宮中の未婚の女性「斎王」にちなんで名づけられました。たおやかで女性的な印象の桜で、華やぐ京都の春を象徴する存在として愛されています。 ○上賀茂神社(かみがもじんじゃ) [所]京都市北区上賀茂本山339 [TEL]075-781-0011 [時間]5:30~17:00(二の鳥居内) [拝観料]境内自由 [HP]http://www.kamigamojinja.jp/
西陣「雨宝院」は隠れた遅咲きの桜名所
雨宝院の歓喜桜
市バスの今出川浄福寺バス停から北へ徒歩5分ほど、西陣の町中にひっそりと建つ「雨宝院」は、平安時代の初めに弘法大師・空海が天皇の病気平癒を祈って歓喜天を祀ったことに始まり、今も西陣の町衆から厚い信仰を集めています。 4月中旬になると境内には様々な種類の桜が所狭しと花を咲かせ、見事なまでの明るい桜風景を作り出します。とくに本堂前の「歓喜桜」は仁和寺に咲く御室桜と同じ種類の桜で、根元から花を咲かせる珍しい桜です。 ○雨宝院(うほういん) [所]京都市上京区智恵光院通上立売上ル聖天町 [TEL]075-441-8678 [時間]境内自由
京都の桜のフィナーレを彩る「仁和寺」の御室桜
仁和寺の御室桜
嵐電・御室仁和寺駅から北へ歩くとすぐに世界遺産「仁和寺」があり、平安時代の888(仁和4)年に創建され、宇多天皇が出家して寺に入って以来、天皇家ゆかりの高い格式を誇ってきました。 4月中旬になると、境内に古都の春の最後を飾る桜として名高い「御室桜」が、まるで足もとからわき立つ雲のように咲きます。御室桜は遅咲きの里桜の一種で、樹木の背丈が低いのが特徴。その理由は、地中に粘土質の土壌があるため根が深く伸ばせないからだとされています。 江戸時代から奈良・吉野の桜に優るとも劣らないと人気を博した御室桜は、色白の花が女性に例えられて「お多福桜」とも呼ばれ、低い位置から咲く花は鼻の低さにも重ねられて「わたしゃお多福、御室の桜、はな(鼻・花)が低ても人が好く」と歌われて親しまれてきました。満開時には、まさに桜の雲海のような光景が広がり。その雲の間から顔を出す五重塔を眺めて歩くのも、仁和寺の春限定の楽しみ方です。 ○仁和寺(にんなじ) [所]京都市右京区御室大内33 [TEL]075-461-1155 [時間]8:30~17:00(御室桜開花期間中) [拝観料]特別入山料500円(御室桜開花期間中) [HP]http://ninnaji.jp/
京都には遅咲きの桜が見事な花を咲かせる名所が数多くあります。 いよいよ終盤に差し掛かってきた春の桜。散りゆく前に、その見事な眺めを楽しんでみませんか?
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若村亮 写真:吉村晋弥
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