丸窓が引き立てる赤と緑のコントラストが美しい「光明院」

自分好みの角度で庭園を眺めてみましょう

京都有数の紅葉名所として知られる東福寺の南、京阪・鳥羽街道駅から東へ歩いて約10分の場所にある「光明院（こうみょういん）」は、明徳2（1391）年に創建された東福寺に属する寺院です。 境内に広がる「波心（はしん）の庭」は、昭和の作庭家・重森三玲が手掛けた庭で、斬新な立石と白砂の中に優しい色合いの苔の州浜が広がり、丸窓越しに眺める秋色の風情はとくに印象的。室内からはまるで絵画のようなコントラスト豊かな庭園を望むことができ、多くの人で賑わう東福寺界隈の中でも落ち着いた眺めを堪能することができます。 ○光明院（こうみょういん） [所]京都市東山区本町15丁目809 [TEL]075-561-7317 [時間]8:00～日没 [拝観料]300円

多彩な窓から洗練された秋景色を望む「雲龍院」

書院「れんげの間」にある「しき紙の風景」。障子を閉めると色紙状に景色が切り取られます

市バス・泉涌寺道バス停から東へ徒歩約10分、皇室ゆかりの泉涌寺（せんにゅうじ）の奥に、塔頭の「雲龍院（うんりゅういん）」があります。応安5（1372）年に北朝の後光厳天皇によって建立され、応仁の乱で焼失し、江戸初期に後水尾天皇によって再興されました。 紅葉の時期の境内はとくに華やかで、大きな窓や丸窓、色紙のように小さな四角い窓など、多彩な形の窓を通して赤く染まるカエデの木を楽しむことができます。室内に座って洗練された芸術作品のような光景を眺めていると、時の流れを忘れてしまいそう。雲龍院では後水尾天皇寄進の机で写経を体験することもでき、心静かに過ごせる場所です。 ○雲龍院（うんりゅういん） [所]京都市東山区泉涌寺山内町36 [TEL]075-541-3916 [時間]9:00～16:30 [拝観料]400円（写経体験は拝観・抹茶料含み1500円）

路地の奥に佇む、秋のみ公開される隠れ寺「厭離庵」

舞い散る紅葉が境内を燃えるような赤色に染め、京情緒を引き立てます

JR嵯峨嵐山駅から西へ徒歩約20分、清凉寺から二尊院への道すがらに案内看板が立つ「厭離庵（えんりあん）」は、細い路地を入ったところにある隠れ寺。11月から12月初めに限って公開されています。当地は藤原定家が小倉百人一首を選んだ山荘跡とも伝わり、江戸時代に復興された際、霊元天皇から寺号「厭離庵」を賜りました。 現在は小ぢんまりとした境内に明治時代に再建された庵が佇み、定家が筆を洗ったという「柳の井」や、定家の塚も残されています。晩秋は真紅の紅葉がとくに美しく、散り紅葉の頃は深い歴史を包み込むような趣ある光景が広がります。庵の縁側に座り、静かに時を過ごしてみましょう。 ○厭離庵（えんりあん） [所]京都市右京区嵯峨二尊院門前善光寺山町2 [TEL]075-861-2508 [時間]9:00～16:00（11月～12月上旬のみ公開） [拝観料]500円

境内一面を包む紅葉の赤に想いを綴る「直指庵」

印象的な灯籠や石が配された境内。散り紅葉も美しく、比較的長く紅葉を楽しめます

市バス・大覚寺バス停から北へ10分ほど歩くと「直指庵（じきしあん）」があり、素晴らしい紅葉に出会える隠れた名所として知る人ぞ知る穴場です。正保3（1646）年、独照禅師が営んだ草庵に始まり、幕末には尊皇攘夷論を唱えた近衛家の老女・村岡局（むらおかのつぼね）が再興して明治維新後に隠棲した由緒を持ちます。 しっとりと落ち着いた雰囲気のある晩秋の境内は艶やかな紅葉に覆われ、少し高台にあるお堂からの眺めに加え、庭一面を飾る紅葉の下を歩くことで、秋深まる京都の趣を感じられます。また、お堂には「想い出草」ノートが置かれ、日常から離れた空間で時間の許す限り悩みや相談を綴ることもできます。 数多くの社寺がある京都には、紅葉の名所がたくさん隠れています。時には静寂に包まれる知る人ぞ知る空間へと、そっと足を延ばしてみませんか。 ○直指庵（じきしあん） [所]京都市右京区北嵯峨北ノ段町3 [TEL]075-871-1880 [時間]9:00～16:30（12月中旬以降は～16:00） [拝観料]500円