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2015.01.29
歴史や文化を感じる個性豊かな伝統行事、京都の「節分」へ
京都の社寺では立春を前にした「節分」の日に、厄除けの願いを込めて節分行事が行われます。今回は、古式を再現した節分祭や、舞妓さんによる豆まき、狂言の奉納など、京都の歴史と伝統を感じる多彩な行事をご紹介します。(メイン写真:千本釈迦堂・おかめ福節分会)
平安時代の邪気払いの儀式を再現する「平安神宮」の節分行事

4つの目を持つ方相氏。神通力を秘めた鉾と盾を打ち鳴らして邪気を払います
「節分」とは、暦上の四季の始まりである立春・立夏・立秋・立冬のそれぞれ前日にあたり、文字通り“季節を分ける”日を意味します。年4回ある「節分」の中でも、旧暦では2月4日の立春の頃から新しい1年が始まるとしたことから、次第に「節分」といえば立春の前日である「春の節分(2月3日)」を指すようになりました。 平安時代、節分は人びとに疫病などの災いをもたらす悪鬼が現れやすい季節と考えられ、宮中では豆をまいて鬼を払う「追儺(ついな)」と呼ばれる行事が行われました。 地下鉄・東山駅から北へ徒歩10分ほどの場所にある「平安神宮」の節分行事では、3日14時から平安時代の宮中行事「追儺」を時代考証に基づき再現した「大儺之儀(だいなのぎ)」が行われ、黄金の4つの目で人には見えない邪気を見つけ出して払い清める呪術師「方相氏(ほうそうし)」が登場します。方相氏は境内や応天門を歩きまわり、大きな声で「鬼やろう」と唱えながら矛と盾を打ち鳴らし、厄を払います。 続く15時からは境内一円で「鬼の舞」が執り行われます。狂言師の茂山社中が扮する鬼たちの迫力ある動きには、参拝者が驚かされるほど。豆まきによって改めて鬼が追い払われると、福豆が盛大に参拝者にまかれます。 節分行事 2月3日 大儺之儀14:00~ 豆まき行事(鬼の舞)15:00~ ○平安神宮(へいあんじんぐう) [所]京都市左京区岡崎西天王町 [TEL]075-761-0221 [時間]~2月14日(土)は6:00~17:00、2月15日(日)~3月14日(土)は6:00~17:30 [拝観料]境内自由(神苑600円)
芸舞妓が華やかに踊り、豆まきを行う「八坂神社」の節分祭

京都の伝統を感じる芸舞妓の優雅な舞にうっとり
京阪・祇園四条駅から東へ徒歩10分ほどの場所にある「八坂神社」では、2月2日・3日と節分祭が行われ、神社に程近い4つの花街の芸舞妓による舞踊の奉納が行われます。 京都らしく華やかな芸舞妓の日本舞踊を一目見ようと、境内には早い時間から人びとが集まり、あでやかな舞に魅了されます。舞に引き続いて行われる豆まきでは、芸舞妓から福豆がまかれるところも人気の理由です。 節分祭 舞踊奉納・豆まき 毎年2月2日・3日 2日(月)13:00~先斗町、15:00~宮川町 3日(火)13:00~祇園甲部、15:00~祇園東 ○八坂神社(やさかじんじゃ) [所]京都市東山区祇園町北側625 [TEL]075-561-6155 [拝観料]境内自由
おかめさんが主役の個性的な節分会が行われる「千本釈迦堂」

おかめ像が着物をまとうのは節分の時だけ。おかめさんが主役の節分会です
市バスの上七軒バス停から北へ3分ほど歩くと「千本釈迦堂」があり、1227(安貞元)年に建立された本堂は、応仁の乱など数々の戦乱や大火をくぐり抜けた洛中最古の建物として国宝に指定されています。 本堂を建立する際、大工の棟梁が誤って柱の1本を短く切り過ぎてしまいますが、妻のおかめさんの助言によって、無事に本堂は完成しました。しかし、妻の助言で大仕事を成したと世に知れては夫の恥と考えたおかめさんは、自ら命を絶ってしまったと伝わります。 千本釈迦堂で行われる「おかめ福節分会」は、その名の通り、おかめさんが主役の節分行事。境内のおかめ像が西陣織の着物で飾られ、茂山社中による奉納狂言は、おかめさんが現れて鬼を退散させるというユニークな内容となっています。にこやかな表情をしたおかめさんの内助の功にあやかろうと、境内には多くの参拝者が訪れます。 おかめ福節分会 毎年2月3日 2月3日(火)15:00~ ○千本釈迦堂(せんぼんしゃかどう) [所]京都市上京区七本松通今出川上ル [TEL]075-461-5973 [時間]9:00~17:00 [拝観料]境内自由(本堂内・宝物館拝観600円)
閻魔様にちなむ、こんにゃく炊きや狂言奉納がある「千本ゑんま堂」

ゑんま堂の狂言はセリフがあり、初心者でも分かりやすく楽しめます
市バス・乾隆校前バス停から北へ徒歩3分ほどの場所にある「引接寺(いんじょうじ)」は、閻魔(えんま)像を本尊に祀り「千本ゑんま堂」の名で親しまれている寺院です。 2月2日・3日の境内では、嘘を嫌う閻魔様の好物とされる「こんにゃく炊き」が厄除けとして振る舞われます。こんにゃくには表裏が無く、厄が来ないという意味の「来ん厄(こんやく)」に通じるというのが理由なのだとか。 3日夜には境内で狂言が奉納され、節分らしく鬼が登場する演目が上演されます。鬼は人間味がある愛きょうのたっぷりの存在として演じられ、閻魔様の弟子としての親しみが込められています。狂言のあとに行われる豆まきでは、一般的な「福は内、鬼は外」のかけ声ではなく「福は内、鬼も内」と言いながら豆をまく習わしです。
京都の歴史や伝統の奥深さを感じられる、個性豊かな節分行事。ぜひとも足を延ばしてみてください。
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吉村 晋弥
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